【cEDH】Opus thief《織り手のティムナ/Tymna the Weaver》&《ルーデヴィックの名作、クラム/Kraum, Ludevic's Opus》100枚+α解説


【デッキレシピ】

moxfieldはこちら。
https://www.moxfield.com/decks/37B7qpILQU2OZkbjPDrRKw

●統率者
《ルーデヴィックの名作、クラム》
《織り手のティムナ》

●土地(30)
《古えの墳墓》
《乾燥台地》
《血染めのぬかるみ》
《溢れかえる岸辺》
《沸騰する小湖》
《湿地の干潟》
《霧深い雨林》
《汚染された三角州》
《吹きさらしの荒野》
《新緑の地下墓地》
《真鍮の都》
《統率の塔》
《風変わりな果樹園》
《宝石の洞窟》
《マナの合流点》
《産業の塔》
《色あせた城塞》
《神無き祭殿》
《神聖なる泉》
《湿った墓》
《特別観覧室》
《雲海》
《訓練施設》
《天上都市、大田原》
《Tundra》
《Underground Sea》
《Badlands》
《Scrubland》
《Volcanic Island》
《Plateau》

●クリーチャー(13)
《ギラプールの希望》
《エスパーの歩哨》
《波止場の恐喝者》
《忠実な弟子》
《金粉のドレイク》
《タッサの神託者》
《堂々たる撤廃者》
《敵対工作員》
《呪文探求者》
《イーオスのレインジャー長》
《托鉢する者》
《概念泥棒》
《猿人の指導霊》

●呪文(55)
《むかつき》
《Demonic Consultation》
《思考停止》
《汚れた契約》
《最後の賭け》
《暗黒の儀式》
《陰謀団の儀式》
《剣を鍬に》
《儚い存在》
《沈黙》
《サイクロンの裂け目》
《偏向はたき》
《否定の契約》
《白鳥の歌》
《精神的つまづき》
《払拭》
《狼狽の嵐》
《否定の力》
《激情の後見》
《精神壊しの罠》
《意志の力》
《神秘の教示者》
《吸血の教示者》
《悟りの教示者》
《直観》

●ソーサリー 10枚
《ギャンブル》
《伝国の玉璽》
《変化の風》
《悪魔の教示者》
《滅ぼし》
《セヴィンの再利用》
《Timetwister》
《Wheel of Fortune》
《意外な授かり物》
《ヨーグモスの意志》

●エンチャント 4枚
《Mystic Remora》
《死の国からの脱出》
《リスティックの研究》
《息詰まる徴税》

●アーティファクト 15枚
《宝石の睡蓮》
《魔力の墓所》
《モックス・ダイアモンド》
《オパールのモックス》
《金属モックス》
《ライオンの瞳のダイアモンド》
《水蓮の花びら》
《太陽の指輪》
《魔力の櫃》
《秘儀の印鑑》
《友なる石》
《発展のタリスマン》
《威圧のタリスマン》
《厳かなモノリス》
《ロッド・オヴ・アブソープション》

●プレインズウォーカー 1枚
《覆いを割く者、ナーセット》

【100枚解説の前に】

●前書き
 スペックで見れば最強との呼び声も高い《織り手のティムナ》&《ルーデヴィックの名作、クラム》。自分も長年この組み合わせを使用しており、先日のコマンダーサミット最強統率者決定戦では噛み合いに助けられTOP16でデッキ掲載を行うことも出来ました。
 日々細かい調整を行っているのですが、ある程度はデッキの内容も固定されてきております。
 一旦脳内の整理も含めて100枚解説を書きだしてみようと思い立ったのが当記事になります。
 とはいえ言うほどcEDHをやり込めているわけでもないため、あくまで一つの参考として見て頂ければと思います。また、タイトルにはcEDHとあるのですが、あくまで店舗大会に出る想定=デッキパワーレベルが不足しているデッキも相手にすることを想定した構築・記事になっております。
 ティムクラは世の中に多くの使用者がいるのもあり、読む人によっては当然のことしか書かれていないかもしれませんが、ご容赦頂ければ幸いです。

●どういうデッキなのか
 Opus thiefに寄せたミッドレンジデッキです。
 Opus thiefとは《概念泥棒》や《覆いを割く者、ナーセット》+《Timetwister》や《Wheel of Fortune》などの7ドロー呪文を組み合わせたコンボを軸とした構成を差します。
 元々はBlue farm(高速でコンボを揃えたり、《むかつき》や《深淵への覗き込み》を素早く唱えることに寄せた構成)に近いリストを使用していたのですが、下記の点が気に入らずに現在の構成に至っています。

1.第2ターン~第3ターンの早仕掛けを行っても、cEDH卓では高確率で通らないためターボむかつき系の動きが魅力的に映らない。
2.マナ加速を連打してからの《むかつき》や《深淵への覗き込み》は、通らなかったときのリスク(アドバンテージの喪失)が大きい。また、それゆえに気軽に仕掛けにくい。
3.元々スタックスに弱い4色共闘が、短いゲームレンジに寄せることで致命的なまでに弱くなっている。
4.早仕掛けに寄せるならば、《騒々しい写本、コーディ》や《ロフガフフの息子、ログラクフ》+《求道の達人、サイラス・レン》を使用した方が良いと感じる。

……など。
「第2ターン~第3ターンの早仕掛け」は誰かが(含む自分自身)捌くので、その後の中盤で強い構成にする……という構築を意識しております。
 一方で、最低限の早さも確保しています。「最速よりもやや遅くしたデッキが強い」のはMTGではよくあることですが、妨害の薄い相手に速やかに勝ちきれる速さは維持したいところです。大きな大会ではデッキパワーレベル8以下のデッキを相手にすることも多いため、予想外のプレイ・カードでうっかり負けないよう、気を付けています。

「デッキの中身をなるべく何時でも使えるカードで固める」という点も意識しており、「仕掛けるタイミングが見つけられず、手札の中でもじもじしている不要牌」があまり生まれないようにしています。
 そのため、使い切りのマナ加速は最低限にして、尚且つ仕掛けに行く時以外は使いにくい《悪魔の意図》や《願い爪のタリスマン》も不採用としています。 

 ドロー阻害+強制ドローのコンボは仕掛けるときの気軽さが気に入っています。例え妨害されたとしても相方の呪文は生きることも多く、比較的リスクが少ないのが良い点です。
《概念泥棒》や各種ドローカードは、単体で使用しても悪くない性能なのも評価点と言えます。(変化の風のみ、単体では使い物になりませんが)
 それぞれのコンボパーツは複数種類あるため、2枚コンボが複数種類採用できるのも、強みの一つです。
 《むかつき》は一応採用しており、マナやライフに余裕があるときに通すことができれば普通に勝つことができる……程度には強さは保たれています。しかしながらあまり依存しないですむ構成にしているため、《精神壊しの罠》あたりの重めのカードも採用となっています。

