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365日の作字記録【作字家べーさんインタビュー】

作字を知っていますか。

作字とは、パソコンなどには内蔵されていない文字を自分で生み出すことを言います。
そうなると無意識のうちにわたしたちも作字をしていることになるかもしれません。

今回は作字に365日向き合い続けた「作字家ベーさん」にインタビューを行いました。


作字家ベーさん(@pprnQ)

サラリーマンをしながら作字家として活動。iPadのお絵かき機能で作字をしている。
45歳で365日作字を開始して現在は46歳。

ベーさん

▽365日の作字
作字家べーさんInstagramより

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ーーーこんにちは。今日はありがとうございます。

べーさん:こちらこそありがとうございます。

ーーーすみません。待ち合わせ写真撮っていいですか。

べーさん:いいですよ。ただ僕は顔出しをしていないので顔は映らないようにお願いしたいです。

ーーーもちろんです。ありがとうございます。

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ーーーあ、ここもいいですね。ここでも待ち合わせ写真撮りませんか?

べーさん:いいですよ。

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ーーーいい感じですね!ありがとうございます。

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ーーー365日間の作字お疲れ様です。作字を続けてみてどうでしたか?

べーさん:純粋にしんどかったですねー。なのでここまで続いたのが驚きです。
僕が作字を始める前、Twitterで365日作字を続けた方がいたんですが、その方は365日続けたあとフォロワーが1万人くらいになってたんですよ。
だから僕もフォロワーが増えるかなって期待もあって(笑)。

ーーーフォロワーってどれくらい増えたんですか?

べーさん:ぜんぜん増えなかったです。
僕はフォロワー500人くらいから作字を初めて、いまで2000人くらいですね。

ーーー心外かもしれないですけど普通にすごいと思っちゃいました。

べーさん:ありがとうございます。作字を始めなかったら知り合えなかった人と知り合えたことは本当に嬉しいです。

ーーーわたしはべーさんが作字をする前から知っていましたが、べーさんの作字すごく好きなので長い間見られてよかったです。

べーさん:そんなありがとうございます。そうだ。今日作字を缶バッジにプリントしてきたんですよ。よかったらどれかいりますか?

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ーーーいいんですか!!!あ!「奈良」がある!この作字好きなんです。もらってもいいですか?

べーさん:どうぞどうぞ。

ーーーありがとうございます!!かわいい!服に付けます!

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ーーーべーさんの作字って独特な線や形のものが多いですよね。

べーさん:みんなが好きそうなのを敢えてやってないんですよ。こだわりですね。いいねをもらえなくてもいいから自分の描きたい表現をしています。
まあ、そうは言っても反応をもらえるのはうれしいですけどね。

ーーー自分の好きな形を追い求めていったらあの作字ができたんですね。

べーさん:はい。書家さんのイメージで作字をしています。書道の筆跡にならって順番通りに。線の流れや、次の文字とのつながりを大切にしています。

ーーー書道を意識ですか。いま納得がいきました。書道はされていたんですか?

べーさん:小学生の時に基本だけ習ってました。
同じ言葉でもその時の感情や状況が作り出す筆跡があるじゃないですか。僕はそういうのを大切にしたかったんです。

ーーーそれを筆を使わずにデジタル上で表現したんですね。

べーさん:デジタルでも書道で習ったことは意識して描いています。
それと僕は帰り道にバスや電車で作字をすることが多いんですが、バスや電車の揺れで動いた文字もそのまま使っています。

ーーーすごくいいですね!!他になにか特別な状況のときはありましたか?

べーさん:風邪をひいたときですかね。調子悪いからやめようと思ったんですけど、いまの状況でできる作字がどんなものか知りたくて。
ちなみに作字はお絵かきアプリ『Procreate』で描いています。

▽風邪の時に描いた作字(2日間)

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ーーーこの日がそうだったんですね!たしかにいつもとは違う線になっている気がします。
話は変わるんですけど、ぶっちゃけ作字を初めてからお仕事ってどのくらいきましたか?

べーさん:実際受けたのは4件ですね。いま5件目の案件を受けています。会社のロゴを発注したいと言ってもらえたんですよ。

ーーー会社のロゴですか!!

