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猫としっぽ

人類にはあまり知られていないが、猫は一般的に「猫本体」と「しっぽ」に分けられる。

人類の言う「猫」は「猫本体」である。

では、「しっぽ」は、というと、高い知能を持つ、非常に洗脳のうまい、

それこそ、「猫本体」にも気付かれぬよう、巧みに「しっぽ」になりすまし

ている、超知的生命体なのである。だから、「猫本体」は、全く寄生されて

いることには気づいていない。

「しっぽ」を乗っ取った超知的再命体は、「猫本体」と分離することはな

く、一つの「しっぽ」に寄生し続け、「猫本体」と生涯を共にすると考えら

れている。

皆さんも見たことがあるのではないだろうか?

「猫本体」は非常に心地よさそうに寛ぎ、液体のように体を横たえているに

もかかわらず、「しっぽ」と耳は辺りの様子を窺うように絶え間なく動いて

いるのを。

その、超知的生命体が「しっぽ」に寄生し、支配され「猫本体」の意思もあ

る生き物を人類は猫として飼っているのである。


それでは、猫は、何時寄生されるのか、であるが、だれ一人寄生の瞬間を記

録できたものはいない。

というか、記録をしても、記録者本人が、その記録を消し、かつ、

【記録をしたにもかかわらず、その記録を自ら消去した】記憶を失っているのである。

つまり、超知的生命体である「しっぽ」は、「猫本体」に寄生した後、近く

にいる他の生物さえも限定的ではあるものの、操れることが判明している。

例えば

「しっぽ」は、「猫本体」の機嫌が良いと「猫本体」を操りやすいとされて

いる。

それ故、

猫を飼っている人なら当然の事だと思うが、人類の前で、「猫本体」は非常

に愛くるしい仕草をし、人類に撫でられ、ゴロゴロと心地よさそうに前足を

モミモミし、

(何て可愛いんだ、もっと撫でてやろう)

とさらに「猫本体」をなでてしまう。

そして、人類は、

洗剤を買いに行く事や、

風呂の水を溜めている途中である事、

やかんを火にかけている事、

後30分後に出かけなければいけない事、

等を忘れてなでなでを続けてしまう。

その他にも、

運動をしようとモノを片付けた居間の真ん中、

ストレッチのために敷いたヨガマットの上、

これから寝ようと敷いたフワフワの掛布団の首のあたり(寝たいのに布団に入れないじゃないか)

等の場所に、さあこれから!というタイミングで必ずコテンと横たわり

「にゃ~ん」

と聞き逃せない魅力的な鳴き声を出してくる。そして、「猫本体」がゴロゴ

と心地よくなるまで、予定していた手を止めつい撫でてしまう。

これらは全て、「猫本体」に寄生している「しっぽ」が「猫本体」を操りや

すくするために、「猫本体」を、そして人類を操り、「猫本体」を撫でるよ

うに仕向けた結果なのである。

用事を忘れるのは飼い主が間抜けなのでは断じてない。

ちなみに、早朝、猫の飼い主がまだ、とっぷり夢の中で心地の良い時を過ご

している時に、

顔を舐め、

(朝ごはんを早くよこせ)

と催促してくるのは「猫本体」の意志である。


「しっぽ」は基本、太陽光ながらえるので、猫が日向ぼっこをするのには、

「しっぽ」の影響が大きいと考えられている。

もう一つ「しっぽ」の大事な栄養源としては「猫本体」の心、具体的には、

へそ天するほどのリラックス

フーフー言うほどの狩り遊び

が多いほど「猫本体」の満足度が上がり、結果、「しっぽ」にも多くの栄養

が届くと考えられている。


そんな「しっぽ」として「猫本体」に良くなじみ、ともに快適に暮らしてい

そうな両者だが、一方では、好奇心の塊であり、「猫本体」が入っていくよ

うな狭い場所にも、奇声をあげながらぐいぐい入っていく小さな子供には、

人類の大人同様、手を焼くこともあるようで、

(産まれたばかりの頃から、「おぎゃあ おぎゃあ」と泣くたびに、頭を舐め慰めてやったのに)

という目をしながらも、テーブルの下の寛ぎスペースを明け渡したり、

「猫本体」が食事をしている時に高速ハイハイでズイズイズイと近づき、食

事の様子をじっと見つめられても、頭をグイグイ押し付けられても。じっと

我慢をするのである。

それは、何よりも、小さな子供の、突然の「しっぽ」つかみを出来る限り辞

めさせる事を第一に考えているからであろう。

だが、

小さな子供の好奇心は超知的生命体である「しっぽ」でも止めることができ

ず、小さな子供の手が届く範囲に「しっぽ」があることを忘れ、つい、シュ

ルッとでも動かしてしまうと、好奇心に満ちた丸々とした目でしっかり捉え

られ、小さな手でガシッっとつかまれてしまい、人類の膝の上という、

周りの事をつい忘れ、安全で快適に「猫本体」を撫でさせることのできる場

所から、一目散に離れることをよぎなくされるようである。

このように、上手く環境になじみ、快適に暮らしている「猫としっぽ」では

あるが、この超知的生命体が、なぜ猫に寄生し、また、小さな子供にしっぽ

を捕まる危険を冒してまで人類に飼われているのかは未だ謎であり、これか

らも観察を続けるものとするワン。


読んでいただきありがとうございました。現在保護猫と暮らしており、色々な方が猫に、少しでも興味を持ち、一匹でも多く幸せに暮らせる猫が増えればと思いかいてみました。

楽しんでいただき、また、猫の事に関心持つ方が増えればうれしくおもいます。


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