閃光
概要
ネバネバした液体を粉末の上に加えると、強い光を放つ閃光が発生する‼︎
試薬
硝酸カリウム、アルミニウム粉末、過マンガン酸カリウム、グリセリン
使用器具
乳鉢、乳棒、三脚、ステンレス皿、薬さじ、10mlピペット
実験準備
1. 硝酸カリウム2g、アルミニウム粉末2gを乳鉢を使って混ぜる。
2. この混合物をステンレス皿に移す。(中心に窪みが形成されるようにすると良い)
3. 過マンガン酸カリウム2gを上に乗せる。
実験手順
準備したステンレス皿をドラフトに移動させ、グリセリンを適量加える。
原理説明
この実験では、グリセリンを入れてから数十秒後に激しい閃光が発生するという極めて一瞬の反応であるため、一つの反応しか起きてないと思かもしれない。しかし、実際は以下の3つの反応が順に起きている。
A.14KMnO +4C3H5(OH)3→7K2CO3+7Mn2O3+5CO2+16H2O
B.2KNO3→2K+2NO2+O2
C.4Al+3O2→2Al2O3
グリセリンを加えることで、過マンガン酸カリウムと反応して自然発火する(A)。これによりB,Cの反応が開始する。より正確にはB,Cの反応が開始するのに十分なエネルギーが供給されるということである。(“活性化エネルギー”)
硝酸カリウムが分解される(B)ことでNO2(二酸化窒素)が生じる。閃光が発生する前に放出されていた茶色い気体の正体はこの二酸化窒素である。同時に酸素が発生することで高温状態下でアルミニウム粉末と反応し、アルミニウムは酸化される。A,B,Cの反応は非常に高温で起き、同時にアルミニウムの酸化により激しい光=“閃光”が生じる。
補足説明
この閃光の実験は一種の酸化還元反応と捉えられるため、硝酸カリウム、アルミニウム粉末をそれぞれ他の硝酸塩(硝酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、硝酸セリウムなど)、金属粉末に変えても理論上は同様の反応が見られるはずである。アルミニウム粉末をマグネシウム粉末にすると、アルミニウム粉末を用いた時よりも白く激しい光となった。
次に硝酸塩の方を変えてみた。以下参照。
硝酸塩 → 結果
硝酸クロム → △
硝酸ナトリウム → ○
硝酸セリウム → ○
硝酸アンモニウム → ◎
ほとんどの硝酸塩で同様の反応が見られたが、特に硝酸アンモニウムでは他の塩よりも閃光の発生時間が長く、また発生した二酸化窒素の量が多かった。これは、硝酸アンモニウムは燃焼時、他の硝酸塩に比べ、遥かに多い酸素を供給するためである。そのため、閃光の激しさも増す。このような特性を活かして、硝酸アンモニウムはロケットのエンジンの推進剤や花火製造にも使われている。