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流行には一度乗っておけ

今朝(2/26)放送された地上波情報番組で、
有名漫画家の死去に関するコメントが話題を集めている。
出演するコメンテーターのほぼ全員が、
「読んだことも見たこともない」といいつつ、
適当なコメントをつけて濁していたのだそうだ。
年齢、世代が合わない、という理由だそうだ。

そんな話題を耳にしてふと思い出したのが、見出しにした言葉である。
この言葉は、私が数年前に取材したゲームプロデューサーの言葉だ。
「好き嫌いや自分の価値観に合う合わないはまったく別にして、
流行しているものを少なくとも1度は実体験しておくべき」
というのが、氏の持論であった。

コンシューマ向けゲームの開発という職務上、まずは様々な流行や嗜好を実体験として知ることが大切であり、経験することでこれまで自分になかった価値観や面白さ、斬新なアイデアを見出せるかもしれない、
というところからの発言である。

しかし、これはゲーム業界に限ったことではない、と私は思う。
出版・編集やメディアに関わる人はもちろん、他業種の会社員も自営業者も学生も無職の人も、自分がこれまでに経験したことのない物事を体験できる機会や時間があれば、できる限り積極的にアプローチして体験することが大切なのではなかろうか。

それは決して好奇心を満たすためだけではなく、流行に乗っている人たち(たいていの場合若者たち)のことを知る第一歩であり、次の時代の重要な要素になるかもしれない事象の予習にもなるのだ。

太古の石板に「最近の若者は~」書かれていた、それだけ昔から若者を嘆く年配者がいた、などという噂話も一時期あった。私たちも、確かにそういわれて若者時代を過ごしてきた。きっと連綿と受け継がれる決まり文句なのかもしれない。
ところが、そう言われたことを忘れている人が本当に多い。また、「年寄りは頭が固い」「わからずやだ」と若い時分に憤慨していた感情さえ忘却の彼方に葬り去られている。
その結果どうなるかといえば、自分の経験を棚上げしたまま柔軟性が落ち、思考力をなくした「老害」とさげすまれる年配者が誕生してしまう。

イメージ画像(PhotoAC bBear様)

心の置き方、視点の在り方次第で、私たちはいくつになっても柔軟な思考を持てるはずである。自分の価値観は間違いなく大切にしたいものではあるが、それは自分の軸として維持しておけばいいだけの話だ。
公序良俗に反しない限りは、もっと柔軟な思考を持てるよう
いろいろな事象、分野を実体験し、
その上で自分なりの解釈をするべきではなかろうか。
若者に媚びるためではなく、
時代に取り残されないため、
時代に対応していくため、
そして自分たちが嫌っていた頭の固い年配者にならないためである。
少なくとも、私はそう思う。


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