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フジファブリックの歌詞を考える話

あったけ〜そろそろ春も近いな。その辺の公園でピクニックして河原で石投げとかしたい。したい。したいですよね?してくれませんか?


常々、フジファブリックはいいぞ😉と人に推しているわけだが、そういえば普段からなにがいいのかを言及してないなと思った。

「とにかく聴け!!!!」というのが本心なのだが、初見の人には物腰柔らかくいくべきだ。そしてやはり論理的に攻めた方が理解されやすい場合もあるので、この記事を書くに至った。

いつから宗教的にフジを崇拝し始めたかというと、6年ほど前になる。第二次精神多感大戦争の時期(所謂20代である)にフジの歌詞に狂わされてからというもの、飲み会で数人の人間に泣きながらその良さを説いていたのは本当に申し訳ない。「感情の赴いたままにどうなってもいいんだよ!!!!」と肩を掴んで叫んだり「言わなくもいいことを言いてぇ〜〜〜〜😭」と泣きついたりした醜態、今すぐ忘れてくれ。ごめんなさい。


さて、まず前提条件として、フジファブリックは今も活動しているバンドだ。しかし、今のギターボーカルの総くんは元リードで、昔は志村というメンバーがいた。彼は今はもうこの世にいないのだが、今回紹介するのはその志村が作詞をして歌っていた頃の曲である。大学4年間フジのコピーをしていたのだが、それも全て志村在籍時代のものだった。その中で私が特にこの曲のここがさあ!というものを取り上げていく。どうか気軽に聞いてほしい。キモがらずに、穏やかに聞いてほしい。まあまあ…ね…座ってね…


フジファブリックにはどんな歌詞があるのか


ささやかながら、何曲か紹介していく。全歌詞もちろん最高なのだが、ココーーーー!!!!という部分がいくつかある。それでは張り切って、どうぞ!


・「半分のことでいいから 君を教えておくれ」夜明けのBEATより)

なんて慎ましい。なんという慈悲深さ。まず「半分」ってなに?????ゾッコンの相手がいたら全部教えてくれって叫ぶだろ普通。しかも「(半分)のことでいいから」と、深い慈愛故に相手に気を遣いつつも、なんとかして君のことを知りたいんだという個人的欲望が垣間見える。パッとみ紳士的だが、とんでもない。今にも暴走寸前、かなりの変態である。ちなみにその後「些細なことでいいから まずはそこから始めよう」とか言い出すのでかなり身勝手。まずはそこからってなんだ???「まず」の「そこ」を決めるのはテメエじゃねえ!!ことでいいからって言っとけばちょっと許してもらえると思ってるだろ!!!しかも始めようってなんだ、始めたいのはお前だろ!!!!てか何を始めるんだよ!!!

この隠しきれない変態感、組み込まれているのはサビではない。曲の出だしだ。イントロからの「半分」。しょっぱなの「半分」。何の気なしにフツ〜〜〜に曲の出だしに持ってきて、さりげなく通過させることで滲み出るヤバさを軽減している。天性の戦略。志村正彦、本当に恐ろしい子…

大学4年の飲み会で、その年に加入してくれたドラムの後輩に「半分のことでいいからってさあ!!なあおい!!わかるか?!!半分のことって...半分のことでいいからだぞ?!?!」と語彙力皆無のウザ絡みをして、めちゃくちゃなだめられたことを覚えている。


・「感情の赴いたままに どうなってしまってもいいさ」TAIFUより)

馬鹿か????感情の赴いたままにどうなってしまっても良いわけがないだろ!!!!!!!!理性を天秤にかけろ!!!!!!!周りの人間に気を遣えクソ!!!!!

というのが初見の感想なのだが、色々場数を踏むとだんだん分かってくる。人の道を踏み外さない限り、大抵のことは感情に従った方が後悔がない。ア〜あの時こうしとけばよかったなとか、ちょっとハメ外しすぎたなとか、だいたい数年後には笑い話になっているので、もはや先人からの教え。真理、世の中の理とも言える。

今にもイケないことをしそうな友人に向かって、「自分は関わりたくないけど面白そうだからぜひやってくれ。土産話よろ」という意味を込めてこの言葉をつい叫びたくなる。


・「言わなくてもいい ことを言いたい」より)

そうなんだよ〜〜〜〜〜そうなんよな〜〜〜〜〜???俺たちは言わなくてもいいことをさ〜〜〜言いたいんだよなあ〜〜〜〜〜〜〜!!!!なんでかしらんけどな〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!

世の中、言わなくてもいいことだらけである。というかそういうもので日常は成り立っている。どうでもいいことこそ青春。阿呆こそ大志。今思えば馬鹿だけど、ちょうど10代20代の、理性に欠けた行動や言動が放つ輝きは凄まじい。生産性のないことで盛り上がれる精神も持ち合わせなければならないし、誰に迷惑をかけるとか、責任とか、社会のルールとかに縛られない言葉は、いい大人になってからでは言えない。当時は傷ついても、その時でしか言えないことがあるので、少年少女たちはめちゃくちゃに傷付きながら、全員自由に生きてほしい。その方が絶対面白い大人になる。(といいつつ自分も知識経験ほぼ新生児ホカホカ24歳ベイビーですが…)


・「甘酸っぱい でもしょっぱい でもなんか 悪くはない」Suger!!より)

