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デンマークの小学校でのニッセとクリスマスの楽しみ方にモヤモヤした話

デンマークにはニッセなるものがいる。その中でも、クリスマス時期はクリスマスニッセがいる。今回はそのニッセにちなんだ話。

トムテ(スウェーデン語Tomtar、英語Tomte、ノルウェーとデンマークでは ニッセ(nisse)、フィンランドではトントゥ(tonttu)と呼ばれる)は、北欧の民間伝承に登場する妖精である。小さな子供くらいの大きさで赤い帽子をかぶり、農家の守護神とされている。優しい性格で農家に繁栄をもたらすが、一方で気難しく、大事に扱われなければその家は捨て去ってしまう。

Wikipediaより

娘の5年生のクラスでは、一人に一人ずつニッセのお友達がいる。このニッセはクラスメート。例えば、娘にはAさんが娘のニッセで、AさんはBさんが彼女のニッセ、Cさんは娘が彼女のニッセ、という感じ。自分のニッセが誰かは最初に知らされるが、自分が誰のニッセかは秘密。12月1日からクリスマス休暇に入るまで、自分のニッセにお菓子をあげることになっている。何をあげるか、どの頻度であげるかは自分で決める。娘は週に2回あげているが、毎日もらってる子もいたり、今週一回ももらっていない子もいる。娘のニッセのAさんは、毎日もらっている子に、「私は十分にもらっていない!」と毎日不満を言っているのだそう。一方、娘は1日から16日までの間で2回もらったのだそう。

この話をしていたときに、息子の2年生のクラスでもこのシステムをやっているのを初めて知った。息子のクラスは2週間限定でやったそうで、もう終了している。期間中、息子も自分がクリスマスカレンダーでもらったお菓子を持っていってニッセにあげていたのだそうだが、息子はニッセから一度ももらわなかったそう!でも本人は不満どころか、何にも気にも止めていない様子だった。いかにも彼らしい。

なぜお菓子をあげないといけないのか。
誰がどれくらいもらっているかの比べっこ。全くもらえない子、毎日もらえる子。自分は沢山あげているのだから、又は他の人は沢山もらっているのだから、私も沢山もらえるべき。これがクリスマスの楽しみ方なのか?先日のクリスマス前の学校の集まりで、相手からもらえることではなく、相手に何をしてあげられるかを考えることが大事だと話があったばかり。とは言え、子どもに他の子と比べるな、もらえなくても気にするな、というのはちょっと難しくないかな?お菓子を送り合うこのシステムが、相手を思いやる心より、物質依存を助長しているように感じるのは考え過ぎなのだろうか。相手を思いやるのにお菓子である必要はない。ただ、お菓子がクリスマス気分を盛り上げると言うのなら、クラスの資金で購入してクラスみんなで分け合えばいい。

他の学年では、このシステムが毎年問題になって、今年は全員が一つプレゼントを用意して、毎日数人ずつクジを引いて、プレゼントをもらう、というのになったそう。なので、全員が一つプレゼントをもらえる。実は娘のクラスも過去3年ほどこの方法だったのだが、今年は趣向を変えてお菓子のシステムになった。来年はプレゼントに戻した方がいいと思うなあ。

お菓子のシステムだけでなく、娘の担任の先生、ニッセのいたずらなるものを提案していた。ニッセはいたずら好きでも知られていて、先生が、自分のニッセにもちょっとしたイタズラするのも面白いよね、と。そこからイタズラが始まり、自分のニッセの鉛筆などを筆箱から取り出してテープで机に貼り付けたり、筆箱からハサミとか穴のあるものを選んで釘に通して、本人の棚に打ちつけたり、教科書を棚から持ってきて本人の机にばら撒いたり。そして今日。ある男の子のお弁当がカバンから取り出されフタを取った状態で机に逆さまに置かれて、果物とかが周りに散らばり、筆箱と教科書もカバンから取り出され机にばら撒かれていた。もちろん彼は怒り、それをやった子に突っかかった。彼のニッセはその子であり、その子のニッセは彼で、お互いに既に知っていた。その子が彼にそんなことをしたのは、彼が最初にその子にイタズラをしてたからだ。二人は教室から出されて話し合いがもたれたそう。

ニッセがイタズラ好きなのは分かるけど、これは教室でやるもんじゃないと思う。イタズラは微妙なラインがあると思う、面白いか単に悪質か。家族同士や仲の良い友達同士なら楽しめるだろうけど、このニッセのシステムはランダムに組み合わされるので、全然親しくないクラスメートということもある。また、例えば筆箱の中を勝手に触られることに抵抗がある子もいれば、全く気にしない子もいる。やるとしても、棚をクリスマス風に飾り付けてあげるとか、教科書をラッピングしてプレゼントのように見せかけるとか、ポジティブなイタズラを最初に提案すればよかったのではないかな。

お菓子のシステムもイタズラもクラスの雰囲気に少し悪影響を与えかねないようにも見えて残念。当初の意図としては良かったのだろうし、上手くみんなが楽しめた可能性もあったと思う。折角のクリスマス、一年を振り返って、お互いに感謝し合うこの時期、あと3日間の通学でクリスマス休暇に入るが、クラスみんなが楽しい思いで今年の学校が終わるといいな。

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