髙橋開成 / Kaisei Takahashi

演劇人 【所属】劇団だばし / 劇団羅夢駝 役者と脚本と演出と音響と照明。戯曲的な透明…

髙橋開成 / Kaisei Takahashi

演劇人 【所属】劇団だばし / 劇団羅夢駝 役者と脚本と演出と音響と照明。戯曲的な透明感のあるエッセイを目指して書いています。

マガジン

  • 僕と演劇。それは第六感の旅。

    中学から演劇を始めて10年。温かい目で読んでください。主張は変わります。若いから。それが若さの特権だから。

  • 理科大演劇部 劇団羅夢駝

    東京理科大学公認演劇部、劇団羅夢駝に在籍しております。自分が4年生になり、メインの活動から離れるタイミングで振り返りをしようと思って書いてます。

最近の記事

エメラルドグリーンの太陽が、夜に溶け滑り落ちた春の日

4月、始まる新生活に、新たな人とのめぐり逢いや、かぐわしい日々の香りが広がり始める季節だ。僕は日々、同じ道を歩いて同じ場所へ赴き、同じように命をつぎ込んでいる。そこで毎日同じようで少しだけ違う、いや、少しずつ変わっていく空気感を傍観している。 暖かさや彩りをまとっている春の空を見上げると、少し霞んでいるようだった。この世界も僕らと同じように、暖かさをまとって空に舞い上がっているのだ。だから太陽は、本来放つ光とは違う色をしている。眩いのではない、散乱して朝を感じるような優しい

    • 名前のない役者達紫の終わり

      全4公演に渡る名前のない役者達紫が、3月21日に終演した。 自分は、作・演出 菊地穂波『その後にちょうどいい涙というのがあって』ユニットDとして参加した。単身での参加、特に自分から応募するような形での参加は、初めての経験であった。名前のない役者達の締めくくりをしよう。いや、したい。させてくれ。 昨年の秋口。世界が肌寒くなり始め、道沿いに色味が出始めたころの話。4/11~4/14に、王子小劇場にて上演される『エージェントクリミナルズ』に、役者としての出演依頼を受けていた。しか

      • 理科大演劇部ラムダの話をしよう。そして、大学での演劇の話を。(4)

        【第四部】排気口、春公演、その先。 自分の演劇観が変化するきっかけになったのは、排気口との出会いだった。今まで自分が触れてきた、つかこうへいさんの作品、殺陣やアクションを中心とした勢いに溢れた激しい作風。こういった自分の演劇哲学に、新たに1つ面白さの哲学が追加された感覚。面白い演劇って、いろいろな形があるんだと、本当に心の底から思った。古の諺のような、そんなありきたりな言葉を本気で思わせられるくらい。それくらいの衝撃を受けた。 これは一種のカルチャーショックであり、自分が

        • 理科大演劇部ラムダの話をしよう。そして、大学での演劇の話を。(3)

          【第三部】ラムダの黎明期と、演劇観の変化。 苦難の連続だった2022年度秋公演が終わり、冬部内公演と、春公演の始動に向けて、我々は動き出していた。冬公演は主に、1年生に演出の経験を積ませる、という意味合いが強く、自分が、あまり表に出ないようにすることが重要だった。自分の班はインフルの蔓延で中止になったが、少しずつ演劇に対して自我を持ち始める後輩。その姿を見て、ほんのちょっとだけ安心した。少し前までは、目の前すら暗闇だったラムダの未来が、だんだんと明け始めていることを感じた。

        エメラルドグリーンの太陽が、夜に溶け滑り落ちた春の日

        マガジン

        • 僕と演劇。それは第六感の旅。
          5本
        • 理科大演劇部 劇団羅夢駝
          4本

        記事

          理科大演劇部ラムダの話をしよう。そして、大学での演劇の話を。(2)

          【第二部】活動再開と秋公演の苦悩 2022年3月に春部内公演『銃と正義とおかまバー』が終演し、新年度がスタートした。新歓活動がスタートしたが、相変わらずのオンラインで、「入部者が来てもすぐに抜けていってしまうのではないか」という、前年と同じような悪い想像が、頭の中を巡っていた。しかし、この頃から少しずつ、いろいろな団体が対面活動を再開し始めているという情報がはいり、自分は複数の部員と相談し、一刻も早く対面活動再開の許可を得ようと動き出していた。 この年の新歓の記憶があまり

          理科大演劇部ラムダの話をしよう。そして、大学での演劇の話を。(2)

          理科大演劇部ラムダの話をしよう。そして、大学での演劇の話を。(1)

          【第一部】入部とオンライン劇 自分が劇団羅夢駝(以下ラムダ)に入った理由は単純だった。理科大に進学することを決めたからだった。演劇を続けることに決めたのは、高校の卒業公演があったからだ。 自分が高校を卒業したのは3月10日。その後、高校演劇部の卒業公演として、第29回はいすくーるドラマすぺしゃる@俳優座劇場に出演することになっていた。4月まで約1カ月間の稽古が始まった。その1カ月は本当に楽しかった。たったの1カ月にもかかわらず、受験の1年より何倍も密度が濃くて、かけがえの

          理科大演劇部ラムダの話をしよう。そして、大学での演劇の話を。(1)