恋した感情を味覚で攻めたてくる。かなりわかりやすい。だが好きとか綺麗とかペラペラじゃない絶妙感。恋の早見表。これが恋のすべてです。この文節に人間が抱く感情、ラブのすべてが詰まっていますね〜。

だいたい学園ものとか恋愛もののアニメだとエンディングでキャラを走らせがちだが、この歌はもうサビで走っちゃっている。かなり直接的。もはや気持ちいい。

「全力で走れ 全力で走れ 36度5分の体温
 上空で光る 上空で光る 星めがけ」

大好きなあの子のことを思い出しながらウオーッ!とか叫んで堤防走ってそう。たぶん消しゴム拾ってあげたら指が当たっちゃって、もう手握ったみたいなレベルでめちゃくちゃ喜ぶタイプ。校庭の片隅で内緒でニラとか育ててそう。絶対良い奴。


・「残しておいたイチゴ食べて クスリと笑うずるいね 片目をつぶる君 流石だよ」strawberry shortcakeより)

エロい………………えっ………………………………………………………………えっちすぎる………………………フジファブリック至上ダントツでエロい。こんなに色っぽい歌詞があるのか甚だ疑問である。続けて「上目遣いでこちら見たら 睫毛のカールが綺麗ね もひとつ僕のイチゴ食べてよ」と続くのだが、もう、いや〜〜〜〜〜さあ、アカンやろ。「僕のイチゴ」って言う志村の性癖がやばい。怖いよ私は。僕のって……僕のってそんなこと、言って大丈夫か?!?!!(私が大丈夫か?)そしてエロさに引けをとらず、目の前でショートケーキを頬張る、アメリみたいな可愛くて小悪魔的天真爛漫人生狂わされたい系美少女の情景が見えるのも、この歌詞の凄いところである。こんな女と出会いて〜〜〜!!!!俺のイチゴ、頬張っていじわるそうに微笑んでくれーーーーー!!!!!!!!アーーーーーーーー!!!!!!


・「記念の写真撮って 僕らはさよなら」(記念写真より)

初めてこの曲を聴いた時、なんて悲しいことを言うんだと思った。2年の卒業式で先輩を送り出したのもこの曲なのだが、その時でさえ、そんな簡単にさよならとか言うな!!!!記念写真撮ったくらいじゃ気持ち切り替えられへんわ!!!!もっと遊べ!!!と、大いに異議申し立てていた。だが4年になった時、自分がいよいよ卒業だぞというところで、一緒にフジのコピーをしていた後輩がサプライズでこの曲を歌ってくれた。そりゃもう当時は、そんなことされるとはつゆほど思っていなかったので(今まではしてこなかったし)当時は大号泣だった。しかも後輩全員座って聴いてんのにうちら二人だけ立たされて歌聴いてボロボロ泣いてた(拷問か???)。まあめちゃくちゃ嬉しかったわけだけど、彼の歌声がサビに差し掛かった瞬間、今までのこの曲に対する捉え方が一気に変わった。

「記念の写真 撮って 僕らは さよなら
 忘れられたなら その時はまた会える」

別れは必ずしなければならないし、その時は記念写真を撮ってさよならするしかない。いっぱい泣いて別れたくないと抱き合って、それでもそれぞれに残酷に春がくる。ある人は切り替えて、ある人はまだ引きずりながら、新たな生活を歩んでいく。そうしてちょうど、今の生活がめちゃくちゃ楽しくなってあの日の別れを忘れかけた頃、僕らは再会する。それも唐突に、期待などはなく、いきなり訪れる。そして各々の成長を見、やっぱりお前ら最高だな!と言い合って、次は笑顔でまた会おうと手を振る。さっぱりとしながら、それぞれの場所に散らばっていく。

2年前も同じこと言っててウケる。人生じゃん。


歌詞が持つもう一つの解釈


志村がこの歌詞に込めた真意は今や定かではないが、寂しさを乗り越えた先の感情や情景までもこの一節で詠んでいる。

私が常々フジの歌で震えてしまうのは、本当にその状況になった時に、突然別の解釈が見えてくる点である。歌を書こうと思って並べた綺麗な言葉ではなく、その時の想いを、抱いた感情をのせている。だから彼が歩んだ道と少しでも交わった時に、そこでしか見えない景色が見えてくる。

緑が生茂る森が綺麗だなと思って歩いていたら、ある場所に差し掛かって突然、そこから翡翠に輝きながら白波がチカチカと日の光に反射する海が見えた感じ。向こう側にあるなんて思いもよらなかった別の空間。ちょっと自分が横にずれると、もう緑で隠れてしまう。風が吹いて葉が隙間を隠した頃には、もうはっきりとは見えない。でもその衝撃はずっと心に焼き付いている。私にとって「記念写真」の海が見える場所に連れて行ってくれたのは、あの日の卒業ライブの空間と、サプライズを計画してくれた同じバンドの後輩3人と、一緒に聴いてくれたサークルメンバーである。いくつかの条件が重なっていたあの日は、わりと昨日のような感覚である。


最後なんだかしみったれた雰囲気になってしまったが、きりがないので一旦ここで締めようと思う。気が向いたら他の曲もやるかもしれない(まだやんの?)。フジファブリックの歌詞を改めて考えて分かったことは、やはり言葉で説明するのはムズ〜〜〜感性で生きて行きて〜〜〜ということだった。そして通勤時間で書く量じゃねえ。みなさんももしこれでフジを「なんか面白そうだな〜」と思ったら聴いてみてください。今の新体制も、もちろんいい曲ばかりだしね。

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