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ブルーは熱い色と休む

 本作品は、ジュリー・マロというフランス出身の女性漫画家の作品だ。そして、本作品巻末に掲載されたインタビューによるとジュリー・マロはレズビアンであり、本作品も女性の同性愛と現代社会におけるその受容をテーマとしている。さらに、本作品は「アデル、ブルーは熱い色」という題名で2013年に映画化されている。

 本作品は、エマという女性とクレモンティーヌという女性の恋愛をテーマとしている。また、作品の描き方も冒頭の現在から過去を振り返る形で描かれている点で、映画的なストーリー展開で良い印象だ。

 さらに本作品は題名の「ブルー」が非常に効果的に使用されている。例えば以下のような使われ方だ。

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これは物語の導入の鍵となる日記だ。青い色の日記が印象的である。

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 上記の男性はクレモンティーヌの元彼だ。彼も青い色の服を身につけている。

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 上記のコマで青く描かれているのは、ストーリー展開的に避妊具であろうか。

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 上記はクレモンティーヌの夢なのだが、クレモンティーヌの体を触る手も青い。

これらのように、本作品ではクレモンティーヌの視線を通して一定の物が青色で描かれている。そして、本作品は、現在の部分はフルカラーで描かれ、過去の部分はセピア色のような白黒に近い色で描かれている。上記のコマたちは、日記のコマをのぞいていずれも過去の部分だが、青色が効果的に使われているように感じる。

 これはタイトルの通り、クレモンティーヌが熱い視線を注いでいるものが青色に着色されているのではないかなと感じた。つまり、視線は「熱い」反面、その色が赤色などの暖色系の色ではなく、「冷たい」色である寒色系の青色で塗られているところがとても興味深い。それは、自分の気持ちと社会の視線の差を表しているのかもしれない。

 現在の日本においては、様々な人の努力により同性愛に対する社会的な受容はある時代よりは進みつつあるように感じる。少なくとも、同性愛であることに対して社会の受容は少しずつであるが進みつつあるように感じる。そういう中で、本作品を見てみると色々考えるところがあるかもしれない。

 

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