 以下、100枚解説本文となります。

【100枚解説】

●統率者(2枚)
《ルーデヴィックの名作、クラム》
 統率者その1。
 頼れるサイズとアドバンテージを兼ねる優秀なクリーチャー。
 5マナと重いため万が一打ち消されたり除去されたりすると大幅に不利になるのですが、大体は見逃されることの方が多いクリーチャーです。
 ウィノータやコーディのような必ず除去をしなければならないクリーチャーが多いcEDHでは、クラムが見逃されるのはある意味当然の事。とはいえ、卓の状況によっては優先的に除去されることもあるため、出すタイミングには注意したいところです。
 逆に言えば除去する優先度が高いクリーチャーが見えている/ケアしなければならないクリーチャー戦術がある(《トリトンの英雄、トラシオス》+白入り共闘の、《即時換装》+《献身のドルイド》など)場合は、プレイする優先度は高まります。とはいえ全体除去を打ちそうな人がいるならば、当然プレイしないほうが良いので場の空気を読みましょう。
 速攻飛行4点のクロックは圧が大きく、コントロールやスタックス大して早いターンからライフを削ることができるのは嬉しいところです。相性が悪い(自分よりも想定しているゲームレンジが長い)相手を、黒い相手よりも優先して攻撃することもあります。
 単体除去で狙われにくいとは言ったものの、《金粉のドレイク》には狙われることが多いです。毎回ケアできるものではないですが、即奪われる可能性は念頭に入れてプレイしたいところです。
 一点だけ気を付けたいデメリットがあります。それは「2つ目の呪文を唱えるたび、カードを1枚引く。」という効果は強制であることです。
 相手の場に《概念泥棒》がいるのにブロッカーとして出してしまったり、相手が2枚以上呪文を唱えられそうなのに《Demonic Consultation》でライブラリーを空にしてしまったり……。
 無視できないデメリットですので、忘れないようにしましょう。

《織り手のティムナ》
 統率者その2。
 取りあえずマナが沢山でる手札ならば、ティムナ+クラムだけでゲームを組み立てられる。それがティムクラの大きな魅力の一つです。如何に早く統率者を展開できるかは、キープ基準の一つにはなるでしょう。それだけ、手札の外に常にアドバンテージ源が2つあるのは利点といえます。
 しかしながら回避能力のない2/2は、殴り先がすぐに無くなることも多いです。ティムナ早出し後の展望がドロー・フェイズの引き次第である手札をキープする場合は、相手を選びましょう。
 常に殴れそうな相手がいる場合か、クラムを安定して唱えられる場合か、いずれかの場合ならば手札の濃度が薄くてもキープしてしまって良いでしょう。ティムナを維持して毎ターン2~3枚のカードを引くことができれば、それだけで勝つことも珍しくありません。
 ティムナデッキはティムナを丁寧に潰せば相当に苦しい……とよく言われるものの、除去は有限であるためクラムと同じく狙われにくい傾向にあります。体感ですが、クラムよりは狙われることが多いので、完全にティムナ頼りとなるプレイは避けたいところです。
 全体除去で流されるのが一番損であるため、気を付けましょう。特に色数の少ない赤系デッキは、全体火力を採用していることが多いので特に注意しましょう。

●土地(30枚)
 土地29枚に切り詰めたリストをよく見るのですが、安定感が気になるため30枚としています。
 MTGは確率のゲームなので、安定感は大切にしています。

《古えの墳墓》
 ほぼ必須枠。
 無色マナが余ることが散見されたため、抜くことを検討していた時期もありました。現在は固定パーツとしています。

《乾燥台地》
《血染めのぬかるみ》
《溢れかえる岸辺》
《沸騰する小湖》
《湿地の干潟》
《霧深い雨林》
《汚染された三角州》
《吹きさらしの荒野》
《新緑の地下墓地》

 フェッチランド9枚。《樹木茂る山麓》のみ不採用です。
 基本土地タイプを持つ土地は、デュアルランド6種+ギルドランド3種(白青・白黒・青黒)を採用しています。
 赤色のギルドランドは不採用のため、固有色ではない色=緑色のフェッチは、赤緑だけ不採用としています。
 《死の国からの脱出》を考えると当然墓地は1枚でも多い方が良いのですが、色の安定感や、ゲーム中盤~後半の《敵対工作員》や《エイヴンの思考検閲者》に引っかかることがストレスなため、10種全採用は見送っています。

《真鍮の都》
《統率の塔》
《風変わりな果樹園》
《宝石の洞窟》
《マナの合流点》
《産業の塔》
《色あせた城塞》

 5色ランド。ほぼ固定枠です。
 色あせた城塞はダメージが痛いものの、色の安定感を優先としています。
 《禁忌の果樹園》は中盤を想定するデッキでは単純に弱いカードと感じているため、不採用です。

《神無き祭殿》
《神聖なる泉》
《湿った墓》

 エスパーカラーのギルドランド3種。
 色拘束の強いカードはエスパーカラーに偏っているため、関係するギルドランドは全採用としています。

《特別観覧室》
 《血の墓所》にしてもいいのですが、《Badlands》でさえ持ってきたい場面があまりないため、クラウドランドを採用しています。
 赤色のカードで色拘束が強いのは《最後の賭け》のみであるため、素引きしたマナベースで赤が2つ揃っていればいいなくらいの感覚で赤マナを確保しています。
 赤黒の組み合わせはあまり強くないため、土地の中では動かせるスロットと感じています。

《雲海》
 このデッキで一番色拘束が重いのが白色です。特に2ターン目の《堂々たる撤廃者》引きを受けるために、第1ターンには白を含む土地をプレイしたいところです。
 1ターン目に白を含む土地をプレイし、尚且つ3ターン目には青青黒が揃っているのが理想です。都合よく《タッサの神託者》+《Demonic Consultation》(+ピッチカウンター)が揃うことが稀にあるので、常に受けられるようにしておきたいからです。
 つまり、3ターン目に白白と青青黒を兼ね備えた土地を置きたいわけです。そのため、白青土地はクラウドランドも採用としています。

《訓練施設》
 最近まで焦熱島嶼域の枠だったのですが、ただの痛い土地で終わることが多かったので差し替えに。
 先切りするフェッチランドで持ってくる土地は白青や白黒のものが多いため、手札から3枚目の土地を置く際は赤色のものが欲しくなることが多いため青赤クラウドランドを採用しています。
 理屈の上では《Volcanic Island》をサーチすることも多い筈なのですが、実際はあまりサーチしないないため、特別観覧室と同じく動かせる枠の一枚です。

