M-1グランプリ2022出場後記
はいど〜も〜。
センターマイクをの前に立ち、2分間の漫才が始まる。
漫才を終えた僕達は、観光をするでもなく近くの喫茶店で一服し、新幹線に乗り込んだ。せっかく大阪来たからにはグルメを食べて帰ろうか。とは胃が受け付けず、隣でたこ焼きを食べる相方を見ていた。
地元に帰り、いつも練習していた場所の車内で結果を待つ。
僕たちのコンビのエントリーNo.と名前は呼ばれなかった。
悶々とした時間が流れる車内と敗退の2文字が表示されたことを忘れることはないだろう。
独特の空気
M-1の1回戦のお客さんは物好きで、色好みの人や原石探しをしている人が多いと聞く。だから、温かい反応がもらえる。らしい。
会場の関係でお客さんとエントリー者の入り口が近く、観客の入りが見える。ちらっと見えた舞台が身体中ありったけのエネルギーを焚きつける。
入り口で2000円のエントリー費を払う。
控室や袖では各々がネタ合わせや雑談をしている。
参加者同士で、「おはようございます!」と先輩に挨拶をする体育会のような雰囲気には正直驚いた。僕は自分のことで頭がいっぱいで、周りの人に気を取られないようにしていたから余計に。少ない椅子を争う相手であるからこいつらよりは絶対おもしろい、衣装もかっこいいしなとスカすことで少しでも気を楽にしようとする。にしても相方がずっと何か話している。彼はM-1のオタクでその場の空気感に興奮しているようだった。
MCによるオープニングが聞こえ、いよいよかと気持ちが昂る。
そして自分達の出番。
はいど〜も〜。
出囃子と共に相方が一足早く飛び出る。
あ、こんな感じで始まんのね。早っ、、。
といった感じで舞台に出た。
半分意識は違うとこに向く中、漫才のつかみ。
ウケた。
お客さんの笑い声で意識は戻り、モヤがかかったかのように霞んでいた客席が澄んで見える。
最初こそ緊張したが、空気に呑まれることなく練習通りの漫才ができた。想像してたよりお客さんが温かったというのもあるだろう。
緊張であまり覚えてないにしても要所で笑いも取れてた気がする。
相方もそう言ってたから間違いない。
正直通ったと思っていたから、出番後も他の人の漫才は見ずに会場を後にした。というか1本の漫才で抜け殻みたくなったから一息つくことしか頭になかった。今思うと、他の人がどんな漫才してどれくらい面白いか客席で見ればよかったなと反省中。
会場を後にし、近くの喫茶店で一息ついた。
そこで飲んだコーヒーはどんな味だったかは覚えてない。
とにかくおもしろい
M-1審査基準は”とにかくおもしろい漫才”
1回戦〜決勝までずっとこれ。シンプル。
ここまでシンプルだといやいや、誰にとってやねん。とツッコミたくなる。
が、結局は自分たちがおもしろいと思うことをやるに帰結する。
審査基準については、審査員にとっておもしろいだとここでは解釈する。
今回の結果からして正式におもしろくなかったということか。おもしろかったかもしれないけど自分達より面白い人たちが居たということか。
後者でないと気が保てないが、悔しいことに変わりはない。
展望
2年前にやらんかと声をかけ二つ返事で決めてくれた相方。
幼馴染で、僕よりもお笑いが好きなやつ。今回もネタ合わせの度に2時間弱かけて車で来てくれた。ほんまに感謝したい。
彼は面白い。もっともっと知らしめたいからこそもっと漫才を。
そしてただただ舞台に立ちたい。終わって袖にはけた後すぐに、あ〜もうすぐにでも舞台に立ちてぇって思ったことは忘れずにいたい。不完全燃焼による後悔といったものでなく、漫才の楽しさに気づいた瞬間だったから。
来年も舞台に立つんで見に来てください。
なんたろーに。
※M-1公式サイトより写真拝借しました。
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