私の推し悪魔サタンについて語ります~紀元前編~

前回は一番推しストーリーの『失楽園』について語ったのですが
『失楽園』は３５０年前に書かれたお話。
対して、私の推し、サタンは紀元前からいる神話上的なキャラクター！
今回は紀元前の推しについて語っていきます。

「SATAN-サタン-」その名前の意味は"敵対する者"
サタンの名前は旧約聖書から見られ、新約聖書にも書かれています。
サタンとはヘブライ語で"敵"という意味です。
旧約聖書の原本が原則ヘブライ語で書かれていますから、現在はサタンは悪魔の固有名詞としてとらえられていますが、当時は「サタンがやってきた」という文なら「敵がやってきた」とまんまの意味で読まれた箇所もあったようです。

ちょっと話題が逸れますが私は敵キャラに惚れやすいのです
有名どころで言えばシャア・アズナブル、ダース・ベイダー、DIOなど
有名でないところも数えるとまだまだいるのですが...。

敵役が好きな私が「敵」という名を冠した奴を好きにならないわけがないだろう！！
威風堂々とした姿、独特の倫理観、素早い決断、ゾッとするほどの強さ...
ハァ...好き..........いや違う、萌えている場合ではない。
＊私がいかに敵キャラに悶えるかは以下の記事を参照＊

現代で物語に描かれるサタンにもこの要素にもれなく、私のハートを撃ち抜く敵っぷりで登場することが多いのですが、

実は旧約聖書でのサタン、紀元前に人々に語られていたサタンは、そんな敵キャライメージからはかけなはれています。
それでは紀元前のサタンのエピソードを紹介しましょう。

旧約聖書「ヨブ記」のサタン
紀元前、紀元後というのはイエス・キリストの誕生前、誕生後の区分けです。
新約聖書はイエスの誕生後に書かれた彼の伝記が主な話
そして旧約聖書はそれ以前の預言者たちの物語、つまり紀元前のお話です。

「ヨブ記」ではヨブと言う信仰心の厚い男の人が主人公
人一番信仰心の厚いヨブに神様も気付いていました。
あるとき、神様の前に御使い達が集まりました、そこにはサタンもやって来ており、主はサタンに語りかけ、ヨブの事を自慢します…

あれ？なにサタン御使い（天使）に混じってるの？！
悪魔なのに？悪魔の王なのに？？
そう...紀元前のサタンは悪魔じゃない。

天使だったのだ！

…神様はサタンに言いました。
「私の僕のヨブに気がついたか？！地上に彼ほどの者はいないと思う！私をとっても敬って、謙虚正しく素直な人だ。彼なら悪い事は絶対にしない！善人の中の善人であるからな！」

サタンは少し考えて、神様にこう答えました。

「ヨブが利益もないのにあなたを敬うでしょうか。あなたは彼とその一族、全財産を守っておられるではありませんか…
彼の手の業をあなたが全て祝福するおかげで、彼の家畜は地に溢れる程です。ひとつこの辺りで御手を伸ばして彼の全財産を取り上げてごらんなさい、

面と向かってあなたを呪うに違いありません。」

天使であってもサタンは性格が悪い

その言葉に神は考え、サタンに告げました。

「それでは、彼のものを一切お前の好きなようにしてみるがよい！ただし彼には手を出すなよ。」

こうしてサタンはヨブの信仰心を試しに行きました。

この話は神とサタンの"賭け"とも言われます。

神に許可を得たサタンはヨブの家畜を殺し、家族や友人を失わせ、ヨブ自身も病に追い込み、「生まれて来なけりゃよかった」と彼に嘆かせるくらい絶望の底に沈めました…。

まさに残虐非道！

ただ、神様が「ヨブを殺すのだけはダメ」という条件を出しており、それに従ってサタンも彼の命までは奪いませんでした。

結局、ヨブは最後まで神を信じ、神もそれに答え彼を手厚く祝福し、以前よりも豊かな生活を送りめでたしめでたしで締めくくられるのですが、さぁ、この話

サタンは果たして『敵』なのか？

たしかに、サタンはヨブにあまりにも酷い仕打ちをします。人間からみれば恐ろしいかもしれません。

ただ、サタンはあくまで天使の一人
ちょっとやりすぎてしまうだけで、神様とは敵対していません。神様の言いつけも守ってますしね。

シナリオ上では主人公の妨げになる存在ではあります。
そう言う意味では『敵役』である...んですが

悪役ソムリエである私の評としては、

ぬるい、ぬるすぎると言わざるを得ない！

なにがぬるいって敵対者ではあるが悪役として動いてないから、
誰かに打ち倒されないし、するっと話からフェードしてしまっている。

敵役最大の見せ場「散りざま」がない

アンパンマンにアンパンチ食らってバイバイキンするところが最大の見せ場でしょうが！ねぇのか！！

ないんです...紀元前でのサタンにはそういうのないんです。
だって「敵」であっても「悪」ではないから。

あくまで天使として、人間がどれだけ神様を慕っているか試しただけだから。
でもこの話、読んで疑問に思う人も少なくありませんでした。

なぜこの天使は我々人間にこんな酷い仕打ちをするのか？

こいつ実は悪魔なんじゃねえの？

人々の疑問は、サタンを人間の「見張りの天使」(敵役)から「悪の魔王」(悪役)へと変質させていくのでした。

後半へ続く！

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