【介護からダイバシティ―まで】ユニバーサルデザインってどんなもの?
ユニバーサルデザインとはどんなものであるかご存じでしょうか。
介護だけでなく今話題のダイバシティ―(多様性)とも関係のあるのがユニバーサルデザインです。
この記事ではユニバーサルデザインをテーマにまとめています。
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインとは何を指すのか言葉の「定義」を最初に確認しておきます。ユニバーサル(universal)は英語で、普遍的な、共通の、広く行われているなどの意味があります。デザイン(design)は設計です。
直訳すれば、「万人に対する設計」となり、誰にでも、物、建物、サービス、空間を利用しやすくする考えを指します。
バリアフリーという似たような言葉もありますが、バリアフリーは高齢者や障がい者をメインとして考えられていますが、ユニバーサルデザインは万人を対象としていることから、バリアフリーより進んだ考え方であると言われています。
ユニバーサルデザインの歴史
日本では1995年頃より社会に知られるようになり、以降、企業や行政をはじめとして、取り入れられていったと言われています。
ユニバーサルデザインが誕生する根本的な考えは1960年代に、福祉において先進国と言われる北欧を中心で「身体・精神に障がいを持つ人も、可能な限り健常者と共に生活を送る権利がある」という考えが存在していました。
その後、1980年代にアメリカ人の建築家であり、デザイナーのロナルド・メイスが「ユニバーサルデザイン」を提唱しました。
彼自身も車いすを利用している障がい者。
ユニバーサルデザインはあらゆる分野で差別が起こらないようにと、バリアフリーの考え方に変わって誕生したのです。
実は、ユニバーサルデザインはこんなところにあった
ユニバーサルデザインが特別なものとお思いの方も少なくないかもしれません。実は誰でも知っている、日常のあらゆる箇所に存在しています。
■「もの」のユニバーサルデザイン
・シャンプーのボトル
→シャンプーのボトルの蓋とボトル本体の横には、ギザギザとした突起が付いています。
一方、リンスのボトルにはこの突起は存在しません。ボトルに突起があることで、視覚障がい者の方でも、そうでない方も突起を触るだけで、リンスではなくシャンプーだということが分かります。
・センサー式蛇口
蛇口を捻る握力の弱い高齢者や乳幼児、手に障がいを持つ方でも使いやすいのがセンサー式蛇口。温度が一定に設定してあることで、誰でも火傷のリスクが減らせることも利点の一つと言える作りになっています。
・「情報」のユニバーサルデザイン
→非常口のマーク
→公共施設等に設置されている非常口のマークは、日本発で世界標準のデザインとなっています。非常口のマークは人種、使用言語等を問わず、「単語に依存せずに理解できるマーク」として各国で使えるものとなっており、ユニバーサルデザインの一つといえる、代表的なピクトグラム(絵文字)です。
・「環境」のユニバーサルデザイン
→段差のない公園の入口や歩道
→公園の入口や歩道で、段差のない環境に変わっているのを見たり体験したことがある方もいるかもしれません。段差を解消することで、車いすを使用される方が通りやすくなることはもちろん、杖等を利用する方や、幼児、ベビーカーなどの歩行者、自転車の方も安全に通行できるようになります。
ユニバーサルデザイン2020行動計画とは
新型コロナウィルスのため、2021年に延期された東京五輪でしたが、実は東京五輪をきっかけに「ユニバーサルデザイン2020」を政府は計画立てていました。社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという考え方(*1)をもとに心のバリアフリーと物理的・情報の障壁を取り除く取り組みを行っていくべきであると計画書にも掲載しています。
「物理的・情報の障壁の除去」は、まさにユニバーサルデザインを示しており、ユニバーサルデザインを意識した街づくりを行うことを方策として挙げ、建築物に係る設計標準を改正や交通バリアフリー基準(省令)・ガイドラインを改正などを具体案として検討しています。
まとめ
ユニバーサルデザインが、みなさまの身近なところに存在していたことはご存じでしたか。
身近なところに存在しているからこそ、万人にとって利用しやすい設計の物・環境・施設などがユニバーサルデザインと言えますね。
また日本ではユニバーサルデザインが知られてから20年以上が経過していますが、ユニバーサルデザイン2020 行動計画 などさらにユニバーサルデザインを見直すあらたな取り組みもあります。
あなたもユニバーサルな社会をサポートする一員になりませんか?
(*1)障がいの社会モデル:障がいは個人の心身機能の障がいと社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、 社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという考え方
参考サイト
ピクトグラム