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介護職賃上げ月6,000円は不十分か?流出を防ぐために必要な金額は?

介護職員の賃上げのための補助金について、大きく話題になっていますね!

介護職員の賃金問題は、多くの介護施設経営者にとって重要な課題です。しかし、賃上げに関する最近の補助金政策は、実際にはどれほどの効果があるのでしょうか?

今回は、介護職賃上げ月6,000円は不十分か?流出を防ぐために必要な金額は?というテーマでお伝えします。


補助金 介護職賃上げ月6,000円の意味

月6,000円という金額は、人の感覚によって多いとも少ないともとれますので、この記事では定量的に6,000円という金額を評価します。

今回の賃上げ補助金の目的は、「全国的な賃金改善に伴う、介護人材の異業種への流出」を防ぐことです。

平たく言えば、「介護職は給与が低いから、他の仕事に就こう」という流れを止めることです。

つまり、6,000円の賃上げにより、他の業種と同じ水準で給与改善されていなければ、不十分ということになります。

評価にあたって、2つの基準を用意します。①最低賃金の上昇率、②介護職の平均年収と賃上げ率の平均

①最低賃金の上昇率による影響

2023年10月より最低賃金の全国加重平均が961円から1004円に上昇しました。月収で約7,224円の増加を意味します。これを6,000円の賃上げと比較すると、明らかに不十分であることがわかります。

つまり、月の給与が7,224円上がることになります。この金額と比較すると6,000円という金額は不十分だと言えそうです。

②介護職の平均年収と賃上げ率の平均

2023年春季労使交渉の最終集計では、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせた賃上げ率は平均で3.58%という結果がでています。

一方で、2023年4-6月期(前期比)の名目四半期GDP成長率は3.58%です。31.8万円×3.58%=11,384円。この金額と比較しても6,000円という金額は不十分だと言えそうです。

介護事業者はいくら賃上げすれば良いのか?

上記のことを踏まえると、6,000円の賃上げでは足りないということが、定量的に判断されるかと思います。

その上で、「自社の賃金をどれくらいあげるべきか」については、単純計算で言えば、パートの給与は①を基準に。正社員の給与は②を基準にすると良いでしょう。

ただし、これはあくまで異業種の賃金上昇を基準とした、賃金改定金額の目安ですので、近隣の介護施設の給与がもっと上がっていれば、それにあわせて更なる給与改善が必要です。

近隣の介護施設の給与がそこまであがっていないのであれば、給与改善よりも、福利厚生や働きやすさに、力を入れると良いでしょう。

まとめ 介護事業者がやるべきこと

今年から、全国的にインフレになっており、賃金相場も上昇しています。一方で、介護の報酬改定による報酬アップはあまり望めません。

介護事業者がやるべきことは、
①業務改善を行い、少ない人数でも無理なく運営できるようにする
②教育と労働環境の改善を行い、離職率を下げることで採用経費を下げる
この2つです。

私自身もサービス付き高齢者向け住宅の経営を行っており、皆さんと同じ課題に直面しています。私たちが協力し合い、この課題に立ち向かいましょう。



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