見出し画像

「施設に入ってもらうことは悪いことなの?」~在宅介護の限界とは?~

「自宅で父親の介護をしているが、イライラして手を上げそうになってしまいました。もう限界でしょうか。施設の入所を考えているのですが、ひどいことですか?」

自宅で介護をされていると、このような感情になったことはありませんか?
なかなか人に相談ができず、ストレスを感じ続けると、このような感情になってしまうのではないでしょうか。

今回は、
「自宅介護でイライラする原因と解決策」
「施設暮らしを勧める事のとらえ方」を紹介します。

自宅介護でイライラする原因と解決策

~家族はイライラしてしまうのが当たり前~

・自宅介護のイライラする原因とは?

自宅介護では、介護を受ける方の健康状態や介護度合が関わってきますが、関係性も大きく関わってきます。
例えば、実の両親なのか、義理の両親なのか。
はたまた兄弟や従妹の介護をされている方もおられると思います。
様々な介護の形がある中で、イライラしてしまう根本的な原因とはいったい何なのでしょうか。代表的な3つを紹介させていただきます。

① 身内の事なので、人に相談できず、一人で抱え込んでしまう。

これがストレスの一番の原因です。本来ならば介護は家族や在宅ヘルパー、親族等、皆で協力し合って行う事が望ましいのですが、一番近くにいる人は思い入れが強くなり、なかなか関係性が上手く築けず、抱え込んでしまう傾向にあります。  
その結果、良かれと思ってしたことが、相手には伝わず、更にイライラがつのり、きつく話したり、怒鳴ったりしてしまいます。

②介護に時間をとられ、自分の時間がとれなくなっている。

 自宅での介護では、ほぼ「半日以上」介護に時間を費やすとの統計が出ています。介護度にもよりますが、中にはつきっきりで介護をしている方もおられ、一日の大半を介護に費やすことで、自分の時間が取れず、ストレスを感じてしまい、イライラする事が増えてしまいます。
最近、「介護休暇」という言葉を聞いたことがありませんか?
それくらい介護に費やす時間が多いということがわかります。

③ 介護による疲労や、睡眠不足になることが多い。

介護には体力も必要です。トイレや入浴で介助が必要な方なら、抱えたり、持ち上げたりと、力もある程度必要です。おむつ使用している方なら、1日に数回交換する必要がありますし、夜中に起きなければならない事もあります。
当然、肉体的な疲労もありますし、夜間、ぐっすり眠れない事があると、睡眠不足にもなります。
自宅での介護は毎日のことですから、体や精神を休ませることができず、ストレスを感じるだけでなく、介護者自身が体調不良になってしまうこともあります。

大きく3つほど紹介しましたが、補足をすると、認知症を患ってしまった高齢者には、また違った対応が必要となります。何度も同じことを話たり、徘徊や暴言・暴力などの症状が出てくることもあり、上記とは異なるストレスを感じてしまうのではないでしょうか。

図1

・イライラせず、在宅介護を続ける解決策とは?

① 相談できる人を作りましょう!

友人や知人、だれでも構いません。とにかく自分の今の状況や、介護していることを人に話していきましょう。
身内のことだから話したくないという感情もありますが、それが一番の落とし穴です。
同世代の友人なら、同じように介護をしている方がいるかもしれません。気持ちを共有し、少しでも心を軽くして、アウトプットしていくことが、とても大切です。

② ストレス解消法(趣味の時間)を作りましょう!

もともと持っている趣味があるなら、少しの時間でもいいので、やってみましょう。
特に趣味がなくても、リラックス効果のある音楽を聴いたり、テレビで、動物の癒し動画をみたり、運動をしてみたり。
とにかく、少しの合間でも億劫がらずに、自分の心に刺激や癒しを与えましょう。

③ 丸一日、休める日を作りましょう!