《天上都市、大田原》
 貴重なスタックス耐性を上げるカード。
 青マナしか出ないデメリットも許容内で、文句なしに有用なカードです。
 ティムナとクラムが揃っている場面も珍しくないため、軽いマナで魂力を撃ちやすいのも嬉しいところ。
 《ギラプールの希望》が伝説なのを忘れがちなので、気を付けましょう。

《Tundra》
《Underground Sea》
《Badlands》
《Scrubland》
《Volcanic Island》
《Plateau》

 デュアルランド6種。
 《Volcanic Island》をサーチする機会があまりにもないため、一時期抜いていました。が、稀にサーチしたくなるため結局は全採用となっています。
 第1ターンに赤マナが必要なことが殆どないため、赤い土地を持ってくるのは後回しになりがちです。《Scrubland》《Tundra》のサーチ率が高め。

●クリーチャー(13枚)
《ギラプールの希望》
 《イーオスのレインジャー長》をプレイする際、無色マナ2つ+白白を生み出して唱えることが多い都合上、無色1マナで唱えられるギラプールの希望はサーチする頻度が高いカードです。
 単純に1マナ1/1飛行はティムナとの相性が良いのも評価点です。
 クリーチャーでない呪文を唱えられない能力も非常に有用で、頼れる場面も少なくありません。しかし効果が終了するのは次の自分のターンまでなので、《沈黙》程気軽にプレイできない点には注意しましょう。青いプレイヤーに使用した後に自分が勝ちきれなかった場合、場の妨害が減ってしまうことにより他のプレイヤーのトスになってしまうことになりかねません。

《エスパーの歩哨》
 キープ基準にも成り得る強クリーチャーです。
 《リスティックの研究》やクラムと合わせて、「仕方なしに引かせて」くれたカードが溜まってイージーウィン、は高レベル卓でも偶にあります。
 当たり前のことですが、誘発忘れには気を付けて。

《波止場の恐喝者》
 固定枠。
 このデッキ独自の特殊な使い方も無いので、説明は割愛します。

《忠実な弟子》
 アーティファクトカウントを増やしてしまう以外は優秀なクリーチャー。
 ロングゲームではクロックの圧も重要なため、早いターンから機能しているとそれだけで大きく優位に立てます。
 毎ターン出てくるブロッカーとしても優秀です。

《金粉のドレイク》
 欲張りな単体除去。
 統率者依存のデッキに対して良く刺さりますが、奪うとデッキが完全に機能停止する統率者を奪おうとすると是が非でも止めてくる=相手の妨害を吸ってしまうことに繋がります。それは他家のコンボへのガードを下げる結果になるため、出すタイミングには気を付けましょう。
 ウィノータにはソーサリータイミングの除去が効きにくいことや、コーディやギトラグの怪物のような自分では扱いにくいクリーチャーを対象にすることを考えると、素直に1マナのインスタント除去に差し替えたほうが良い可能性もあると感じています。スタックスクリーチャーに対しては、交換しても意味がないことが多いのも難点。
 
《タッサの神託者》
 固定枠。
 唐突なコンボ成立に備えて、青青黒を出せるマナベースを常にそろえることを意識しましょう。

《堂々たる撤廃者》
 固定枠。
 中盤以降はプレイするだけで大きく警戒されますが、第1ターンや第2ターンに出すと見逃されやすいクリーチャー。
 2ターン目のドローで引き込んだ後、そういえば1ターン目に白マナを出せる土地を置いてなかった……とならないように気を付けましょう。

《敵対工作員》
 3マナはもっさりしているので、絶対に採用するべきカードとは思っていません。
 しかしながらこのデッキがミッドレンジのゲームスピードを想定しているデッキということもあり、現在は採用としています。
 これ1枚で相手の動きが止まる場面も多いため、重さは気になってもやはり強力なカードです。

《呪文探求者》
 《儚い存在》サーチから始まる1枚コンボの他、単純に1枚のカードをサーチするクリーチャーとしても優秀です。
<コンボルートメモ>
①儚い存在を呪文探究者にプレイ。
②最後の賭けをサーチ。プレイ。
③次のターンのアップキープに儚い存在の反復を解決。呪文探究者対象にプレイ。
④悟りの教示者か吸血の教示者をサーチ。
⑤ドロー前に、教示者をプレイ。
⑥死の国からの脱出をサーチ。
⑦ドローし、メインフェイズに死の国からの脱出をプレイ。
⑧儚い存在を脱出でプレイ。思考停止をサーチ。
⑨教示者を脱出でプレイ。ライオンの瞳のダイアモンドをサーチ。
⑩思考停止をプレイ。本体・コピー共に全て自分を対象にし、ライオンの瞳のダイアモンドを墓地に。
※必要なリソース
・呪文探究者をプレイしたターン:「2白青赤赤」
・最後の賭けで得たターン:「2白白白青赤」もしくは「2白青黒黒赤」+墓地最低5枚

 殆ど通らないルートですが、とはいえ1枚ルートに助けられることもあるので覚えておきたいところです。
 既に手札や墓地にパーツが存在していたり、直観など他のカードを絡めたりできるため、状況によってルートが変わることは頭に入れておきたいところです。

《イーオスのレインジャー長》
 固定枠。
 1マナクリーチャーのサーチも強いのですが、置き《沈黙》の部分だけ見ても非常に強力なクリーチャーです。
 クロックの確保と、対戦相手への妨害と、自分が仕掛けるときの準備が、一枚で賄える素晴らしいカードです。今のところ、抜くことは考えられません。
 現在のリストでは1マナのクリーチャーは2種類しか採用していないのですが、本体が強力なので特に問題は感じていません。

《托鉢する者》
 大分弱い概念泥棒です。
 とはいえ本体サイズの大きさや、色拘束の少なさ、紅蓮破赤霊破に当たらない、などの利点はあります。
 《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》のドロー効果に対応してプレイする場合、概念泥棒では絶対に引かせてもらえませんが、托鉢する者では1枚引けるかもしれないという差もあったりします。
 Opus thiefでも採用されているのをあまり見ないのですが、非採用の場合ドロー阻害パーツが不足していると感じたため採用としています。

《概念泥棒》
 コンボパーツの一つであり、単体でも強力なカードです。
 生き残れば生き残るほど有利になるカードですが、それだけに除去の的になりやすいです。
 また、構え続けて結局数ターンマナを無駄にしてしまう……というパターンは避けたいため、相手のドローカードに合わせずともプレイしてしまっても良いことも。ティムナも出さずに4マナを構えるとバレバレなのですが、割り切って構えるのが良い場面もあります。
 自分のターンに入る前に概念泥棒→メインターンに打ち消しを構えながら7ドローを撃つ、がこのデッキの基本的な勝ち筋です。

