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ナイロン6-6

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器具

試験管、50mlビーカー×2、10mlピペット×1、2mlピペット×3、ガラス棒、ピンセット、湯煎器、蒸留水


薬品

ヘキサメチレンジアミン(H2N(CH2)6NH2)
水酸化ナトリウム(NaOH)
アジピン酸ジクロリド(ClOOC(CH2)4COOCl)*
ヘキサン(C6H14)
アセトン(H3CCOCH3)


実験の手順

1.50mlビーカーに、水20mlとNaOH1粒を加え、湯煎して融解させたヘキサメチレンジアミン1mlを加える。

2.別の50mlビーカーに、ヘキサン10mlとアジピン酸ジクロリド1mlを加える。

3.①の溶液に②の溶液を、ガラス棒を用いて慎重に加える。このとき、ガラス棒の下端は①の溶液すれすれの壁面につけるのがよい。

4.2層に分離した溶液の境目をピンセットで引っ張り、試験管に巻きつける。

5.巻きつけたものをアセトンで洗う。机に広げて乾かす。

原理説明

この実験はポリアミド結合でできたポリアミド系合成繊維のナイロンを作る実験である。

このナイロン66はアメリカのカロザースによって作られ、「水と空気と石炭から作る繊維」として1938年に発売された。現在では主にストッキングの材料として用いられている。

鎖状のジアミンであるヘキサメチレンジアミンと、二価のカルボン酸であるアジピン酸ジクロリドが縮合重合を起こし、これらのモノマーがアミド結合で繋がったナイロン66が生成する。
水酸化ナトリウムを加える理由は、副生成物のHClを中和し、ナイロン66生成の方向に平行を移動させるためである。また、生成したHClがヘキサメチレンジアミンの-NH2と反応して塩酸塩になると、濃度の低下により反応速度が低下するため、HClを反応系から取り除くために加えている。

また工業的には、アジピン酸ジクロリドの代わりにアジピン酸を用いて、高温減圧条件下で行う。実験室での再現は困難で、さらに複雑な仕組みなので割愛する。

ちなみに、もう少しミクロに見ると、、、
①アジピン酸ジクロリドは塩素の電子吸引により電子不足
②アミンの非共有電子対がCを求核攻撃
③酸素原子が活性化して不安定な中間体イオン形成
④塩化水素が脱離して、アミド結合を形成
⑤界面重合が連鎖的に続き、ポリマーとなる。

引用

卜部吉庸『化学の新研究』
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*…他にも、アジピン酸クロリド、塩化アジポイルや二塩化アジポイルなど様々な呼び名がある。


高2 山口
乾燥後の最高記録は350cmくらいでした。


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