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備前地域の信仰まとめ4

岡山県は備前地域のおもに南側でよくみられる民間信仰についてまとめておく。


⑲八大龍王

 水の湧き出る井戸、岩肌から水が染み出しているところに八大龍王を勧請していることがある。水の神として龍神を祀っている。
 雨乞いの神として乞雨祭を行うこともある。たくさんの薪を焚いたり、一升ますを持ち寄って洗い、積み重ねるなどしたという。
 備中の方では大山寺から勧請していることが多いが、備前ではその風は珍しい。

寛政年間の銘がある八大龍王の石塔

⑳道通神社

 道通神社は笠岡市のものが有名だが、岡山市中区沖元の沖田神社の末社道通神社も信仰が深い。
 沖田神社の道通様は笠岡市から勧請してきたとも、備中高松城城主清水宗治の弟を助けた蛇を祀るとも言われている。
 トウビョウと呼ばれる蛇は道通様と関りが深い。トウビョウは小さな蛇で、頭の後ろ辺りに黄色の輪があるといい、祟りが激しいと恐れられている。トウビョウ信仰じたいは中四国に広く分布している。

岡山駅近くの道通神社

㉑水神

 地神塔が水路沿いに多いことは備前地域の信仰まとめ1で述べた通りであるが、備前も西部の方、岡山市北区などは地神塔の傍に水神の碑があることも多い。
 五神名地神塔の横に水神が置かれているものはほぼ見かけず、多く見るのは

  • 「地神」「水神」と一つの石あるいは二つの石に分けて彫られている

  • 「地神二神」などのように区別せずに彫られている

のタイプである。
 さらに、横に題目石などがあることも多く、日蓮宗との関係が予想される。

水路沿いの地水二神

㉒庚申信仰

 県下では庚申様は田の神、農業の神として信仰されていることが多い。庚申堂がある場合や、神棚に庚申様を祀っている場合がある。
 庚申の日には夜更かしをし、夜なべをしてはいけないという。普通の日に長話などをすると「話は庚申の夜さ」と言われる。
 庚申塔の数は多くはないが、ところどころに点在している。また、庚申塔じたいが庚申信仰にまつわるものであるということを忘れられ、イボの神などとして信仰されていることも多い。
 寺院などにある帝釈堂などに集まることもある。

帝釈堂の猿像

㉓山上講

 山上様を祀る。
 役行者の画像を掲げ、大きな法螺貝を吹き四鈷鈴を振りながら「南無行者大菩薩」「南無大師遍照金剛」梵語を唱える。
 法者が村々を廻らなくなってからは減っていった。

㉔金毘羅様

 金毘羅様は言うまでもなく香川県の金刀比羅宮のことである。近世には広い信仰を集め、代参なども行われた。
 漁民は豊漁を、航海者は航海の安全を、農民が豊作を祈願する神として広く信仰され、海から離れた場所でも勧請されたり常夜燈が建立されるなどした。

山の中腹に勧請された金比羅宮(吉永町)