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虹のバァルガード〜第6回

流浪の街 ガルム
4.

「アイニス、そのバランスさ。その保たれてきたバランスがまた崩れかかろうとしてる。」

「だいたいのことがわかってきたな。ミルド、マーダス帝国はバルガァード星国の復活を企んでるのか?」
道斗は疑問をぶつけた。 

「まだはっきりとしてませんが3年前帝国に現れた軍師が鍵を握ってます。」

「軍師?」

「ええ‥その男はマーダス皇帝を操り、たった一年でマーダスを壮大な軍事国家に変えました。異界の血を引いてるとも言われてますが、名前も風采もわからず、すべて謎に包まれてます。」

「異界から来た謎の軍師か?じゃあおれも異界の戦士になれそうだな。」
道斗は自信たっぷりに言った。

「シンジヨウ、あなたはまだこっちに来たばかりじゃないですか?この世界をまだまだ何も知らない。」

「ああそうだ。おれは新米の科学者だし、格闘家だよ。とにかく疲れた。」
道斗はミルドの決めつけに少しムッとした。

「これこれミルド、シンジヨウは疲れてるのよ。そろそろ休ませてあげて。」
アイニスはミルドに釘をさした。

「アイニスは本当に甘いんだから。」


道斗は朝早く目覚めた.
こんなことはまだ夢かも知れないと疑ってたが
、身体の傷痕から現実であることは間違いなかった。

‥ミルドの調合した薬がだいぶん効いてるな。
この世界の治療はおれのいた世界とはまったく違うんだろうな。‥

ふと考えにふけっているときにドアのノックが聞こえた。

「どうぞ。」

アイニスだった。
「シンジヨウ、身体の具合はどう?」

「ありがとう。昨日は何か特別な薬を頼んでくれたんだろう?」

「ここも薬局なんだけど、一般の大衆薬しか置いてないのでね。」

「そうなんだ。ミルドに礼を言わなくちゃ。」

「私が昨日強く言ったもんだから、彼‥落ち込んでしまってね‥今朝のご飯は気合い入れて作ってるよ。もう少ししたら持ってくるからね。」

「アイニスやミルドはおれよりずっと婆さん爺さんなのにまるで子供みたいだね。」

「またそういうふうに言ってると、ミルドに嫌われるわよ。」

「そうか‥」
道斗は頭をかいた。

ノックしてミルドが入ってきた。

「シンジヨウさん、朝ごはんを持ってきましたよ。」

テーブルには美味しそうな料理がいっぱい載っていた。

「うわあ、すごいご馳走じゃないか。」

「たっぷり食べて栄養をつけて下さいよ。」

ミルドの機嫌も直っていた。
道斗はスプーンを取り食べ始めた。

「おれの住んでいた世界と似てるね。
ご飯と玉子、スープ、これはハムかな?」

「そうですね。地球のものと似てます。
でも若干の違いはあります。
これは地球でいう米ではありません。
ライドという植物から加工したもの、こちらの卵は鶏でなくて、ルガノという鳥。
ハムはムイカという動物の肉です。」

ミルドは詳細に説明した。

「ミルドは地球についてもある程度の知識はあるよね。それはどこで知ったの?」
道斗は尋ねた。

「赤い石の記憶からです。このバルガァードの世界は色によって成立してるて言いましたよね.。その色を象徴するのが色の石です。
ここハイデールにもおいても赤い石が大聖堂に保存されてます。その石は持つことも出来ないし、破壊することも出来ません。なぜなら強烈な結界で保護されているのです。ところがその石が持つ様々な記憶を引き出すことが可能なのです。」

ミルドが魔法で赤い石のイメージを伝えた。

「これは俺たちの世界ではルビーという宝石に近い。いやそのものか?」
道斗はスプーンの動きを止めた。

「シンジヨウさん、やはりそうでしたか。各国にある石もおそらく地球にある宝石の原石でしょうね。」
ミルドに続いてアイニスが口を挟んだ。

「シンジヨウ、実は今日王都の方へ行くことをミルドと話してたの。もちろん大聖堂にも寄ることもね。」

「行くよ。その赤い石は俺がなぜこの世界へ来たのか、その答えになるかもな‥」

と道斗が言った時、外で騒がしい声が聞こえてきた。
と同時にミルドの店の薬剤師が入ってきた。

「大変です。ミルド様、奴らが街に乱入してきました。」






















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