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二人の賢者と熊本遠征6

■前回のエピソード》

 ※賢者α=僕の仕事を少しサポートしてく
 ださる宇宙の流れに逆らわない天才の友達。
※賢者β=税理系職の一見普通に見えるが
 めちゃ深みのあるカッコイイおじさん。

 前回、幣立神宮をあとに熊本市内へ移動する車中での会話の所でお話を終えた。
 しかし、幣立神宮の鳥居を出て賢者βの車へ向かう途中でのことを少しお話しておきたい。

 鳥居を出て駐車場に向かう、ほんの10~20mくらいの道のり。神社の鳥居をくぐり出るころにも何となく不思議な人の集まりの凸凹(でこぼこ)な団体が何となく僕の目には入っていた。

 その人たちを何となくしか見ていなかったのでどういう団体か?どういう仲間か?さっぱり分からなかったが、何となく地球タイプではない感じがしていた。

 『凸凹な』という表現が適切か不適か‥判断が難しいが、背の高さが極端に違う人や何となく伝わってくるその一段の風貌(ふうぼう)が、一般によく見られる俗にいう『普通』とはかけ離れた人の集まりだったのだ。しかし、お互いがお互いを分け隔てなく認め合っている様子が色濃くうかがえた

 「不思議な人達がいるなぁ~」と、その人たちを横目に賢者βの車へ向かった。

 夕方、熊本市内。

 その日泊る予定のホテル前に下ろしてもらう。賢者βは一旦自宅に車を置いて来るという。宿は賢者βの薦(すす)めもあって、熊本市内繁華街中心に位置する所にしてある。あのあたりで有名な長~い商店街入り口すぐのホテルだ。
■参考までにホテルのHP》

 余談だが、このホテルを予約したのは2023年3月に旅をすることを決めた2022年11月下旬だった。その時は一部屋6000円台だった。コロナから世間が解放されつつある今、もっと強気の値段になっているかもしれない。
 建物自体は賢者αとも話したことだが、恐らくラブホを改装したのだろう。建物の作りが何となく外面とはかけ離れた部分が散見されるのだ。各部屋の壁は薄目なので、隣の部屋の音はよく聞こえる。が、それなりの大浴場もあり清潔感もあるので、そう悪くない宿屋だ。

 一時間後に賢者βによって予約されていた居酒屋に集合する。「近くに熊本城がありますから、約束までの一時間の間にお城を少し観に行かれたらいいですよ?」と賢者βの案内もあった。

 しかしその前にホテルで20分仮眠をとりたいと僕は賢者αに申し出た。
 何せ朝5時起きだったので、もう限界だった。同じく早起きして来た賢者αは、眠そうにしてない

白へび
「眠くないんですか?」
賢者α
「うん、車中で寝てたからね」
白へび
「オレ、ナビゲートとか賢者βの横で一睡もできませんでしたよ」
賢者α(ニコニコしながら言う)
せやろ?助手席は下っ端が座る席や。私は進んで後ろに座ることで寝られるとふんでてぇ~ん」
白へび
「あ、なるほどっ・・」
(眠いながらに含み笑い)
賢者α
「20分でええのん?」
白へび
「やっぱり30分は欲しいです」
賢者α
「何分でもええで?」
白へび
「お城どうします?」
賢者α
「外から眺めるだけでもええやろ。気にせんと寝ときぃ。目ぇ~覚めたら連絡くれる~?」
白へび
「分かりました、後ほど‥」

 『お前は下っ端や』と言い渡されるが、愛ある表現に受け止められてむしろうれしい。「こういう言葉をかけてくれるほど僕を認めてくれてるんだな」とおめでたい発想しか出てこない。

 部屋に入り寝たのか寝てないのかよく分からない状態で、結局約束の15分前くらいに目が覚める。『おっ、ギリギリだ、やばい』

 賢者αと一緒にホテルを出る、途中熊本城があるのでその石垣下辺りまでは行けた。
 2020年一人旅で来たときは、熊本城は一応入れるところまでは入れるという感じになっていた。2023年3月この日、正面外から見る限り壊れた様子は‥夕方だったからやっぱりよく分からない。

 居酒屋に到着。

 賢者βより先に到着したようだ。

 さて、4人座れる御座敷の席にどう座るか?白へびはこのてのことが今一つうとい

賢者α
「白へびさん?この場合そこは上座や賢者βの席やで。白へびさんの席はここや」
白へび
「あぁ、なるほど。一番何かを注文したりする人が座る席ですね?
賢者α
「そういうこと」