          感情:制御不能な不完全細胞

          前書き更新をサボっていた理由は勿論あります。以前までは、毎日更新をして数をこなすことを目標としていましたが、それでは元来の目的である、文章力の向上は達せられないと気付きました。そのため、これからは十分と書きたい内容を見定め、じっくりと自己考察をしてから書こうと決めましたので、もし足をお運び頂いたのであれば、最後まで読んでいただきたいと思います。 感情をたしなみ、感情に翻弄されるさて、今回は感情について書きたいと思います。この議題を選んだ理由は、やはり留学中の身である自分の立

          感情:制御不能な不完全細胞

          男子校という混沌空間

          男子校においでよ男子校というのは、年々減少傾向にあるというデータがあります。女子大学はあるのに、男子大学はありません。何故でしょうか。そんな意外と皆さんが知らない男子校の真実を、皆さんのお目にかけようと思います。 共学にならないかなぁ……僕は都内中高一貫の男子校に通っており、現在男子校歴は6年目。休学中で通学していない期間があるので、実際は1年間通っていないのですが、合計7年間在籍する計算になります。男子校生の思考というのは、偏差値の良し悪し関係なく単純明快。思考がほとんど

          男子校という混沌空間

          景色と淡さと音楽と

          音楽は好きかい?「音楽の力」という言葉は、皆さん頻繁に聞くことがあるのではないでしょうか。音楽を聴くと勇気が出る、元気が出る。また、結婚にはこの歌、卒業には、恋には、クリスマスにはといったように、シチュエーションに合わせてといった具合に、音楽の一般的なイメージはそのようなものではないでしょうか。僕も、そのような音楽を否定する気は全くないです。音楽は演劇と同様に芸術部門であり、正解がないものだからです。そもそも僕は音楽批評家というものに若干の疑問を呈しています。絵画も同様で、ピ

          景色と淡さと音楽と

          音響さん、準備できましたか

          CUEの数は、いくつですか?CUEというものをご存知でしょうか。これは「キュー」と読み、Qと代筆されることも多いです。CUEというのは、芝居で転換点となる台詞や音楽、照明、効果音のことを指し、演劇に携わる者にとっては頻出単語です。例えば、「このセリフをCUEに、音楽。」のような使い方をします。このCUEによって、役者スタッフは本番中もコミュニケーションを取りあい、劇を組み立てていくのです。このCUEが少しずれるだけで、お客さんの集中力は簡単に削がれてしまいます。そうすると劇の

          音響さん、準備できましたか

          僕の留学は死んだ

          贖いなぜこんなにネガティブな文言で始まったか。それは後々読んでいただければ分かっていただけると思います。今日は演劇ではなく、留学のことについて記します。今後留学という枠組みでオランダのことについて記すかは、まだ僕も決めかねています。オランダは、写真でも分かるように非常に美しい国ですし、僕の第六感を刺激してくれました。貴重な経験もできましたし、そのスポンサーになっていただいた親には多大な感謝をしています。残りの2ヶ月も、僕の感性を震わせてくれることを期待して止まないのですが、留

          僕の留学は死んだ

          役者の魂の叫びを聞け!

          The show must go on!この英文、演劇人には大変有名な文です。劇は続けなければならない。いかなる時も。という意味です。如何なるトラブルがあろうと、劇は続けなければならない。演劇の本番中、演者はかなりの練習を長い期間しているため、大抵の場合はミスなどは起こることは無いのですが、仮にミスした場合にも、お客さんには分からないようにしなければいけないので、咄嗟に役者は修正をかけます。その場合はアドリブをするのではなく、どこかの台詞に咄嗟に繋げます。これは簡単に見えて、

          役者の魂の叫びを聞け!

          演出って何?

          そこの君!私を演出してくれ!もしあなたがこの言葉を唐突に言われたとしたら、どのようなことを思うのでしょう。演出という単語の意味とは、一体何なのでしょう。僕自身も、そんなことを語れるような豊富な演出の経験はありません。ではなぜこのようなものを書くのか。それは演出というものの本質が、昨今自分の中で見えたような気がしたからです。 演出という言葉をGoogleで検索いたしますと、「脚本・シナリオにもとづいて、俳優の演技、舞台装置、種々の効果などの各要素を総合的に組み立て、舞台に上演

          演劇における台本制作について

          今回はタイトルの通り、演劇における台本制作について、僕が思うことを綴っていこうと思います。僕は現在留学中なのですが、今夏に部活に復帰してからのことを考え、暇な時間を使っては台本制作をコツコツと進めております。私は一度、中学三年次に台本を制作したことがあります。しかし、当時は現在よりも文才がなく、突っ込みどころが多い作品になってしまい、悔しい思いをしたことを覚えております。本来プロの劇作家さんは、一年近くの歳月をかけて作品を作り、そこから尚演出などをしていく中での変更、演者から

          演劇における台本制作について

          いらっしゃいませ

          はじめまして。かいせいと申します。 この度はシンプルに自己紹介と、なぜこのようなものを始めるに至ったのかという経緯、またこのサイトではどのようなことを書いていくのか。を、お伝えしたいと思います。 自己紹介私は現在(2019年5月6日)、高校2年生の17歳です。生年月日は、2002年3月28日。2018年9月~2019年7月まで、オランダに一年間の交換留学をしております。AFSという留学斡旋団体を介して、留学をしております。 高校は、東京都文京区にあります私立男子校。私立