見出し画像

夢の本棚③知念美希人〜硝子の塔の殺人

○ストーリー
雪の降りしきる中にそびえ立つ硝子の塔。
ミステリー中毒の富豪・神津島がパーティーを主催する中、医師・一条遊馬は富豪・神津島を殺害し完全犯罪を目論むのだが、事態は予想意外の展開に。
富豪は自分以外の何者かに殺害されたのだ。
作家、刑事、名探偵、霊能力者、医師、編集者人物たちの胡散臭い影。
それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。

○談
知念さんのミステリー2作目を読破しました。
この作品には本筋とは別にミステリーのあらゆるオマージュがいっぱい詰まってます。
欧米の古典から日本のミステリーの流れ、特に80年代後半に巻き起こった綾辻行人ら新本格派への敬意が感じ取れます。

ハードカバーの帯にはその新本格派の面々が賛辞を寄せてます。
新本格の生みの親である島田荘司は新本格のクライマックス、これを超える作品が現れないだろうとまで述べてます。

さて本筋ですが、医師・一条遊馬から始まる犯人視点の倒叙ものかと思わせておいて、最初の殺人以降名探偵・月夜碧の視点からも入り、事件の真相に迫って行くところが斬新ではないかと思います。
二度三度のどんでん返しはまったく読者を飽きさせません。

新本格にはまった方、ミステリー初心者、幅広い読者層におすすめの一冊であります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?