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皆伝 現代文 読解11小説の構造

地の文、セリフに分けられます。

・地の文の要素


①時間と場所の説明

映画や演劇、マンガと同じで、「いつどこで誰が」ということを把握したうえで、「なにをなぜ」しているのかを理解しましょう。
「いつどこで誰が」が変化したときは、場面、シーンが変わっている可能性が高いです。基本的には段落が変わっていれば、場面、シーンも変わっています。

例)影が短い。(真昼ですね)
影がだいぶ伸びてきた。(春の午後3時ころかな)
長い影が薄くなってきた。(曇ってきたか、夕暮れですね)

時間や場所を表現している箇所には下線を引いたり、□で囲ったりして、観やすくしておきましょう。
なぜこんなことを説明しているのかというと出題されるからです。

例)
窓の外に目をやると影が短くなっている。美咲は出掛けることにした。
結城と二人で歩くのにも疲れて、屋根のあるバス停のベンチに腰掛ける。影がだいぶ伸びてきた。
2時間バスを乗り継いで前後駅まで行くと、空がどんよりと曇っていた。

問1 正しいものを選びなさい
1曇った冬の朝、美咲は出かけた
2真昼に、美咲と結城はベンチに腰掛けた
3美咲は夕方に前後駅に着いた

正解は3ですね。
1本文には美咲が出掛けた時間には「影が短くなっている」と書いてあります。曇った冬の朝に、影が短いことはありませんね。曇っていれば影が見えないし、冬の朝には太陽が低い位置にあるので影も短くありません。
2ベンチに腰掛けたのは午後ですね。冬なら2時、夏なら5時くらいかな。
3冬なら2の2時から2時間後で4時、夕方ですね。夏なら2の5時から2時間後なので、夏の7時は夕方と言えます。だから正解です。

問2 正しいものを選びなさい
1美咲と結城は前後駅からバスに乗った
2美咲と結城は前後駅のバス停でベンチに座った
3美咲と結城はバスで前後駅に向かった

正解は3ですね。

場所は明言していることも、していないこともあります。
例)ホテルの前庭にはハイビスカスの花が一面に咲いている
沖縄かなって思います。
ハイビスカスは沖縄に多いという常識も必要なので、新聞、ニュースなどの常識に触れておきましょう。

例)今年も葵祭の季節がやってきた。
もちろん京都ですね。

盆踊り、入道雲、蜩、源氏蛍など季節に関わる言葉は常識として、いつのことなのか知っておきましょうね。

②登場人物の外見
服装や表情、「疲れていそう」「機嫌が悪そう」「怪しい」などの雰囲気。
例)口をとがらせて歩いている。
機嫌はわるそうですね。

例)鍔の大きい帽子が風で飛ばないようにと押さえながら、遠くを見ている。
おしゃれしているのかな。日差しを避けるためなので、夏でしょうね。

③登場人物の思考、行動、暗示
・行動と状況の説明 
例)この二人は、昨日喧嘩別れをして口を利かないでいる
例)雨が降る広場に少年が立っている

・暗示
例)空がどんより曇っている。

暗示は、状況や未来の象徴として書いてあることが多いです。この例は不穏な感じなので、マイナスのことが起こると予想して読みましょう。

例)あと2分で合格発表だ。ふと窓の外を見ると、カラスがこちらをじーっと見ていた。
(不吉ですね。たぶん、不合格なんだろうなと思って読みましょう)
猛は、なんとなく嫌な感じがした。
受験番号を入力すると、不合格の文字が浮かんだ。
(ほらやっぱりね)
ああ、窓の外なんて見るんじゃなかった、と彼は思った。

・セリフ

 
基本的に「」で括られています。

地の文でもセリフでも、基本的にプラスのイメージのことか、マイナスのイメージのことかと考えて読みましょう。
本番ではないので、訓練段階では、一文ごとに⊕⊖と書いたり、プラスなら赤、マイナスなら青のラインを引いてもいいと思います。

①起承転結は場面/シーン、つまり時間と場所と登場人物が変わったところで区切れます。
場面設定も大事ですね。登場人物の心情、今後の展開を暗示しているからです。直接問われることもあるんです。別の記事で、改めて詳しく書きます。

本文の前の簡単な場面の説明文も大事。
いつ 「夏の終わり」なら、登場人物の心情は憂鬱。
「日が稜線に沈む頃」=死?
どこで 丘の上=安全? 階段を下ったところ=冥界・死 
街中=逆に孤独? 
だれが 視点に注意 三人称「彼」「山田は~」 一人称「私は」「俺は」
なにを 直接問われることもある
どのように 「急いで出かけた」=はやる気持ち
「ゆっくり」=気乗りしない
比喩「猫のように静かに」(隠喩)「どたどたと走る」(擬音語)
どうした 行動が心情の原因、結果として問われます。
     例「問 なぜ佐藤は田中の声に耳を澄ませていたのか?」
     答「田中の声を好きだったから」
     行動には、人間関係が表れます。そこを問われるんです。

いつ、どこで、誰が、何をして、何を思った/感じた ということを意識して、そこに線を引きながら読みましょう。入試までに時間がない場合は、設問の答がありそうな箇所(傍線部の周辺)だけに線を引く訓練をしましょう。

②構成を読み取りやすくするために

A事実(「彼は告白した」)
B心情(「彼は寂しく思った」)
C情景描写(ふきっさらしの場所)
D心情描写(最後の葉が落ちた≒断られた)

に分けます。
別の記事で、改めて詳しく書きます。

③心情(喜怒哀楽、疑問、共感、思案)
行動の変化/結果
その変化の理由/原因

を把握します。

・その文が次の文へどう影響しているかを把握します。⊕⊖、接続詞、時制でわかります。

「告白した。そして、付き合ってくれと言った」
そして/順接の接続詞~行為が続いているなと分かります。

・その行動が引き起こしたことを把握します。

「告白した」「しかし断られた
相手が断るという行動を引き起こしています。
影響がもっと後の文に書かれていることももちろんあります。

・子どものころは⊕広く感じ のに、おとなになったら⊖狭く感じ

受験生が下線を引く⊕⊖は、句読点ごとでも構わないし、単語レベルでも構いません。慣れたら、下線は引かなくていいと思います。

・時制:現在から過去/過去から現在 

「嫌いだったが今は好
「別れ。今は付き合っていない

このように、「変化」したところは、どう変化したか、理由や原因を問われるので、訓練しておきましょう。
③に関しても別の記事で、改めて詳しく書きます。

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