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イエス〜プログレッシブロックという名の危機

この記事を書いてる最中にドラムのアラン・ホワイトが亡くなった。
 72才‥
ビル・ブラフォードの後を継ぎ、ジョン・レノンのバンドにも加わった骨太なドラマーだった。
ご冥福をお祈りしたい。

さてプログレッシブロックのなかでも極めて異色なのがこのイエスではないだろうか?
一応五大プログレッシブロックに含まれるバンドなんだけどね。

黄金期のラインナップをみてみる。
そもそもカントリーやジャズの影響濃いギタリスト、スティーブハウ、同じくジャズに影響され、キングクリムゾンのドラマーでもあったビルブラフォード、クラシック出身のキーボード奏者リックウェイクマンという強力なメンバーを迎えながらも、最初から死去するまでバンドに在籍した実質的なリーダー、クリフスクワイヤがゴリゴリのピックペースで弾き倒す。
こんな強者の演奏人を前にハイトーンのジョン・アンダーソンが歌うとそこは幻想と詩の世界だ。

難解な歌詞とテーマ、
危機や海洋地形学の物語といった70年代の作品の大半はプログレ満載である。
しかしブリティッシュハードロックの雄、ディープパープルと比較すると意外な音楽性が見えてくる。

友人でもあるウェイクマンと同じくクラシック音楽をバックグラウンドに持つキーボードのジョンロード、そしてハイトーンのボーカル、イアンギラン、ゴリゴリのピックでベースで弾くロジャー・グローバー、バロック音楽に影響を受けたスーパーギタリストのリッチーブラックモアという顔合わせ。
似てるね。
私的にはディープパープルが動でイエスが静なのだ。
これはプログレとハードロックの線引きではないのかもしれないが。

○ラウンドアバウト〜レコードで聴くと変拍子炸裂だが、ライブはゴリ押し的なサウンド感覚で
ハードロックに通じるものがある。

そんなイエスだが、ウェイクマンやスティーブハウの脱退にもめげず、パトリックモラーツやトレバーホーンといった才能あるミュージシャンを加え80年代はそれこそ売れ線の方向に舵をとった。

スティーブハウとは異にするトレバーラビンを迎えた80年代のイエスはロンリーハートのビッグヒットを放ち、ポップな方向へと転換、多くのプログレバンドが苦戦するなか新たな黄金期を迎える。

○ロンリーハート
プログレで最も売れた曲でないだろうか?
イントロの印象的なリフは他のバンドも取り入れていたようだ。

ポップなイメージであるが、今ライブでやってもそんなに違和感はない。
しかし作詞の内容からというとイエスの持っていた本来の幻想感や神秘性は感じられない。

イエスが他のプログレと違う大きな特徴がある。

それはバンドメンバーの誰かが辞めても、バンドとして存続出来るという点。
他のバンドは主要メンバーが辞めることで右往左往する。

なぜかイエスにはそれがない。
なぜなら反目し合っていた旧イエスのメンバーと新イエスのメンバーは90年代に結晶という作品で合流しているのだ。
プログレでまたはロック界でこんなパーマネントなバンドはほとんど例がない。

最初から亡くなる前まで在籍したクリススクワイヤがいればイエスであるという捉え方もあったが、しかしそれも彼が亡くなった後も活動し続けていることから、誰が欠けてもイエスを名乗ればOKなバンドなのだ。

秋にやってくるイエスは彼らの代表作、危機を丸ごと演奏するという。

プログレッシブロックを演奏するバンドが減りつつある今、彼らは本当に危機を感じてこの曲をやるのか?それともイエスというバンドの聴衆へのサービスなのか?
もしこれからも次世代が参加出来るのであればさらに次の世代へ音楽を伝えてほしい。

では最後に
○シベリアンカートゥル
危機のラストに収められたいたドラマチックなナンバー

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