亡くなった母と白い龍

私が二十歳の時、突然母が亡くなった。
前日に電話で大喧嘩していた。
喧嘩したままの別れとなり、私はかなり後悔していた。

母の死の数年後、私は交通事故にあい、輸血を要する危機的状況に。
朦朧とする意識の中で、チョロチョロチョロ…と川を水が流れるような音が聴こえてきた。
目をあけると

真っ暗な中に、幅が三メートルほどの川が流れている。
上を見ると、白く光る龍のようなものが八の字を描くようにして飛んでいた。
そしてそこに

亡くなった母親が立っていた!

「お母さん…!お母さん…!」と思わず駆け寄りジャバジャバと川に入るが、
母はとても怖い顔をしている。

「なんで…!お母さん!やっと会えたのに!まだ怒ってるの…!?お母さんなんか大嫌い!!!!」
そう叫んで来た道を引き返し、暗い中を走る。
道なき道を照らすのは上空の白い龍。

そこでパッ!と目を覚ます。

私は一命をとりとめた。

うわーーー
お母さんが笑ってたら川を渡っていたなぁ…

お母さんありがとう。本当は大好きだよ。

1ヶ月後、無事に退院し体力も戻ってきたので
主人と2人で京都旅行へ。

たくさんお寺をお参りして、神社へも。
食事も景色も素敵で、写真もたくさん撮った。
「生きていて良かったなぁ…」

帰宅してから、デジカメの写真を確認しながらパソコンへ移した。
突然主人が
「あれ…!?えっ!なんで?!」と言うので覗き込むと、さっきまでデジカメにしっかり収められていたはずの写真が消えている。
パソコンに移す際にデータが飛んでしまったのだろうか?!
「いや!あるよ!食事の写真とか!ほら!二人で撮ったやつも!」
「ほんとだーー。でもさっき見たお寺の写真が無いね。あれ?ちょっと待って…」

「お寺と神社で撮った写真だけ無いよ…!」

日付なども飛び飛びで、お寺と神社で撮ったものだけが無い。消えている。
間の渡月橋での写真などはしっかりある。
何故だ

最初から一枚一枚パソコンで確認する。

「あ!一枚だけあった!神社でのやつ!良かったー!なんで他は消えちゃったんだろうね!」
「これはどこのやつ?後ろ何か書いてあるね」

「白龍大明神…」

白龍…!あの時のことが思い浮かんだ!
他の神社、お寺、消えちゃった写真は全部白龍以外を祀っていた。
どういうことなのだろう。

私の家は小さい頃から心霊写真のようなものばかりだったから、こういうことには少しだけ慣れている。主人はもう怖がって驚いて…(笑)
何かの間違いだと思いたいけれど、日付も飛び飛びだしもう言い逃れはできない…と(笑)

それからはなんとなく、白龍が気になるように。
助けてくれてありがとうございましたという感謝の気持ちと母への想いを胸に生きています。

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