《猿人の指導霊》
 《炎の儀式》とは相互互換。
 無からマナを出す貴重なカードで、むかつきの安定感を増すカードでもあります。
 儀式系カードは、各マナ要求カードやスタックスカードに引っかかるのが好みではないため、指導霊優先としています。また、1ターン目に加速して何かを行いたい場合、炎の儀式だとフェッチランドで赤マナを生む土地を持ってこなくてはいけないこともあります。
 土地の状況に左右されずマナを生み出せる指導霊は、+1マナ加速のカードとしては非常に優秀です。

●インスタント(25枚)
《むかつき》
 EDH最強カードの1枚、とされるカード。
 頼りきりにならないゲームプランが前提なのは前述の通りですが、なんだかんだ通ったら勝つカードなので早いターンにプレイし仕掛けることもしばしば。
 しかしながら対戦相手3人が全員青の場合、相手全員がフルタップでも仕掛けに行かないことの方が多いです。
 様子見で撃たないことの方が多いため、この枠を他のカードにしてもいいかなくらいのカードではあります。と思いながらも、ロングゲームでもライフ管理が上手くいっていれば当然強いため、実際に不採用にするところまではいっていません。

《Demonic Consultation》
 固定枠のコンボパーツ。
 このカードや《汚れた契約》で妨害カードを探しに行かないと負け確の場合は、ちゃんと唱えましょう。

《思考停止》
 固定枠のコンボパーツ。
 相手のライブラリー積み込みカードを妨害もできるのを忘れずに。
 対戦相手のサーチ呪文(《新生化》など)が通ると相手のコンボが成立してしまう場合、可能性にかけて対戦相手のライブラリーを削ることもあります。
 暇な時に適当なストーム数で自分のライブラリーを削っておくのは有効な使い方ですが、対戦相手が墓地除去を採用していそうな統率者の場合は、避けた方が無難でしょう。

《汚れた契約》
 素で使っても強い、優秀なコンボパーツ。
 コンボカードとしてではなく、サーチカードとして使用することもしばしば。
 2回唱えるとそのままタッサの神託者コンボが成立するカードでもあります。

《最後の賭け》
 用途は主に3つ。
①前述の呪文探求者コンボ
②ターンの差し込み
(場のカウンター総枚数が減ったと思ったときや、ターンに入る前のプレイヤーがマナを寝かせた際などに)
③むかつきや7ドロー+概念泥棒などで手札を大量にドローした際、取りあえず追加ターンに入ってマナを潤沢に使いたいとき
……となります。
 ①は誰も妨害を持っていない場でしか通らないコンボなので、あまり使うことは有りません。
 ②は成功体験に引っ張られて狙ってしまいがちなのですが、積極的に狙うものでもないため頭の隅に入れておく程度にとどめておきましょう。
 ③はある意味本来の使い方なのですが、意外にこの使い方が一番勝ちに貢献してくれている気がします。

《暗黒の儀式》
 固定枠。
 使いきりのマナ加速呪文で、一番効率の良いカード。
 むかつきからマナファクトの展開補助まで。温存すると裏目を踏む可能性が高いため、心なし早めに使ってしまうことにしています。
 加速度合いでいえば《弱者選別》の方が上なのですが、気軽に使いにくいカードのためあちらは不採用としています。

《陰謀団の儀式》
 大体スレッショルドは達成しないのですが、それでも強い1枚。
 インスタントなのが偉いところ。

《剣を鍬に》
 撃つだけカードアドバンテージの損なので、以前は不採用にしていました。
 ですが、近年は除去しないと即負けに繋がる生物が増えてきた都合上、仕方なしに採用としています。

《儚い存在》
 呪文探求者と組み合わせる以外にも、波止場の恐喝者に使用するのも強い使い方です。
 ティムナもクラムも召喚酔いが気にならないシステムクリーチャーであるため、それら2体への除去をかわすのに使用したりもします。
 あくまでシナジーカードですので、固定枠だとは考えていません。

《沈黙》
 固定枠。
 自分のターンで仕掛けに行く際に使いたいがために、相手ターンを妨害するべきところで撃ち損ねることはよくあります。気を付けましょう。

《サイクロンの裂け目》
 スタックス耐性を上げる貴重なカード。
 超過は強力なだけに当然打ち消されやすいので、撃つタイミングには気を付けましょう。

《偏向はたき》
 ほぼ固定枠。
 ティムナは決して軽いとは言えないクリーチャーなので、統率者ピッチは意外と常に構えられるわけではないのが気を付けたいところ。
 防御的な統率者ピッチは、引けていると気軽にフルタップで統率者をプレイできるため、激情の後見と合わせて両方とも採用しています。

《否定の契約》
 固定枠。
 沈黙と同じく、自分のターンの仕掛けに使いたいがために、相手のターンに撃ち損ねるのは避けましょう。通れば負けの呪文に対して下家に優先権を流したら、そのまま通ってしまった……はあるあるです。
 防御に使うと弱いのでギリギリまで引きつけたくなるのですが、時には素直に撃つのも大切です。

《白鳥の歌》
 ほぼ固定枠。
 すり抜ける対象はそれなりに多いものの、それでもなお広い範囲は魅力です。死の国からの脱出を対象に取れるのが何より有り難い。

《精神的つまづき》
 cEDHにおいてはほぼ固定枠。
 打ちどころに悩むのですが、中盤以降の1マナ教示者は大体マストカウンターと考えてもいいかもしれません。
 とはいえ攻める際のカードとしてもそれなりに信頼感が高く、未だに打ちどころを間違えることもある難しいカードです。

《払拭》
 1マナ打消しの中ではそんなに信頼感はないのですが、相手の打消しにもむかつきにも使えるのでまあやっぱり強いねな感覚のカードです。
 《呪文貫き》や《紅蓮破》よりは信頼感があるため、デッキを見直した際に強さを疑問することはあっても、最終的にはほぼ毎回採用しています。

《狼狽の嵐》
 インスタントとソーサリーに対してはかなりの安心感があるカード。
 範囲は狭くとも、範囲内への確実性が高いため優先的に採用しています。
 自分が呪文をプレイする際は、必ずストームを意識してプレイしましょう。不要な呪文を唱えてしまったばっかりに狼狽の嵐で打ち消されてしまうのはあまりにも悲しすぎます。
 また、稀に「マストカウンターに狼狽の嵐を唱えたいが、ストームの数が足りないため相手にマナを支払われてしまう。しかし相手のマナを使わせることに意味を感じたため狼狽の嵐を唱えた……が、実際は第三者がその前に呪文を唱えることができたため、声掛けをしていればストームが足りている状況だった」という場面に出くわします。ストームの足りない狼狽の嵐を持っているときは、一度声掛けをしてみましょう。

