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壁 随想録

無関心を装うのはプライドの仕業で、その鎖は素直に喜ぶことも阻む、粘ついた壁のことを考える。嫌悪感と粘性の密接な関係。
自らが許せていない行動を、許している他者に出会う時、その相手に対して無関心のままではいられない、築かれた壁の内部には恐ろしい巨人が潜む?

彼、彼女は誰かがその壁を破壊することを強く願う。ただ、世界の条理は、自らが築き上げたものをそのままにするのも、破壊するのも、それは自らに委ねられている。彼、彼女はその条理を不条理とはき違える。

壁が壊されて侵食される諸々は、全てが自らにとって良いものであるはずがなく、だからこそ、壁は自らが壊さなければならない、外から入ってくるものと闘い、調和する意志がなければ、ずたずたになった身体に、さらに膿が回ってしまう。そうなればもう手の施しようがなくなってしまう。

自らが自らであるために選ばなければならない。
幾度目の反芻?数え切れない思考の羅列と割り切れない感情の坩堝に嵌って身動きが取れなくなる時、自らは自らの場所にいない、それは少し身動きが取れてきた段になってやっと気づく。

もし新世界なるものが存在して、その世界に踏みだすその時も、自らを確固とした存在として信じていられる?今でさえ、暗黒物質だらけの世界に産まれ落ちて、壁を築いては壊す人生の摩訶不思議さに自らがよろめいてしまうのに。

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