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1 俺が中野の妹である中野 怜から、中野から荷物を預かっていると言って呼び出されたのが、ここ中野である。ちなみに俺の名前は中埜。中埜 昌磨(なかの しょうま)という。その俺、中埜が中野で中野の話を聞きながら中野の妹の中野 怜とスズキの洗いを摘んでいる。ここは中野の居酒屋だ。 「そんなわけで、来てもらったんですけど。なんでウチが姉ちゃんのお使いなんか」と口を尖らせる向かいの席に座った中野 怜を見ながら俺、中埜は――と、もうこの辺でナカノナカノ言うのもしつこいのでここまでに
1 取調室に入ると、蒸し暑い空気が動きマスクの内側にまで男の体臭が運ばれてきた。 パイプ椅子に座る男の背後にある窓が開いている。換気のためだ。冷房で冷やされた空気は流れ出し、代わりに季節外れの真夏日で熱された湿っぽい空気が室内を満たしていた。 もう10月だというのに、30度を超えるこの暑さは異常だ。しかし年々、そんな日が増えているような気がする。やがてこの異常さにも慣れ、疑問を抱くことなく日常として受け入れる日が来るのだろうか。 そんなことを考えながら、東馬 文結(