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イーグルス〜ホテル・カリフォルニアの幻影

イーグルスは2017年、ドン・ヘンリーと共にバンドを引っ張ってきたグレン・フライが亡くなり、活動停止となった。
しかしライブ活動としてはその後グレンの息子、ディーコン・フライが参加して継続していたが、昨年ファイナルツアーが行われて2025年で終える。

1971年のデビューから50年以上活躍したバンドであるが、オリジナルアルバムとライブアルバムを合わせても僅か9枚という寡作バンドである。
結成以来作詞作曲の中心人物であったグレンの亡き後はバンドの存続に関わるものであった。

イーグルスの発端がリンダ・ロンシュタットのバックバンドであったことは既に周知のことだが、オリジナルのメンバー、ドンヘンリー、グレン・フライ、ランディー・マイズナー、バーニーレドンはこのチャンスをものにしようと考えていたのだろう。
そして彼らは1stアルバムを製作しデビューする。

○テイク・イット・イージー
ジャクソン・ブラウンと共作した軽快なカントリーロックナンバー。


2ndアルバムの「ならず者」は西部劇のアウトローの格好をしたメンバーの姿が印象的。
同タイトル曲はロック史上に残るスタンダードナンバーとなった。

○ならず者
ドン・ヘンリーとグレン・フライが作曲したカントリーバラードの傑作。

初期のイーグルスの根幹であったのはドンとグレンのコンビであったが、カントリーの味付けはバンジョーまで弾きこなしていたバニーとバックボーカルを支えたランディであった。
しかし1974年発表の3rdアルバム、「オン・ザ・ボード」では明らかにサウンドへの変化が表れる。プロデューサーのビル・シムジクの起用によりロック色が強まるのだ。

○我が愛の至上
イーグルス節というべきカントリーロック。
シムジク交代前の作品だろうか?


シムジクといえば、同年ウイッシュボーン・アッシュのアルバム、「永遠の不安」を手掛けている。
ウイッシュボーン・アッシュがアメリカ市場での挑戦を目論んだが中途半端に終わっている。
しかし逆にイーグルスではドン・フェルダーをゲストに迎え、ウイッシュボーンアッシュを彷彿とさせるツインリードギターとマイナーなメロディーセンスを打ち出していく。
これがのちにホテル・カリフォルニアというモンスターアルバムに発展する。
確かシムジクもアッシュとの関わりは経験になったと記事で読んだ記憶がある。

そして4thの「呪われた夜」
私はこれ以前のイーグルスは知らなくて、おそらく初めて知ったのがこの曲だ。
FMやラジオや至る所でかかっていた。
ちょうどサタデーナイト・フィーバーを代表するディスコ・サウンドの全盛期、アクの強い和訳のタイトルナンバー、そして強烈なディスコビートの効いたイーグルスのサウンドは聴衆層をさらに拡大した。
しかしドン・フェルダーの弾く強烈なギターソロとバンドのハーモニーは他のディスコサウンドとは一線を画していたのだ。

元々イーグルスの大半の曲はドン・ヘンリーとグレン・フライが担ってきたが、このアルバムはほぼドン&グレン体制が確立。
そして演奏面ではドン・フェルダーがフォローして居場所のなくなったバニー・レドンはバンドを脱退してしまう。

バニーの後任はバンドとして悩んだが、元ジェームズ・ギャングのジョー・ウォルシュを抜擢、プロデューサーのシムジクもウイッシュボーン・アッシュでの挫折を見事に開花させる。

イーグルスの1976年の代表作「ホテル・カリフォルニア」はロック色は強いが、捨て曲がない素晴らしいアルバムだ。
いかにもありそうなホテルだが、このホテルは架空のものである。

○ホテル・カリフォルニア
ロック史上ベストテンにランクインされる名曲。ローリング・ストーンズの「悲しみのアンジー」に似たイントロの後に展開されるマイナーなメロディーとハーモニー、後半はドン・フェルダーとジョー・ウォルシュのツインリードのハモリが最高だ。


○ニュー・キッド・イン・タウン
まさにウエストコースト風の佳曲。
ハーモニーが素晴らしい。


○駆け足の人生
ジョーウォルシュのハードなリフが冴えるロックナンバー。


こんなモンスターアルバムを出したせいか、メンバー間の軋轢はさらに進み、ランディ・マイナーは脱退、代わりにティモシー,シュミットが参加する。
次のアルバム「ロングラン」は3年後の1979年発表。
前作のプレッシャーがあり、外部にも協力を依頼し、苦戦した作品。
タイトル名から長き活動に終止符を打つ意味にも取れる。
2007年に発表された「ロング・ロード・アウト・エデン」が実質のラストアルバムだが、私はこれは未聴。

○言い出せなくて
ティモシーがファルセットを駆使して歌うメロウなバラードナンバー。

ロックの一時代を築いたイーグルスであるが、ドン・フェルダーの脱退、グレンフライ亡き後は偉大なるイーグルスを演奏するカバーバンドであったことは歪めない。
だが今も彼らの作り上げた楽曲は世界中で聴かれ愛されているのである。

○ホール・イン・ザ、ワールド
最後のオリジナルアルバムに収録されたイーグルスの持つハーモニーの魅力をたっぷりと堪能出来るナンバー

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