《否定の力》
 cEDHでは青が濃ければ固定枠。
 1ターンキル、2ターンキルが珍しくもない現環境では必須カードと認識しています。
 マナに余裕が出る後半では、素撃ちの選択肢を忘れないようにしましょう。

《激情の後見》
 3マナ+5マナの統率者は微妙にもっさりしているため、ティムクラにおける統率者ピッチは常に0マナで撃てるカードというわけではありません。(常に0マナで撃てるカードと認識してプレイすると危険、と言い換えてもいいかもしれません)
 とはいえ偏向はたきと同じく、激情の後見が手札にあるときは統率者を唱える選択肢を取るリスクが大幅に減り、安心感が段違いです。
 少しケチを付けましたが、ほぼ固定枠のカードとして取らえています。

《精神壊しの罠》
 単ターンキルの仕掛けをするデッキが多い現環境では、手札にあるだけで安心感が違います。
 否定の力ほど簡単に撃てるカードではないですが、暫くはデッキから抜く予定はありません。
 貴重なクリーチャーを打ち消せる呪文でもあり、同時に狼狽の嵐にも対応できる呪文でもあります。厳密には打消しではなく追放なので、対打ち消し耐性性能もあるのが偶に役立ちます。
 0マナで撃てる以外の利点も、それなりに多いカードです。

《意志の力》
 固定枠。
 慣れていても意外と撃ち間違い・撃ち損ねは発生するもの。
 あまり引っ張らずに、危ない呪文にはしっかり撃つのを心がけましょう。

《神秘の教示者》
 ほぼ固定枠として扱っています。
 強力な呪文は仕掛ける直前にサーチしましょう。

《吸血の教示者》
 万能サーチであり、固定枠。
 何を持ってきたかわからないという、非公開のサーチに共通する強さもあるのですが、それ故に必要以上に警戒されてしまうことも。
イベント規定<3.13 非公開情報>の項目によると、【プレイヤーは自分の手札やその他の自分が得ている非公開情報を、ルールで特に禁止されていない限り、公開することを選んでもよい。】とあります。
 つまり、序盤に《魔力の墓所》を持ってくるなどの脅威度が比較的低い動きの際は、魔力の墓所を持ってきましたと対戦相手に見せながらサーチするのが無難と言えます。サーチした後すぐにプレイする予定のカード全般にも、同じことが言えます。
 また同時に、秘匿情報に関する情報は嘘をつくことも許されています。これも、覚えておきたいところです。
 詳しくはこちらも参照<https://blogs.magicjudges.org/rules/mtr4-1-jp/>

《悟りの教示者》
 万能とは言い難いですが、魔力の墓所や死の国からの脱出を持ってこられるだけで十分とも言えます。
 Opus thiefにおいては7ドローの相方の一つである《息詰まる徴税》を持ってこれるため、コンボパーツのサーチ呪文としても優秀です。

《直観》
 1枚から勝つカード代表の固定枠。脱出ストームが現EDHの最強コンボである理由の一つと言えます。細かいルートは割愛します。
 如何にこのカードを上手く通すかが肝となるゲームは珍しくありません。
 マナの計算や、墓地枚数の管理は慣れていてもわからなくなるので、落ち着いて逐一数えましょう。
 一人回しも大事ですね。

●ソーサリー(10枚)
《ギャンブル》
 あまり好きではないものの、死の国からの脱出との相性が良すぎるために仕方なしに採用しているカードです。
 初手でギャンブルをして魔力の墓所をサーチする動きは避けた方が無難でしょう。色が少ない・弱い統率者なら仕方がないかもしれませんが、共闘4色でやるにはリスクが高いと感じます。
 魔力の墓所だけが抜かれると駄目な1/7の勝負と考えるならまだしも、大抵の場合、手札にもう1枚ある土地が落とされると駄目・コンボパーツのどれかが落ちると駄目・マリガンが重なり確率が1/7未満に落ち込んでいる、などの要因で1/7勝負にならないことが多い印象です。
 基本的に、通常の手札枚数でギャンブルを唱えた後、ギャンブルでサーチしたものが墓地に落ちると弱い場面では、ギャンブルを唱えないようにしています。
 《セヴィンの再利用》が手札にある状態で死の国からの脱出をサーチしたり、逆に既に死の国からの脱出が戦場に出ているときにコンボパーツを揃えたり……ギャンブルはそのような確実性のある場面まで温存するのが無難だと感じています。
 7ドロー+概念泥棒や、むかつきなどで手札が過剰に膨らんだ際は、(サーチしたものが墓地に落ちると負ける場面でも)ギャンブルを唱えて勝ちに行くことはあります。

《伝国の玉璽》
 最近は第1ターンに積み込んだカードを、《敏捷なこそ泥、ラガバン》が疾駆で盗んでいく光景がそこそこ見かけられます。
 それでも強いことには変わりないため、特に抜くことは検討していません。

《変化の風》
 何度か7ドロー7ドローと書いているのですが、実際には7ドローできることは少ない変化の風もドローコンボパーツの一つです。
 何より1マナで撃てるのが最大の魅力で、直前ターンの終了時に概念泥棒or托鉢する者→ターンに入ってドローカードをプレイする際、カウンターや妨害の構えやすさが段違いです。また、首尾よくコンボが通った際、そのまま勝ち切れるかどうかも残りのマナ量に左右されるので、軽いに越したことはありません。
 このカードの存在が故に、ゲーム後半に引いた土地を手札に残しておく選択肢は常に頭の中に入れておきましょう。
(元々墓地の枚数は多い方が良いので、《Wheel of Fortune》や《ライオンの瞳のダイアモンド》で墓地に送る可能性もある手札のパーマネントを、全てを戦場に出してしまうのは考え物なのですが)
 《燃え立つ調査》は不採用としています。ドロー系コンボパーツが複数手札に来ると対応力が低くなり、弱くなってしまうのが理由です。変化の風も単体で使うことはおおよそ考えにくいカードであり、似たカードをもう一枚増やすことは今のところ検討していません。

《悪魔の教示者》
 固定枠。
 吸血の教示者の項目で書いた通り、大したことがないものを持ってきた際は見せてしまうのが良いと思います。
 《ロッド・オヴ・アブソープション》で2回唱えてコンボパーツを揃えることも良くあります。

