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【ネタバレ注意】シン・エヴァンゲリオン劇場版 感想 主にゲンドウについて


その日唐突に決めたシンエヴァ鑑賞。
ネットのあらゆる所でネタバレが出始めることを考えると、公開日に見ておくことが一番だと思った。
片田舎の映画館でもほぼ完売していてビックリしたが、なんとか21時からのレイトショーに潜り込めたので1人で鑑賞を決め込んだ。




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ぶっちゃけ、観ている間はずーっと肩が強張っており、端的にいうと緊張していた。
途中で呼吸を忘れて喉がカラカラになっているのに気付いた。
旧劇のような絶望(とも形容しがたい何か)、Qのような居心地の悪さ。それがエヴァがエヴァたる所以だと思っていたからだ。
絶対何か仕込んでくる。
絶対何かが起こる。
絶対エヴァは何かしらこちらに攻撃を仕掛けてくる。
そう身構えながらスクリーンを観続けた。












一番印象に残ったのは、ゲンドウの独白と補完だった。


元来より一人の方が好きだった男。
他者の存在に我関せず、それでいて人一倍他者を恐れていた男。
ユイと出会ってから初めて愛を知り、ユイを失ってから初めて寂しいという感情を知ったゲンドウは、ただ彼女に会いたいという想いだけでここまで来てしまった。



ゲンドウがそういう人間だというのは旧シリーズでも示されていたし、だいたいのファンは把握していたはずだけど、改めてちゃんと本人の口から語られることに意味があったのだと思う。(恐らく初めて自分から語った?)
シリーズを通してあんなに威圧感ある厳格な父親として描かれていたゲンドウが、息子の前で顔を両手で覆い自分の内面を曝け出した瞬間、こんなにも弱い人だったのかと思ってしまった。
本当にユイのことが忘れられなかったんだね。


事実としてユイは居なくなってしまった。
結局、それが自分の贖罪だからと唯一残された息子に背を背けた。
自分とユイが繋いだたった1つの命なのに。



自分の記憶が生み出している心象世界、ゲンドウの場合は駅のプラットホームで、幼いシンジを置いて1人で改札を抜けようとする。それが贖罪だと。ユイを犠牲にした自分への罰だと言うように。







でもそこで、ゲンドウが踵を返し、幼いシンジのところに戻る。そして跪き、シンジを不器用に抱き締める。





ここでもう駄目でした。結局泣かなかったけど、決壊寸前のところで堪えたけど、"あの"ゲンドウが自らシンジのところに戻って親として抱き締めるっていうのが本当に涙腺に直撃してしまった。
やっとゲンドウは気付いた。ユイはいなくなっちゃったけど、シンジがいる。2人が繋がっていた証明である、息子がいる。
しかもゲンドウはユイを見つけようとしてしたのではなく、自分から親としてシンジを抱き締めた。それがなによりも良かったのだ。



旧劇では唯一補完されず死んでいった彼が、やっと救われたのだと思った。
劇中で彼が言った、戦うことではなく、息子と対話するということを経て。










そこからはもう凄かった。
テレビ版・旧劇をもひっくるめて全部"救い"にいくのはなかなか出来るもんじゃない。
マイナス宇宙でゲンドウが言う「お前(シンジ)が選ばなかった未来だ」という台詞、
そしてあの赤い海岸で寝転んでるアスカを見た時、
今や伝説と化したあの旧劇とリンクした事実に鳥肌が立って仕方がなかった。
あぁ、ついにそれに触れるんだと。二十何年前に置いてきてしまった彼女もシンジは救うんだと思って。



風呂敷を広げまくってしまったエヴァというコンテンツを、よくこんな素晴らしい結末に持っていったなと心から思う。
最初に書いたように、何か仕掛けてきたり終わらないのがエヴァだと思っていたし、なんだかんだ謎残してまだ続くよ?みたいにするのが十八番だと思ってた。

でも今回は全然そんなんじゃなかった。本当に全ての終わらせに来ているなと感じた。
旧劇は続きが作らないようにみんな殺したとかつて監督は言っていたみたいだけど、今回も続きが作れないんじゃない?
だってみんな見事に補完されたし、幸せそうだったんだもん。
あれ以上の続きは、我々が生きる現実にしか無いのだろう。



だから、製作に関わった全てのスタッフにありがとうと言いたい。
ちゃんとエヴァを終わらせてくれてありがとうございました。長い間、本当にお疲れ様でした。




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宇多田ヒカルの素晴らしい主題歌が流れて、そろそろ曲も終わりかと察した時、ふと自分が心の中で一つのことを願い続けているのに気付いた。




まだ終わらないでくれ。

まだ劇場に灯りをつけないでくれ。

頼むからこの映画は終わらないと言ってくれ。


エンドロールの後に次回予告があるんだよな?そうなんだよな。何かがあるんだよな。

だってそれがエヴァだもんな。












瞬間、真っ白な画面に、終劇という文字が見えた。

そして、そのまま客席に灯りが戻った。
灯りがついたら、もうそれ以上映画の続きは無い。

そこで、本当に終わってしまったんだと、理解してしまった。
あんなに長く結末が気になっていたのに、
いざ最後になったら結局続きを望んでしまう自分の滑稽さがおかしくて、笑えた。



#シン・エヴァンゲリオン劇場版 #ネタバレ

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