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義父母の介護をしていたらアラサーからアラフォーになっていたでござる

義母たまこさんと、嫁である私の関係は、そう悪くはないと思う。

むしろイイ方だ。介護ヘルパーさんや、ケアマネージャーさんのお話を聞く限り、私は「なかなか良く老母の面倒を見る嫁」と見て頂けているらしい。とても有難いことだと思う。

私はいま38歳で、義母は86歳。私の夫は46歳で、義母が40歳を過ぎた時に産んだ子供である。年の差を見るならば、義母はむしろ私のおばあちゃんの年齢だ。この大きな年齢差が、よく言われる嫁姑間の摩擦をなくしてくれているのかもしれない。

たまこさんは足が悪い。自分の部屋からトイレに行く際にも、歩行器を使っている。足を持ち上げて歩かないので、左足だけは常に引きずるような形だ。パンパンにむくんだ足を引きずって、上手にスリッパを履き、歩行器にもたれ掛かってトイレまで歩く。これがたまこさんの唯一の運動である。ちなみに、たまこさんの介護度は「要支援2」。7段階ある介護度で、軽い方から2番目である。

たまこさんは陽気で、おしゃべりだ。部屋に一人で居るときも、ずっと何かを喋っている。必死にトイレへ行く時も、己を鼓舞するようなことを言いながら歩いている。ネアカなのだ。足の痛みでうまく身動きが取れないこと以外は、まったくもって元気いっぱい、天真爛漫な少女のような人だ。たまこさんがそんな性格の人で、私もとても助かっている。嫁姑間の摩擦が少ないというのも、年齢差に加えて、たまこさんの人格によるものが大きいと思う。とてもありがたい。

私が仕事を辞め、この家、旦那の実家に来て、7年が経った。介護を始めてから7年、無職になってから7年ということだ。その間、この家の中では本当に色々なことがあった。義母のケガや入院に、今は亡き義父の認知症、思い返すと苦労ばかりな気もするが、すべては過ぎたことだ。もう、どうでもいい。何一つ変わらないこともあるが、これから先も変わらず続いていくのかと思うと、それはそれで実にゾッとする。

今年は悲惨な年だ。新型コロナウイルス感染症の出現と蔓延によって、人々は外出を控えるようになった。

私はこの7年、半日以上家から出たことは無い。

義父は認知症で火をつけたがったし、義母は転ぶと自力で立てないからだ。

これから先も、籠の鳥が続くのか。

私は、とても困っている。7年間、ずっと困っている。


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