 ケースバイケースで上座の位置は微妙に変化するようだ。賢者αと白へびでは大して上下関係を意識しなくていいのだが、賢者βはそういう世界に身を置いている人でもあるのでそれを計算に一応入れるのが良いようだ。
 しかし、賢者βはこの白へびと賢者αよりうんと年上でありながら、彼の態度は僕たちに年上感を向けて来ない。そこがいいんだなぁ~、カッコイイおじさん像。

 賢者βが到着するちょっと前、その日賢者βに持ってきたお土産を自分のカバンに頭を突っ込んで、こっそり確認しておく。
『これがβに渡す分、こっちがαに渡す分』

白へび
「賢者βに珍しお土産用意してるんです。αさんにも内緒で持ってきました」
僕はニコニコしてそう言った。
賢者α(半笑)
内緒なのに言うんやな
白へび
今まで内緒にしてました」

 間もなく賢者βが合流、酒盛りスタート。

 熊本・阿蘇の辺りの特産とされる赤牛や馬刺し、そのほか色々と頂いた。白へびは普段、肉は食べないのだが、賢者βがすすめてくるモノはいただいてみる。というかそもそもその土地でしか食べられなさそうなモノはやっぱり食べてみたいものだ。

 スーパーやチェーン店で提供される安い牛肉だけはどうしても臭くて食べられなくなっていた僕にも、そのお店が提供する高い赤牛の肉・馬刺しは美味しく食べることが出来た。

 と、適当なところで賢者βにお土産を渡す。

 渡したのは、別のエピソードで登場した『天下取り瓢箪(てんかとりびょうたん)』だ
■参考になるエピソード》
土壌改善バックナンバー⑥最終回 参照のこと

 賢者βは去年、自営業ド素人の確定申告の内容も正確に理解していない僕の申告書類作りに、多大な助言と手助けをして下さった税理士事務所の社長だ。

 熊本遠征したのは2023年3月末、それより一週間前に天下取り瓢箪を知った。『賢者βへのお土産はこれで決まりだ!』と直感のまま、土壌改善⑥最終回でなんとなく着いて行った瓢箪屋へもう一度行った。

白へび
(どの天下取り瓢箪がいいか物色する)
瓢箪は二つとして同じ形のモノが微妙に無い。相手の雰囲気に合った形を見極める。
店主
「それね、天下取り瓢箪いうてね・・」
(商品の説明をしてくださる)
白へび
「先週6~7人のお客が天下取り瓢箪を一斉に買って送り合ったことがありましたでしょう?あの時僕も居て、僕も買って送ってあげたり送ってもらったりしたんです。今度僕が物凄くお世話になった人に会いに行くんで、そのお土産にこれを送ってあげたくて、今日来ました」
店主
「あ~、あの時のね。よう来なさったねぇ~」
白へび
『二人の賢者それぞれに似合いそうな形の天下取り瓢箪をチョイス』
ショーウィンドウ越しに指をさして
「これです」
店主
「これ?」
白へび
「その一つこっち側」
店主
「これかな?」
白へび
「そ・・そのちょい上の」
店主
「これね?」
白へび
「そそ、そうです」
と、この様なやり取りをプレゼント二つ分行う。
「これ二つで6千‥いくらになりますか?」
店主
「ぁ~、まぁ6千円にまけといたるわぁ」
白へび
「え!!ありがとうございます!」

 天下取り瓢箪の由来が豊臣秀吉にあること。天下取り瓢箪を売っているお店が200年続いた老舗であること、自分で買っては意味がなく人から『きっとこの人のお仕事が上手くいく』ことを願って贈り物として受け取ることを、店主が言っていた通りにつらつらと説明して賢者βにお渡しした。


 そして内緒にしていた賢者αの分もお渡しする。まさか天下取り瓢箪が自分も受け取れると思ってなかったらしく、事前に自分にもお土産があることを知っていた賢者αも大変喜んだ。

白へび
「これ知ってました?」
賢者β
いや~初めて。これは嬉しなぁ!
随分と天下取り瓢箪が気に入ったらしく、色々と質問攻めにあった

 瓢箪を送ったことで、僕としてもうれしかった。私利私欲のためではない自分の行動が自分で嬉しかったのだ

 酒盛りも終わり、ホテルに戻る途中。時間的には夜八時台。長~い商店街のある洋菓子店に賢者βが案内してくださった。

 お客さんや知り合いが訪ねて来た時は大抵デザートを持って帰ってもらうのだそうだ。思いがけず普段殆ど食べることのないケーキを御馳走して下さった。と、ここで僕はモンブランをチョイス。何となくてっぺんに登った感があるのだ。モンブランは。

賢者β
これが私流のおもてなしですから
白へび
『へぇ~』と感心した。 

 つづく

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