介護保険サービスを使うことで、丸一日ゆっくりと休める日は作れます。
未だ使っていなくても、使っている方でも、まずはケアマネージャーに相談しましょう。
お近くの介護保険事業所や地域の包括センターでも、無料で相談できます。
また、ケアマネージャーは介護を受けられる方だけでなく、介護者の休息(レスパイト)も相談することができます。

このように解決策はたくさんあります。
中でも、介護保険サービスを利用すれば、在宅介護は大きく負担を軽減することができます。

しかし、国が一部を負担してくれるといえど、お金はかかります。
そこで私たちができる事は「自身で介護の知識を身につける」ことではないでしょうか。専門家に任せたといえど、そこでもやはり気を使いますし、多くの時間を共にするのは家族である事に変わりはありません。
介護の仕方や接し方がわからないというのは、実は一番ストレスを感じてしまうものです。であるならば、介護者自身が知識や技術を身につけることが、一番の解決策になるかもしれません。

共倒れにならないためにも、在宅介護では、介護者自身も健康であることがとても大切です。

図1

施設暮らしを勧める事のとらえ方~施設で暮らすことを選択肢に入れる~

在宅での介護に限界を感じ、施設暮らしを勧める事は決して悪いことではありません。
一概には言えませんが、介護を受けるご本人にとっては、住み慣れた自宅を離れる寂しさはありますが、介護施設で暮らす方が、気持ちよく、安心して暮らせる場合もあります。

各家庭で施設の入所を考えるタイミングや事情は様々です。

・介護の負担が大きくなってきた
・認知症がすすみ、日中も目が離せなくなった
・仕事との両立が難しくなってきた

などなど。

もちろん施設入所だけが解決策ではありません。デイサービスやショートステイといった介護保険サービスも利用することで、在宅介護の負担は軽減させることができます。
しかし、それでもなお、介護者が、「介護がつらい」、「腰が痛い」、「疲れが取れない」といった状態が変わらないのであれば、それは施設の入所を考えるべきタイミングかもしれません。
 
施設といっても、様々な形態のものがあります。サービスや料金も施設によって大きく異なり、把握するには難しいものがあります。
もし、施設入所を検討するなら、まずはケアマネージャーに相談しましょう。
希望する介護施設が決まらない場合や、中には順番待ちが必要な施設もあります。
リサーチは早めに行っておくことをお勧めします。

図1

施設入所は悪いことばかりではありません。~改めて気付く、家族の絆~


それでも施設入所にためらいや迷いはありませんか?
もちろん、施設がどんなところかわからないという理由もあると思いますが、一番の理由はやはり、「できれば一緒に生活がしたい」と思う気持ちが強いからではないでしょうか。

しかし、その気持ちを持ち続けることが、施設入所を考える上で、一番大切な事です。

もしかしたら、「これ以上、家族に世話をかけたくない」と、介護を受ける方も同じように思っているかもしれません。
たとえ施設で生活することになったとしても、一緒に生活ができないと思う分、面会の機会も増えるのではないでしょうか?


介護施設で生活する方には孤立無援の方や、ご家族の面会がほとんどない方もたくさんおられます。
施設入所と聞くと、何か冷たく感じるかもしれませんが、実は「家族や親族が会い来てくれる」という新しい「生きがい」が生まれ、双方が安心して生活することができる、解決策になるかもしれません。

図1


一人で決めずに、周りに相談しましょう

施設の入居を決める基準となるのは、介護者も介護を受けるご本人も「安心して生活できるのはどこか?」ということではないでしょうか。
例え在宅介護でも、サポートが万全であれば、自宅でも過ごすことができます。
しかし、介護者の負担や、関係性が悪いのであれば、安心して生活できる環境とはいえません。
また、病気や認知症などを患っていると、夜もゆっくり眠れないこともあります。
施設と一言で言っても、現代は様々な形態の介護施設があります。
自分で調べることもできると思いますが、まずは介護のプロである、ケアマネージャーやお近くの介護保険事業所に相談しましょう。

東住吉介護センターにはケアマネージャーが多数在籍しております。
在宅での介護に限界を感じる前に、一人で悩まず、ぜひ下記からご相談ください。

フッターB


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?