《滅ぼし》
 全体除去は抜いたり入れたりしているのですが、現在のところは滅ぼしがベストなカードだと感じています。
 呪文探求者から探せること、軽い単体除去としても使用できること、むかつきで捲れた場合のライフロスが抑えられること、など利点は多いです。
 オンラインのcEDH大会なら勝手は違うのかもしれませんが、晴れる屋の大規模な大会などでは少なからず線の太いクリーチャーデッキに遭遇するため、全体除去はデッキに一枚は入れておきたいところです。
 競合となる呪文は多いのですが、呪文探求者からサーチできることが非常に気に入っているため、今のところ別のカードに差し替えることは検討していません。

《セヴィンの再利用》
 直観経由のコンボパーツの一枚。
 序盤にフェッチランドを戻して土地加速することも珍しくありません。
 表撃ちは温存せず早めに使用してしまっても良いとは思いますが、直観から死の国からの脱出コンボに入る際は、コンボパーツを1枚でも隠し持っていると大幅に有利になります。手札と相談して、考えて使いましょう。

《Timetwister》
《Wheel of Fortune》

 各3マナ7ドロー呪文はそれぞれ長短があるのですが、それでもOpus thiefにおけるTimetwisterとWheel of Fortuneは固定枠です。
 墓地をライブラリーに戻す/戻さないは一長一短ですので、手札に両方とも在る・もしくはサーチで持ってくる場合は、状況に応じてどちらを使うのが良いか考えましょう。
 ドロー阻害からコンボに行く場合は墓地が肥えていた方が嬉しいため、Wheel of Fortuneの方が強い場面が多い印象です。紅蓮破赤霊破で打ち消されないこともあり、こちらの方が安定します。

《意外な授かり物》
 普通に使う分には弱いTimetwisterでありWheel of Fortuneであることが多いのですが、対戦相手の手札がリスティックの研究やMystic Remoraで膨れてしまった状況をリセットする際にはこちらの方が強いときも。
 7ドロー系のカード全般に言えることですが、リス研レモラで引いたプレイヤーのリセットが可能なことは意識しておきましょう。 

《ヨーグモスの意志》
 何度も抜きたいと思ったことはあるのですが、なんだかんだゲーム後半でトップして一番嬉しいカード筆頭であり中々デッキから抜けないカードです。
 メインコンボの一つが墓地を使用するコンボのためやや使いにくいのですが、それを差し引いても魅力的なカードです。土地と水蓮の花びらを置いて教示者を再利用するだけでも十分な場面も。
 似たカードである《記憶の裏切り》は下振れが気になり、不採用です。デッキパワーレベル10のデッキしか存在しないと想定される大会ならあちらの方が強いと思いますが、現実はそうもいかないことが多い印象です。

●エンチャント(4枚)
《Mystic Remora》
 イージーウィン製造機その1。
 先手1ターン目に置ける場合は置いてしまっていいと思いますが、座順が4手目の場合は、初手Mystic Remoraが有効ではない場合も多いと思います。
 コンボスタート前に置くカードとしても優秀なので、初手で置くか温存するかはしっかり考えましょう。

《死の国からの脱出》
 現環境を定義するカードの一枚。
 ここまでも何度か書いてきましたが、このデッキは死の国からの脱出が一番の勝ち筋です。
 コンボに関するあれこれは長くなるため割愛します。
 最近は《耐え抜くもの、母聖樹》ケアをしないといけないのが面倒な要素です。余裕があるなら、偏向はたきをどこかのタイミングで墓地に落としておくと良いでしょう。
 「脱出ストームではなく、脱出で悪魔の教示者を1回撃てばタッサの神託者コンボパーツを集められる」という場面を見落とさないようにしましょう。ストームコンボに気を取られ過ぎるあまり、意外とやらかしがちです。

《リスティックの研究》
 イージーウィン製造機その2。
 慣れたプレイヤーなら当然なるべくカードを引かせないように立ち回るものですが、そうはいってもケアすることが無理な場面もあります。逆にしっかりとケアできる場面であっても、過剰にマナを支払わせている状況はそれはそれで有利な展開です。
 また、コンボに移行する際はどうしても呪文数がかさみます。バックアップの打ち消しまで含めると最後までリスティックの研究をケアすることはできない、ということも珍しくありません。。逆にこちらからコンボを仕掛ける際も、リスティックの研究を置けているなら大いに有利と言えます。
 弱い場面もあり万能カードではないのですが、想定しているゲームレンジが長いデッキである以上は採用しない理由もありません。
 あまり練度が高くないプレイヤーが、リスティックの研究で沢山相手に引かせてしまい、引いたプレイヤーがそのまま当たり前に勝つ、という場面もままあります。ですのでなるべくリスティックの研究は使う側(採用しているデッキを使用する側)になりたいと思っています。
 大会の最中であっても、慣れていないプレイヤーの方には「リスティックの研究で沢山引かせるのは、まずい」ということを説明してあげると良いかもしれません。大会であっても、会話は非常に重要なEDHの要素です。

《息詰まる徴税》
 強いカードではあるものの、打ち消しを割くほどではないかな……と思ってもらえる程度の絶妙な立ち位置の呪文です。
 4マナはそれなりに重いこともあり、フルタップで唱えることがままあります。対戦相手のターンになれば宝物によるキャッシュバックがあるため、フルタップになることは恐れず唱えてしまって良いと思います。
 フルタップでプレイされた息詰まる徴税を打ち消す場合、息詰まる徴税を打ち消されたプレイヤーがマナを構えられない+打ち消し総枚数が減ってしまうことになり、結果として場全体のコンボ耐性が下がることになります。そのこともあってか、強さの割に息詰まる徴税が打ち消しの対象になることは少ない印象を受けます。
 ただしドローが絡むコンボを狙っているプレイヤーからは、通常以上に打ち消しや除去の対象になることもあります。このあたりは概念泥棒と同じなので、相手が使用している統率者によって打ち消されそうかそうでないかの判断をしましょう。

●アーティファクト 15枚
《宝石の睡蓮》
 初手にあった場合、即ティムナか次のターンクラムかの判断は未だに付けられていません。地上が通り続けそうな相手ならば、初手ティムナにすると思います。
 ティムナ同型やマルコムデッキが相手の場合、統率者の相殺は美味しくないためお互いを殴り合う形になることが多い印象です。
 とはいえティムナの項目に書いた通り、2/2回避能力無しのクリーチャーはあまり信用できないので、安定を取るならクラムプレイで良いと思います。
 0マナのアーティファクトは、プレイしたターンに使用する予定がない場合でも、先に置いておくのが安全です。宝石の睡蓮はなるべく相手に見せたくないカードではありますが、自分は先に置いてしまっています。

