厚労省,「正規分布っぽい」カーブに根拠なしと認める

ようやく厚労省から,開示・不開示の決定通知が届きました。あっちも連休前に片付けたかったんだな,きっと。

1件,注目すべき不開示決定が出ています。それは,感染者数の推移が,正規分布のカーブのように描かれていることの根拠について,不存在としたものです。

厚労省が示した正規分布っぽいカーブというのは,これは日経の記事ですけども,こういうのです。

感染者数推移想定カーブby日経

私の専門は開示請求ではなく医療統計ですが,正規分布を見たら疑えと叩きこまれています。そもそも正規分布というのは,「独立で同一の標本」という前提があります。たとえば,一斉に行った模擬試験の結果は,独立(カンニングしない)で同一(同じ問題を解いている)の標本(点数)で,十分大きな数あれば正規分布になります。これは「偏差値」の前提です。
しかし,模試の点数の「推移」,つまり時系列データとなると,話は違ってきます。これが正規分布,つまり上がって下がるようだったら,塾も予備校も存在価値がありません。時系列データに正規分布をあてはめるのは,土台からしておかしいのです。この点を開示請求で追及したところ,「保有していない」との回答でした。

不存在_厚労省_正規分布_20200501

まともなデータサイエンティストに話を聞いていれば,あんな「イメージ図」を作るはずはありません。厚労省とその下におかれた専門家会議は,空理空論に固執するのをやめ,現実のデータと向き合うべきです。

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