魚の雑学 ◆利き手編◆

こんにちは、水族館マイスターのたせです🐟
正式には利き手ではないんですが、魚にも利き顎が存在するんですね~

よく魚の利きの話をするときに、引き合いに出されるのですが鱗食魚です。他の魚にも利きはもちろん、あるのですがこの魚は特に顕著なので、よく取り上げられます。アフリカのタンガニイカ湖に生息するシクリッド(カワスズメの仲間、下の画像参照)で、他の魚の鱗を食べる魚がいるんですね。

私も最初、聞いたときびっくりして、少し気持ち悪いな~とかんじてしまいました💦

海水にも似たような魚で、ダルマザメというマグロやクジラの体に噛みついて、円状に肉塊をくりぬき食べる魚がいますね。僕はこの魚の食い跡を見るのがグロテスクで苦手ですw興味がある人はダルマザメと検索してみると、画像がたくさんでてきます。(魚は痛みを感じないそうですが、、)

さてさて、鱗食魚の話に戻らせてもらうと、彼らは顎が魚の側面に食らいつき、鱗を食いちぎれるように右か左のどちらかに曲がって発達しているんです。

動画でみてみるとわかりやすいかも。

https://academist-cf.com/journal/?p=6161

そのため、彼らには利き顎が発達しています。じゃあ、魚の利き顎も人と同じように右利きが多いのでしょうか??

標本調査の結果、魚の場合も、人同様片方の利きが多くなるそうです。しかし、魚の場合、人とは異なり多い方の利き顎が数年周期で変化するそうなのです!右利きばかりじゃないんですね。

なぜ、変化が起こるのかというと、それは捕食被食関係に原因がありました。要するに、例えば右利きの魚が多数派の時期があったとします。獲物は右利きの魚にばかりに鱗を食われるようになるので、右からの捕食を警戒するようになるわけですね。そうすると、左利きの魚の捕食確率が上がり、結果として左利きの魚の適応度(子孫を残す確率)があがり、数年経つと左利きが多数派になっていくのです。

こうして、左利きが多くなりまた、上のサイクルが繰り返され数年経つと次はまた右利きの魚が増え、数年サイクルで利き顎が入れ替わるという現象が起こるんですね。

この利きの変化は魚だけでなく、襲われる側のエビ等の甲殻類にも表れるそうです。

ヒトで考えると、どうなんでしょう??

昔の狩猟時代とかはおそらく、この魚に似たような利き手の周期変動というのが起きていてもおかしくないんじゃないでしょうか。ここからは、完全に私の想像ですが(笑)

ただ、現代社会は状況がちょっと違うのかなと思ったり。人間社会が発達し、多数派である右利きの人に合わせて、いろいろなものが発達し(例えば、ハサミとか)少数派のメリットを活かせる機会が少なくなっているように感じます。(野球のワンポイントの左投手くらいかな(笑))

この先、ヒトの利き手の割合がどう変化していくのか興味深いですね。また、上記の魚の利きを理解できれば、釣りや、ダイビングでの写真撮影にも応用できるんじゃないかと思ったり(笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?