《魔力の墓所》
 皆様ご存知の通り3点ダメージは普通にかなり痛いのですが、マナを使う予定がなくても初手にあったら置いておきます。
 法の定め系のカード、リス研レモラ、虚空の杯X=0、手札リセット呪文……例を上げれば枚挙にいとまがないのですが、兎に角裏目は沢山あります。
 ゲーム中盤では少し考えて置くか置かないかを判断しましょう。大体の場合はマナが増えたほうが嬉しいのですが、前述の通り墓地に落ちて脱出の助けになって欲しいこともままあります。ダメージも現実的に敗因に繋がる要素であるため、思考停止で置いてしまってよいものではありません。

《モックス・ダイアモンド》
 土地が欲しいときに引いて嫌な気分になったり、手札内の土地枚数に余裕がなくモックス・ダイアモンドが不要な状況もよくあり、弱いと思うことも多いかと思います。錯覚なので抜くことがないようにしましょう。
 各大量ドロー・手札補充後の展開、初手での上振れぶん周りなどは、0マナアーティファクトの枚数が重要になってきます。
 弱い場面は当然のようにあるのですが、それでも強いカードです。
 手札に土地が無い場合、唱えた後は墓地に送られます。墓地枚数を稼ぎたい場面、ストームカウントを増やしたい場合、それぞれの場面では忘れずにいたいところです。

《オパールのモックス》
 金属術を達成していなくとも先に置いてしまってよいとは思いますが、手札や戦場に他のアーティファクトが全くなく金属術達成の見込みがない……という場合、波止場の恐喝者ケアでプレイしない選択肢もあるでしょう。

《金属モックス》
 単色しか出ない刻印は弱いのですが、多色カードはあまり入っていない……というより概念泥棒だけなので諦めましょう。
 先置きが基本の0マナアーティファクトですが、刻印が必要な都合上金属モックスはプレイするタイミングを見計らうことも多いカードです。
 どのカードを切るかは状況次第としか言えませんが、急いでプレイしなければいけないカードではないのは確かです。
 モックス・ダイアモンドと異なり、カードを刻印しなくても戦場には残ります。オパールのモックスの金属術を達成したいときに「空置き」することもしばしばです。

《ライオンの瞳のダイアモンド》
 コンボパーツの一つ。
 追放除去の対象になる裏目は薄いので、やはり先置きプレイで問題ないと思っています。
 隠し持って脱出コンボ成立を悟らせないメリットも大きいのですが、仕掛けるターンにプレイしたことによって狼狽の嵐のストームが増えてしまったり、精神壊しの罠の助けになってしまうと目も当てられません。
 手札を増やす呪文をスタックに乗せるのに合わせてマナ能力を起動し、出たマナを増えた手札のカードに当てる……という通常の使い方をする機会は多くないですが、ないわけではありません。選択肢を見落とすことのないようにしましょう。

《水蓮の花びら》
 意外と忘れがちなのですが、ライオンの瞳のダイアモンドはなく水蓮の花びらでも「脱出ストーム」は狙えます。
 序盤に使用した際は墓地に落ちていることを忘れないようにしましょう。

《太陽の指輪》
 サーチ呪文で、魔力の墓所ではなく太陽の指輪を持ってきてもマナ的には支障はない場面に出くわすことはあるかと思います。しかし精神的つまづきケアのことを考えるとやはり魔力の墓所をサーチするのが無難でしょう。
 主に素引きで使用することになるカードです。

《魔力の櫃》
 ほぼ使い切りのような印象をもたれるカード。よく考えたら起こして大丈夫だった、という状況もありますので、1点を軽視せず起こせるときは起こしましょう。
 積極的にむかつきを狙わないデッキなので、魔力の櫃のマナは温存せずに、マナアーティファクトの展開や統率者のプレイに使用してしまってよいと思います。
 魔力の櫃+白1マナを構えた状態での托鉢する者は殆ど警戒されません。第1ターンに出せる櫃を敢えて出さず、第2ターンに櫃+土地で托鉢する者を構える動きは稀に行います。

《秘儀の印鑑》
《友なる石》
《発展のタリスマン》
《威圧のタリスマン》

 使いやすい2マナ加速は4種類を採用。
 多くもなく、少なくもなく、程よい枚数を採用しましょう。
 むかつき後などマナに余裕がない場合、暗黒の儀式や陰謀団の儀式で出た黒マナを、マナアーティファクトで他の色に変換する……という動きは珍しくないので、枚数を絞りすぎることなく採用しましょう。

《厳かなモノリス》
 無色マナが余ることがままあるため、不要に思えることも多いです。
 それでも有用な場面は多いためデッキから抜けることは殆どありません。

《ロッド・オヴ・アブソープション》
フォーゴトン・レルム探訪発売当初から試しているカードなのですが、引いたゲームは毎回のように活躍しているため、今では強いカードだと確信して使用しています。
・悪魔の教示者、汚れた契約など、2回撃つとコンボ成立する呪文の複数使用。
・対脱出ストームを代表とする墓地対策。
・サーチ呪文などの相手の強力な呪文に対する牽制。
 ……などの広い用途があるカードです。
 「吸った」呪文はソーサリーであっても、インスタントタイミングでスタックに乗せることができます。ドローフェイズ・ドロー呪文に合わせて伝国の玉璽を唱えたり、滅ぼしを相手のターンに唱えることもできます(超過では唱えられませんが)
 「マナさえあれば全ての呪文が2回ずつ使える」と書いてあるようなものなので、使い道がどうというよりも単純に強いカードという感覚を持っています。
 想定しているゲーム速度が前のめりの場合は、このカードを置くよりも強いアクションがいくつかあると思います。しかしながらこのデッキは中盤以降のゲームを行うことを想定したデッキですので、ロッド・オヴ・アブソープションのような遅めのカードも強く使うことができています。序盤、中盤、終盤(コンボ前やコンボ自体に)、いつでも強いのは有り難い点です。
 7ドロー系呪文を唱える際は当然温存したいカードを手札残しておくことはできません。その点ロッド・オヴ・アブソープションは、後で使いたい呪文を追放しておくことができるのが助かることも多いです。
 ロッドがある状況下で<7ドロー呪文+息詰まる徴税>のコンボが通った際は、7ドロー自体がロッドに追放されますので確定でもう一度ドローを試行することができます。また、マナが潤沢ならば悪魔の教示者か汚れた契約を2回撃つだけで神託者コンボが揃いますので、カード1枚に対してのバリューが大きく増加します。
 ……結局は「マナさえあれば全てのインスタント・ソーサリー呪文が2回ずつ使えるのだから強い」に帰結します。ミッドレンジの青いデッキの場合、一度採用をお勧めしたいカードです。自分以外に使用している方を見ないため、率直な意見をお聞きしたいと言うのが本当のところです(最近何故か在庫がなくなったと聞いていますので、これを機に使用者が増えると嬉しいと思っています)
 ちなみに置換効果が複数ある場合は、影響を受けるプレイヤーがどの置換効果を適用するかを選択するので、対戦相手のダウスィーの虚空歩きがいる場合でも、呪文のコントローラーはロッドによる追放することを選択できます。フラッシュバックの置換による追放も同様です。(誘発型能力による追放なので、唱えたとき戦場にロッドが置いてないとダメなのですが)

