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Ai:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブがとんでもない呪いをかけていった考察。

はじめに

今回もしてやられました…
数年前に前作をプレイしめちゃくちゃ面白かったので、続編が出てくれることに嬉しく思い今作も当然プレイ。
GW中にぶっ通しでやり続け無事クリアーすることができました。
全体的な感想としてはめっっちゃ面白かったです!!一見謎の死体出現、切断方法、大量の伏線と鮮やかな回収、そしてテンポ良く挟まれるコミカルなギャグ要素w と、すべてが完璧で大好きでした…
これを考えたシナリオの方含めた製作陣、マジで凄い。凄過ぎる。自分だったら頭がフットーしてバグると思います。マジで。
今は他の方の考察を見漁ってるところです。楽しすぎ。

時雨兎紀子について

特に気に入ったキャラは時雨兎紀子さんです。
やってたこと(と指示してたこと)は割と外道でえげつないキャラだったんですが、とにかく声が良すぎて一回もボイス飛ばさず全部聞きました。
途中のホログラムでチャクラやマンデラ効果の解説を長ったらしくしてくれますが、兎紀子さんの声がこれでもかと聞けるので余裕で解説を聞いてました。
あとそういう話超好きだし。
元々は純粋すぎるくらいで、法螺鳥に唆されて堕ちていったこと、拉致した閏にに罪悪感を覚え母性を見せてしまったことなど、結構人間らしいところも垣間見えていたのが切ないなーと。

そんなお気に入りキャラであった兎紀子さんですが、黒幕かと思いきや物語中盤でまさかの被害者として死亡…

と思いきややっぱり黒幕で、かつ感動のグランドフィナーレ中にホログラムでニルナンバーなる謎の文字列を"フレイヤー(プレイヤー)"宛に残していく謎の立ち回りを演じました。
物語序盤でそれを打ち込むとゲーム外への"解脱"に成功しプレイヤーである私自身に問い掛けてきます。

そしてそこで語られるのは、彼女の起こした不可解な行動はすべてプレイヤーに接触するためのものだったということ…
一番気になるポイントの"何故切断機で自殺したのか?"という点も、NAIXの想定する世界の綻びが「設計者の想定外の挙動」であり、ここで彼女が自ら死を選ぶのはある意味想定外と言えます。死ぬ必要が無いので。
これを含め彼女が行った意図の分からない行動はすべて"綻びを広げ、ゲーム外の世界に干渉するためだった"と推測できます。
※この世がシミュレーションされた世界であると気付いたのは、閏の境遇に心を痛め自殺未遂をした際にゲーム外の世界を垣間見てしまったものと思われ、言わば臨死体験によって頭がカッ飛んでしまったと推測できます。

彼女の残した呪い

ここでプレイしていた私が一番恐怖したのは、
彼女が解脱に成功したのは、他ならぬプレイヤーがそう操作してしまったから という点です。

作中タマからは「マジでイカれてるわね、このババア」と称される通り、普通に考えればシミュレーション仮説など到底信じられるものではありません。
自分たちの住む世界は偽物だからと、バグを起こし解脱への布石にするためにガチで自死を実行する彼女は狂っています。
現実世界でこんなことを言い出した奴がいたら誰もが黙って縁を切ることでしょう。

しかしこれは「Ai:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ」というゲームであり、彼女の考えは当たってしまっています
プレイヤーはゲームをやり込むため、もしくはまだ見ぬ展開を求めゲームをプレイしていますよね。
その中で彼女は唯一(※)未来で知った情報を過去に打ち込めと直接発言してきます。
※類似した場面だと、龍木のソムニウム内のダリア・ボートを入力する箇所で謎の男性の声が龍木に思い出すよう遠回しに迫っていますが、これは龍木が過去に聞いたことを思い出せと言ってるので少し違うのかなと。
その言葉の通りに過去の場面でニルナンバーを入力してしまうと、世界が矛盾に耐えられなくなってバグり、兎紀子は解脱に成功してしまいます。
これが成されるのはグランドフィナーレ後に残った最後のお話。
つまり、プレイヤーがゲームをやり込めばやり込むほど、彼女の理論が正しいことが証明されていき、最終的に彼女の"解脱"の手助けをしてしまう という構造になっているんです。

解脱に成功するお話は異章と称され、彼女を止めるだとかそういう展開はありません。
強いて言うならば、そこに辿り着かないこと が彼女を止める唯一の方法だったんです。
異章ルートでのみ解脱してるんだから他のルートには関係ないでしょ?と思うかもしれませんが、
一度解脱しシミュレーション外の世界に出てしまった彼女は、観測者としてこのゲームをプレイ出来るようになったのでは?と思われます。
当然、過去も未来もフローチャートのように見え、他のルートにも記憶を保持したまま顕在できるようになったのでは…と。
プレイヤーのように。

龍木に「私は死んでも復活する」と狂気の顔で語ったのは、後にテアラァと同時に現れプレイヤーに復活したとミスリードさせること(これはあくまで製作陣側の仕掛けたミスリード)の他に、
プレイヤーがニルナンバーを打ち込み彼女を"解脱"させたことで世界に干渉できるようになることを暗示していたのだと思います。
(未来で最初に語られる事柄を、それより過去で発言するのは因果律に反し、世界に最大級の綻びを生じさせることだからです。そこまで読めていた彼女が怖すぎませんか?)


ゲーム内のキャラなのに所謂"第四の壁"を認識し語りかけ、実際にこちら側に到達してしまうキャラは初めて見ました。
絶対に来れないと思っていた存在が着々と侵食して迫ってきている。しかも解脱させたのは他ならぬ自分…
そう思うと怖くてたまらなくなりませんか?
この先、ゲーム内世界がめちゃくちゃになったとしても、手助けをしたのは自分だ…と。
続編が出て時雨が時系列を超越した何かとんでもないことをしでかしても、始まりは自分が解脱させたからだ…と。
(もしくは、この現実世界でも彼女のような存在が自分を観測しているのかもしれないと思うと…
それは流石に、と思いますよね?
でもシミュレーション仮説を知ってしまった以上、今の自分に完全に否定は出来ないんです)
物語上でそうなるならまだしも、自分の手でダイレクトに展開が悪い方に進んでいる感覚が気持ち悪くてしょうがない。

作中で真犯人に向けてアイボゥが語る、しょうがなかったとしても、罪は罪で、贖罪しないといけない。
その言葉が突き刺さって離れないんです。


さいごに

何より最後の最後にこうなる構造にした製作陣が凄すぎます。ほんとうに。
一作目と同じくギャグシーン満載で、みんなで踊って感動のフィナーレなのに、ほんの少しだけささくれ立ったこの罪悪感にも似た何か。
あの先が気になりすぎる物語を見せられては、ニルナンバーを入力せずゲームを終了させるなんてこと、絶対に出来ないんです。どう考えてもその先が見たいはずなので…
あと龍木越しにこちらに語りかけてくる兎紀子さん、正直めっちゃ怖かった。
声の凄みもありますが、なんというか、こちらを見透かされてる感がもの凄かったので…

時雨しかり製作陣しかり、このゲームが残していった"呪い"は相当なものだなと気が重くなっています。(超褒めてます)
ゲームでしか出来ない体験でした。自分で選択していったからこそ成し遂げさせられたものでした。
プレイヤーが介入すること自体に仕掛けがあり、それが結果的に黒幕の手助けをしているというのはかなり唸らされました。
ダイレクトに自分が"やった"と感じさせられたのはゲームならではです。
完全にハマってしまったので、更なる続編も…頼みますよ…!!!


ママさん大好き!


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