マガジンのカバー画像

思考のスケッチ

26
日々のあれこれについての未熟な思索と潜考。あくまで「スケッチ」、すなわち思考行為の一部的な言語化であり、決して「主張」として表現できるものではありません。
運営しているクリエイター

#思ったこと

成田氏の「集団自決」発言の背後にあるもの:「閉塞」と「破壊」

「口にしちゃいけないって言われていることは、だいたい正しい」、これは成田悠輔氏のツイッターの自己紹介欄はこの一言だけ書かれている。 その成田が発して「高齢者は集団自決すれば良い」発言がNYTに取り上げられ多くの批判が再度巻き起こった。見た感じ多くの批判は「集団自決」という言葉が持つ歴史的意味(第二次世界大戦時の沖縄における集団自決)に構わずその言葉を使った成田氏の言論やエール大学助教授でありながらそのような暴力的な言葉無責任に放ったことなどが批判の主な論点である。 もちろ

「醤油ペロペロ」を咎める大人が居なくなったから「バカッター」が増えたのか?:承認と資本主義の疎外

こんな議論をツイッターで見つけた この人が一連のツイートを通して言いたいことはこういうことだ。つまり、昭和の「怖い大人」たちが敗戦、高度経済成長からのバブル崩壊という流れの中で居なくなり、その跡を継いだ「歪んだ」価値観を持つバブル世代や団塊ジュニア世代による間違った教育と崩壊したモラルによって今回のよう「醤油ペロペロ」迷惑行為などこ行い、TwitterなどのSNSに投稿する通称「バカッター」という若者たちが生まれたという。 自分に言わせれば、この見方は端的に言えば、家父長

中国の「ゼロ・コロナ」と政治的正当性

コロナ禍のロックダウンや規制などが議論されていたパンデミック直後の世界から比べ、2022年の世界はより「コロナと共に歩む」方向へと進んでいるように思われる。アメリカやイギリスの一部ではマスク義務も解け、今では屋外ではマスクをつけない人々が大半だ。日本でも、2021年に比べてコロナ関係の規制が随分緩くなった。もちろん、感染力が強いが重症化する確率が低いオミクロン株と感染力は相対的に低いが重症化率が高く医療体制に大きなダメージを与えたデルタ株とでは異なる対応が必要であるという側面