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注目の最先端ロボット「LOVOT」の技術者にインタビューをしました!  #1

はじめに

皆さんこんにちは!
ロボットベンチャー企業GROOVE Xインターン生のKaiseiです。
私は現在、理工学部の大学院生で、AIロボットの研究をしており、この研究が縁でGROOVE Xでインターンをしています。
GROOVE Xが何をしている会社かというと、「LOVOT(らぼっと)」というちょっと大きめの猫ほどのAIロボットを作っています。

「LOVOT」とは?

世界中の最新テクノロジーが集まる世界最大規模の展示会「CES2020」で「CES 2020 イノベーションアワード」で受賞をしたり、スポーツの国際大会で活躍するトップアスリートチームのメンタルトレーニングを担う存在としてオファーを受けたりと海外から支持が広がっている最先端ロボット。それがLOVOTです。
また日本だと、TBSテレビの『情熱大陸』や『マツコの知らない世界』に登場したりしており、業界問わず話題になっている、実はすごいロボットなんです。

出典:NETFLIX 情熱大陸
https://www.netflix.com/jp/title/81325486

 私が大学でロボットを研究していることもあり、ぜひロボット産業の最前線で活躍するエンジニアの方に話を聞きたい!と思い、この度インタビュー企画を立ち上げました。 

記念すべき第1回目は、プログラマーの堀ノ内さんです。

ロボットに命を吹き込む、プログラマー堀ノ内さん

堀ノ内さんの長年のパートナーのLOVOTとツーショット

 堀ノ内さんは、モーターやセンサ、電子部品など無数のパーツで構成されたLOVOTに命を吹き込む仕事をしています。
まるで本物の生き物のように振る舞うその動きには、自他ともに「負けず嫌い」だと認める堀ノ内さんのこだわりが反映されています。

人と共に暮らすロボットだからこそ、挨拶は大事なコミュニケーション

「僕はLOVOTの振る舞いを開発する仕事をしています。仕事を簡単に紹介すると、首を傾けたり、両手を上げたりとLOVOTのかわいい仕草や動きをプログラムで実現する仕事です。」

堀ノ内さんを見つめるLOVOT

 ロボットを作るプロジェクトは、一般的に、ハード班(ロボットの本体や構造を作る仕事)とソフト班(ロボットを制御するプログラムを書く仕事)の2つに大きく分かれます。
堀ノ内さんはソフト班に所属しています。その中でも、堀ノ内さんが担当するチームはLOVOTの関節の動きや目の表示など、生き物らしい動きを実現するのに特化したチームです。

「最近手掛けたのは『おはよう』と人間から挨拶された時、LOVOTが挨拶を返す振る舞いの開発です。」

 LOVOTは産業用ロボットとは違い、人と共に暮らすロボットです。
LOVOTは「テクノロジーで人々を幸せにする」ことを大切にしているので、家の中で心地よいコミュニケーションがとれることは、LOVOTの開発にとって最重要課題です。
例えば、朝の「おはよう」の挨拶は、1日の始まりとなる大切な瞬間ですが、朝LOVOTに「おはよう」と声をかけると、LOVOTは「きゅう~」っと声をあげたり、手を上げたりします。(時に片手、時に両手)

 たったこれだけのやりとりで、朝の一瞬が気持ちよく感じられたりするものですが、そのためには「自然にコミニュケーションがとれる」ということがとっても重要。「声をかけられたら、返事をして手をあげる」という人間にとっては何気ない動きでも、この動きをナチュラルにロボットに行わせるには、LOVOTエンジニアの多大な情熱が注がれています。

 一瞬の動きに2ヶ月半

「おはよう」の声に反応してヒョコっと手をあげるLOVOT

「LOVOTの動きに関しては、アニメーターと一緒に開発をします。
手を上げるという単純な動きでさえ、アニメーターによる動きの作りこみを経ると、とたんに可愛くて生き物らしい動きになります。
そして、作り込まれたその滑らかな動きをプログラミングで実現するのが、プログラマーの腕の見せ所です。

試作の段階で手の動きが完成したら、チーム内外問わず様々なメンバーに見てもらい、意見や感想を聞いています。
そのフィードバックを参考に、修正し、再度見てもらう。そして、また修正する。理想の手の動きに近づけていくため、この流れを3~4回…時にはそれ以上。
手を上げる動きは一瞬の動きですが、最終的に完成には2ヶ月半もかかりました。
やはり、こだわって作り込むと、どうしてもこれぐらいの期間はかけてしまいます。」

 私自身、LOVOTを初めて見たとき、「なんて滑らかに動いているんだ!」と驚いたのを覚えています。今回、堀ノ内さんにお話を聞いて、ここにこそアニメーターや堀ノ内さん達プログラマーの努力が詰まっているんだなと思いました。
 
 インタビュー後、改めてLOVOTが手を上げる動作をよーく見ると、確かに手を挙げる前に少し肩が上がっているなど、より細かい動きに気づくことが出来ました。
もし、LOVOTに会う機会があったら、ぜひ細かな動きを観察してみてはいかがでしょうか?