べーさん:そうなんです。僕は自主制作で自分のやりたいことをやってきたのに、僕の方向性を求めている人がいるんだなって。とても嬉しかったです。

ーーー自分1人でやっていると不安になりますし、そういった形で認めてもらえると嬉しいですよね。

べーさん:はい。しかも発注してくれた人は知り合いにデザイナーさんがいたらしいんです。でも僕が6月15日にTwitterに投稿した作字まとめがちょっと拡散されて。それを目に留めていただいたそうです。

ーーー型にはまった「デザイン」という方向性ではないところが、クライアントさんの方向性とピッタリだったんですね。

べーさん:僕も最初はグラフィックデザインに憧れていたんですけど、結局アートよりになってしまっているので。

ーーーアートよりとはいっても、やっぱりクライアントワークになると作品の方向性も変わってきますよね。

べーさん:そこが難しいところですね。
以前の案件で作字を提出したときに、「もう少しクセを抑えてください」って言われてしまいましたし(笑)

ーーー求めているラインを探るのって難しいですね。

べーさん:実は明日提出の案件がまだできていないんです。

ーーーそうだったんですか!

べーさん:でもイメージはありますし、追い込んだ方が降りてくるんですよ。初回の提出なので自分を追い込んでみようと思います。
反応を聞いて、直せる時間もありますしね。

▽公開済のお仕事
四川料理研究部

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べーさん:あっ、そうだ。家族は作字の活動を応援してくれているのですが、たまにしかられることがあるんです(笑)

ーーーえええ、そうなんですか?

べーさん:はい。僕がいけないんですけど家事をおろそかにしちゃう時があって……。

ーーーそうか、そこの両立もありますよね。

べーさん:家族の時間を犠牲にしてまでの活動にならないように気をつけなきゃと思っています。今のところ、作字を見せてもまたそんなことやっているの?って反応のほうが多いです。

ーーー寂しい気もしますが、奥さんの気持ちも分かるのでなんとも言い難いですね(笑)。

べーさん:でも奥さんはちゃんとフィードバックしてくれるんです。他の人から言われないような指摘を、厳しく的確にしてもらえるのはありがたいですね。
暗いとか、時にはその言葉自体やめた方がいいと言われますけど(笑)

ーーーたしかに厳しい指摘はなかなか聞ける機会ないですもんね。

べーさん:はい。あと、しかられる原因は子どもを裏切ってしまっていることもあるかもしれないです。

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ーーー詳しく聞かせてもらってもいいですか?

べーさん:もともとは子どもと一緒にプライベート漫画を描く予定だったんです。子どもが脚本を考えて、僕が絵の担当で。2人で楽しむ親子のコミュニケーションツールとして。

ーーーそれすごく素敵ですね。

べーさん:でもどうせなら作った漫画をネットに公開していきたいと思って。それならデザインもちゃんとやりたくて、オンラインコミュニティの「前田デザイン室」に入ったんです。

ーーー前田デザイン室に入ったのってそういう経緯だったんですね。

べーさん:はい。でも前田デザイン室のプロジェクトが面白すぎて。どんどん脱線して全然漫画が描けなくて(笑)

ーーー(笑)。

べーさん:子どもの脚本の方はもう終わってるんですけどねー。
最初に漫画を描き始めてからでいうと、もう5年も経ってるんですよ。子どもも結構大きくなっちゃいました。

ーーー漫画じゃない他の楽しそうなことを始めたのが面白くなかったんですかね。

べーさん:そうみたいです。「毎日iPadしてる時間あるなら漫画の続き描いてよ!」と言われたこともあります。
でも、今はもう諦められてますね。嫌われちゃってるのかな。
なので今後は息子の信頼回復が課題です。
やっぱり作字は今後もしていきたいですけどね。

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ーーー今後やりたい作字ってなにかありますか?

べーさん:ミュージックビデオのタイトルとかしたいですね。

ーーーベーさんの作字とすごく相性が良さそうですね!うわ〜見たいです!

