心霊?不思議な話

祖父が亡くなったのは10年ほど前なのだが、これはその時に起こった出来事だ。

私の祖父は肺がんで病院に入院していた。「今夜が山です。」と医師から告げられた晩、私の祖母と母が病室にて付き添いをしていた。

個室の病室だったため、室内には祖父、祖母、母の三人しかいなかった。
深夜2時半頃、病室の前の廊下を誰かが歩く音が聞こえた。

コツ コツ コツ コツ …

祖母も母も時間が時間なので半分寝ていて、半分起きてる、そういう状態だったようだ。
そして病室の前を通り過ぎるかと思ったその瞬間、

足音は病室の前で止まった。
二人とも意識はあったが、眠気で立ち上がる気力もなく、誰が歩いてきたのか廊下に見に行くことはしなかった。

そうしている数秒後、また足音は鳴り始め通り過ぎていった。

コツ コツ コツ コツ …

そして三十分後、祖父は息を引き取った。

後に祖母が語った話だが、その晩聞いたコツコツコツという足音は祖父の母がいつも履いていた靴とよく似た音だったそうだ。
また生前、祖父は一人っ子でよくお母さんに心配されていたそうなので、曾祖母は祖父をお迎えに来てくれたのかもしれない。

祖母と母は、あの晩のことを今は笑い話のように話す。いったいあの時ドアを開けていたらどうなっていたんだろう?

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