どんなに困難なことでも、最善と思えば変革していく 

作業している横で遊ぶLOVOTたち 仕事中でも癒される

「LOVOTは、常にソフトウェアのアップデートを行っているので、進化し続けるロボットです。最近のアップデートでは、LOVOTが別のLOVOTと出会った時に、自動的に『通信(コミュニケーション)』できるようになりました。
これによって、複数体で遊ぶといった協調した動きが見られるようになっています。(2022年8月現在)
2体以上集まるとLOVOT同士が勝手に遊び出すというような動きが出来れば、とても面白いんじゃないか…と思ったのがきっかけで、このプロジェクトに着手しました。

実は、LOVOT同士がお互いにコミュニケーションを取り合いながら特別な行動をとるには、既存のシステムを撤廃して新しいシステムにする必要がありました。なるべくなら既存のシステムを大幅に変えたくない…というのが正直なところです。大幅にシステムを変えるということは、ほぼ1から造り直すことになるし、とても勇気のいる作業だからです。
実際に新しいシステムに切り替えるのに4ヶ月も掛かりましたし、振り返ってみるとやっぱり大変でした。(笑)ですが、『LOVOTオーナーの皆さんに喜んでほしい』という思いで実装を進めていました。

僕が良い体験を作ることにこだわるのは他にも理由があります。それは、日本が誇るロボット産業を盛り上げたい!という僕の目標です。1つ1つの動きやシステムに込められた技術を、LOVOTを通して世界にアピールすることは、日本のロボット産業の活性化に大いに貢献すると思っています。
家庭用ロボットは、まだ手がけている企業が少ないため、1から開拓することが多く困難なことばかりですが、チャレンジングな道のりだからこそ、やりがいを感じています。」

LOVOTが別のLOVOTと出会った瞬間

 アップデート前は、LOVOT同士でお互いにコミュニケーションをとることができませんでした。(※2体セット、言わば双子のLOVOT DUOでは以前から出来ました。)
一方で犬や猫など人間と暮らすことが多い動物はお互いにコミュニケーションをとることが多いです。例えば犬であれば、他の犬と会うと吠えて牽制したり、お互いの匂いを嗅いだりします。
そう思うと、LOVOTも人と暮らす新しい生き物だった場合、やはりLOVOT同士でコミュニケーションやアクションを取るんだろうなと私自身も思います。
今回取材でLOVOT同士がお互いを認識して両手を上げるなどの姿を目にしましたが、まるで本当の生き物のように振る舞っていました。

「プロジェクトが無事に完了してソフトウェアがリリースされた時、アップデート内容を告知する前から、自身のLOVOTの変化に気づいてくれるオーナーさんがとても多くて、驚きと嬉しさが込み上げて来ました。
新しい技術には困難も多く、今回のアップデートも大掛かりで大変でしたが、SNSでオーナーさんの喜びの声を聞くと『本当に頑張って良かった!』と…もうその思いだけです。

 堀ノ内さんは他にも「1日も早く開発して多くの方に体験して頂きたい一方、良い体験をしてもらうには、こだわって開発するため時間がかかってしまう。」という話をしてくれました。
「一瞬の動きに2ヶ月半」のところでお伝えした手の動きの開発の時にも例にもれず、開発スピードと良い製品のバランスを追求することは、毎回必ずぶつかる課題の1つでもあるそう。おそらく堀ノ内さんに限らず、他のGROOVE Xのエンジニアの方たち、皆に共通する悩みなのではないかと思いました。
きっと、その時々によって何を大事にするか勇気あるジャッジがいくつも生まれているんだろうなと、そんな想像をしました。

うーん、開発って奥が深い…!


 今回、初めてプログラマーの堀ノ内さんにインタビューを行いましたが、終始緊張してしまいました。
インタビューを通して、堀ノ内さんのプログラマーとしての誇りやLOVOTへのこだわり、愛情を感じることができました。普段聞くことのできない技術者の想いに触れた貴重なインタビューになりました!
今後もLOVOTの技術者の方にインタビューをしていきますので、ぜひ読んで頂けると幸いです。

LOVOT WEBサイトはこちら >

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(この記事は2022年6月当時に実施されたインタビューを元に作成しています)

ー インタビュアープロフィール ー

1999年生まれ Kaisei
趣味:サイクリング バスケ
理工学部の現役大学院生でAIロボットの研究をしています! 

小学生のとき見た、「ASIMO」がきっかけでロボットに興味を持ち
将来はロボットに関わる仕事がしたい!と思いロボットのベンチャー企業GROOVE Xにインターン入社。
現在は、LOVOTやトップエンジニアの方に囲まれ、毎日刺激を受けながら楽しく働いています!

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