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随筆12


全身蕁麻疹に見舞われた。
社会人も7ヶ月をすぎ、もうすぐ師走になる。

友達の家で寝て、仕事に行った次の日全身が痒くて皮膚が燃えるみたいだった。
絶対ダニだ、最悪だ、と思っていたら掻いたところが綺麗にミミズ腫れになっており、絵が描けそうな雰囲気だった。
掻くと腫れて、どんどん広がって痒くなり、全身がキャンパスみたいになった。

赤くただれてぶくぶくとしてくるものだけが蕁麻疹だと思っていたため、
これが蕁麻疹だとはすぐに気がつかなかった。
自分の症状を調べていくうち、皮膚に寄生して卵を産みながら前進していくダニがいると知り、この長細い膨らみはダニの通った道なのではないかと身震いをしたくらいだった。

次の日皮膚科に行った。
蕁麻疹の原因ははっきりとはわからないらしい。
食物、外界からの刺激、ストレス、内臓疾患。
食べ物はいつも通りコンビニで変わりないし、乾燥で肌が痒くなったことすらない人間なので肝臓がやられているか、ストレスかの2択かな、と呑気に考えていた。

薬を飲むとミミズ腫れはなくなった。
ほんとうによかった。

仕事をする上で新入社員にはいろんな言葉が降ってくる。

今日は
「俺は俺が1番だと思っている」
と言われて泣いた。

生理前というのは本当にダメで、
自分の防御のコンディションがすこぶる悪い。
いつもはへっちゃらで笑い飛ばせるような言葉も、どうしようもないくらいわたしのやわらかいところめがけて容赦なく攻撃してくる。

「なんでそんなに自信がないの?」
「新卒の中で1番芯がない」
「何になりたいの?」

自信がなかったわけじゃない。
それなりに自分のことはすきだった。
わたしの、綺麗な二重。
長く成長中の愛しのまつ毛。
愛嬌がないと言われたら終わりだが、迎合しない強さもあるじゃないか。
運動はできないが映画や本を好きだと思える。
そこそこ酒も飲める。
仕事でもうまくできるなと思うことはきちんと見つけられている。
それじゃダメなのか。

あまりにも自分のことが好きで、自信があって貫き通す覚悟のある人に首を掴まれて、会議室でふたりきり。
なんかとっても嫌な感じがした。

放っておいてほしいなんて言いたいわけじゃないけれど、自由意志が許されない瞬間だった。
あの空間でははっきりと、自分に自信がないと“ダメ”と言われていた。

自分が最強、そう鼓舞することで自分を保っているひとの、その片鱗が見えただけだと思いたい。
自分がどんどんダメなやつだと思わされるような気がするから。

「自分に自信を持って明日死んでもいいと思って生きる」
それも正解なんだろうな。
ただ、そんなに火力を強くして生きていられない日だってあっていいよって、誰かに言って欲しい。
なるべく多くの人に届く大きな声で伝えてほしい。
その通りだよって1人でも多くの人に共感して欲しい。

蕁麻疹はストレスのせいにしたくないので
あたたかめの飲み物を飲んで寝ます。

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