べーさん:あとはアーティストやクリエイターとコラボした仕事がしたいですね。
ポスターを作ったりとか。
僕は配色が苦手なので、その辺もお願いしたいです。もちろん配色の勉強はしていくんですけど、もっと上手な人にしてもらえた方が絶対いいので。

ーーーコラボすると新しい可能性が生まれそうで楽しみですね。

べーさん:あと作字でいうと個展を開きたいんです。
ちょうど今日掛け軸を買ってみました。ここに作字をするのもおもしろいかなって。

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ーーー掛け軸かっこいいですね!べーさんの作字が入った後が楽しみです。

べーさん:ありがとうございます。

ーーー作字以外でもしてみたいことってありますか?
たしかVTuberに興味があるってTwitterに書いてましたよね。

べーさん:VTuberになりたいですね。
僕は顔出しをしない範囲で活動しているのですが、話すのは好きなんです。声だけだと味気ないのでアバターを付けられるVTuberになりたいなーと。
YouTuberにも興味があります。

ーーーべーさんって音声SNSの「クラブハウス」でいろんな方と話しているイメージがあります。やっぱりお話好きなんですね。

べーさん:ほぼ聞き役ですけど、いろんな方と話せるのは楽しいですね。テキストだけのコミュニケーションは苦手なんですよ。
あとは作家として人となりを伝えたいという思いもあります。

ーーー印象がまた変わりますもんね。VTuberやYouTuberでの活動は、どういう内容にするかって決まっているんですか?

べーさん:話したりもしたいですし、「歌ってみた」もしたいです。
45歳のパパが『Adoの踊』歌ってみたとか(笑)

ーーーすごくいいですね!!聴いてみたいです(笑)。
いままでに人前で歌った経験ってありますか?

べーさん:見知らぬ人とデュエットができるアプリに2年くらいハマってたことがあります。
家族に、「ちょっと歌ってくるわ」と言って車の中で毎日歌ってましたね。

ーーーそれいいですね!

べーさん:あとは結婚式で歌ったり、学生の時はボーカルをしていました。

ーーーかなり本格的な経験があるんですね!

べーさん:英語の歌詞を間違えたりして、そのまま勢いで歌ってました。なのであまり期待しないでください(笑)

ーーー(笑)。
べーさんはやりたいことが途切れることはないんですか?

べーさん:そうですね。いま他にプロダクトデザインや3Dプリンターにも興味がありますし、フィギュアや便利グッズも作りたいです。
エジソンになりたかったので発明もしたいし、人の役にも立ちたいです。
人が好きなので人と関わっていきたいですね。

ーーーべーさんが人好きなのすごく伝わります。SNS上でもいいなと思った人を褒めたり、励ましたりしてる様子をよく見かけました。

べーさん:それが嫌だなと思う人がいるのも分かってるんですけどね。余計だとか、おせっかいとか。

ーーーそうなんですか。

べーさん:だから結婚して本当によかったなと思うのが、奥さんがブレーキの役目をしてくれることですね。
たぶん奥さんがいなかったらもっと自由にいろんなことをしています。恥をかくことも含めて。

ーーーはい。

べーさん:結婚してなかったらきっといろんな人とぶつかってばかりでした。もちろんぶつかった方がいいこともありますけどね。
制約はありますがやりたいこともさせてもらってますし、いまとても満足です。

ーーーいい関係性ですね。べーさんのTwitterを見ていても家族のことを大切に考えているのが伝わってきます。

べーさん:そのTwitterでも使っている「作字家べーさん」という活動名なんですけど、僕にとってこの名前は新しい自分なんです。
本当は僕、変わった人とか、おちゃらけたりする人が大好きなんですよ(笑)。

ーーーベーさんはそんなイメージがあります(笑)

べーさん:だけど本業はめちゃビジネスマナー厳しい仕事ですし、年齢もあるし、家族に迷惑かけてはいけないので顔出し本名で発信できなかったんです。

ーーーそうだったんですね。

べーさん:でもペンネームがあったから、本来の自分が出せたんです。べーさんは僕であって僕じゃない僕なのです。
今後違う活動をするにしても、この「作字家べーさん」の名前を使っていきたいと思っています。

ーーーベーさんは「作字家べーさん」という活動名に救われてきたんですね。
もちろんべーさんがいろんな活動をしてきたからこの名前が特別なものになったことも大きいと思います。
今日は本当にありがとうございます。

べーさん:ありがとうございます。

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▽365日作字最終日

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べーさんTwitter(@pprnQ
べーさんInstagram(@sakujika_beesan

サポートしてもらえたらうれしすぎてヒョーー!!ダンスダンス!!!🕺🕺🏻🕺🏼 そのあとはサポートしてもらった画面をスクショして何回もニヤニヤします。