●プレインズウォーカー 1枚
《覆いを割く者、ナーセット》
 コンボパーツの一枚。
 アドバンテージ獲得・ドロー阻害共に、単体で強いカードなのが嬉しいところです。忠誠度は低く脆いカードなので、使いきりになることもしばしば。
 各7ドローカードと組み合わせた場合、唯一マナも手札も増えない組み合わせとなるためコンボ先としての優先度は低いカードです。

【不採用カードについて】

《敏捷なこそ泥、ラガバン》
 2ターン目に既に殴り先がない、ということも珍しくもない賞味期限切れの早いクリーチャー。
 上振れした場合の魅力はあるのですが、何より安定感を重視しているため不採用としています。

《セラの高位僧》
 タイミング良く引ければいいのですが、完全な不要牌になることも多いため不採用。
 早いターンにライフが落ち込むことも珍しくもないため、もっと安定したカードに枠を割きたいというのが正直なところです。これは体感というよりは「現実としてあるため、その場面を許容することができない」という感覚です。
 1マナクリーチャーであるため《イーオスのレインジャー長》でサーチできるのは大きな魅力ですが、1ターン中に白マナ3つを生み出せるマナベースを確保しておくのは難しいため、個人的には評価を下げています。
 当然6/6飛行絆魂は大いに魅力的なため、定期に採用したくはなるのですが……。

《定業》《渦まく知識》などのドロー操作
・《リスティックの研究》や《Mystic Remora》に一々引っかかる。
・コスト増加系や、法の定め系のスタックスカードに一々引っかかる。
・概ねいつ引いても良いカードを採用することを意識しているため、見たカードがどれも欲しいということが多い。
・《敵対工作員》《エイヴンの思考検閲者》ケアでフェッチ先切りを意識しているため、ドロー操作+リシャッフルのシナジーが生まれにくい。
 などの理由から不採用としています。
 EDHで一番残念な(しかしながら回避しにくく、よくある)負け方は、リス研やレモラに大量に引かせてしまってそのまま引いたプレイヤーが勝ち……のパターンだと感じています。
 ある程度は仕方がない側面なのですが、軽量ドロー操作を全不採用とする程度には、デッキ構築の時点で意識するべき負け方だと感じています。
 《ギタクシア派の調査》は採用しても良いと思っています。とはいえ、「一人の手札を確認したが、どちらにせよ他のプレイヤーが打ち消しを構えている可能性は考慮しなければならないため、確認したことにそれほど意味がない」という状況が多いため、あまり好みではありません。

《赤霊破》《紅蓮破》
 《むかつき》や《死の国からの脱出》、《波止場の恐喝者》《堂々たる撤廃者》に使用できない弱いカード、というのが概ねの認識です。
 積極的に仕掛けることが多い構成ならば、相手のカウンターに使用できる安定感のあるカードだとは思います。しかしながら狙っているゲームレンジが中速である以上は、他の妨害手段を採用したいというのが本音です。
 大きな負け筋の一つ、ケアしがたいリス研を後から割ることができる一点で、評価を上げてもいいかなと感じてもいます。

《願い爪のタリスマン》
 高速で仕掛けに行くことを基本にするならばともかく、そうでないならば使いにくいカードという印象です。
 プレイ後即起動しか行わないならば《不気味な教示者》と大して変わらないカードですし、プレイした後サーチせずにターンを返すと実質的にオープンリーチであるかのように扱われ不利になるのが気に入らないポイントです。地味ながら波止場カウントを増してしまうのもマイナスポイントです。
 《悪魔の意図》も同種のカードで、気軽に生贄に捧げられるクリーチャーがいないこともあり、不採用です。こちらはティムナやクラムを生贄にしてでもコンボパーツを集めることがある呪文ですが、リスクの高い動きはコンセプトに反するためあまり評価を上げていません。

《蒸気の連鎖》《錬金術師の挽回》などのバウンスカード
 スタックスに対するガードは下げたくないため、本当はバウンスをもう少し採用したいと感じています。しかしながら枠の捻出が難しいため、不採用としています。
 とはいえ蒸気の連鎖は打ち返しが気になることが多く(ターボむかつき系の構成よりも場に残したいパーマネントが多いのが原因です)、錬金術師の挽回は死の国からの脱出で唱えた際に切除で撃てないのが好みから外れるところです。
 恐らくバウンスカードを増やす際は、《叱責の風》にするかと思います。

《ダウスィーの虚空歩き》
 とても採用したいカードなのですが、黒マナダブルシンボルが重いため不採用としています。
 フェッチランドから土地をサーチする際は、後から何を引いてきても問題ないようにマナを揃えることを意識するかと思いますが、
・青青黒
(《タッサの神託者》+《Demonic Consultation》)
・白白
(《イーオスのレインジャー長》と《堂々たる撤廃者》)
・白青+赤黒
 白赤+青黒
 ……など、クラムとティムナを両方とも出せる組み合わせ。
 を確保しておきたいのですが、ここに黒黒を入れるのは難しいことです。
 手札次第ではありますが、1ターン目は(撤廃者受けを考慮し)白黒か青白の土地をプレイすることが多く、第2ターンはその逆をプレイすることが多いです。
 3枚目(土地が暫く3枚でストップすることも珍しくありません)は青赤が組み合わせとしては理想ですが、何かの理由で別の色を持ってこないといけない場合もあります。当然、2色地形を素で引いている場合は自由なマナベースの選択ができないこともあります。
 黒黒はどうしても重く、仕方なしに採用を見送っている形です。とはいえ、終盤に置いても強いカードではあるため、序盤の出しにくさを考慮しても採用に足るカードだとは感じています。

《ドラゴンの怒りの媒介者》
 大変優秀なクリーチャーだとは思うのですが、割くスロットが見当たらず不採用に。
 第1ターンに赤マナが必要ない構成にしているおかげで、マナベースに安定感がでているのも無理をして媒介者を採用したくない理由の一つです。

終わりに

 以上、軽くではありますが100枚+不採用カードの説明でした。
 当たり前感のある内容と思った方も多いかと思いますが、少しでも読んで良かったと思って頂けたら幸いです。
 観測範囲でOpus thiefを使用しているプレイヤーが見当たらず、意見交換ができないのが最近の悩みの種です。
 気になった点・間違っていると思わられる点・ご意見などありましたら、Opus thiefを使用しているかどうかにかかわらず、コメント・Twitterなどでリプライ頂ければ嬉しいです。
 

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