共通テストの現代文分析 小説篇

実は「文学2018」(講談社)に掲載されている短編のうち、
「桟橋」(牧田真有子)が2024年1月の共通テスト、
「サキの忘れ物」(津村記久子)が2021年1月の共通テストで出題されています。

2024年の共通テストは、牧田真有子「桟橋」(「文学2018」収録)
2023年の共通テストは、梅崎春生「飢えの季節」(「東京百年物語3」2018年収録)
2022年の共通テストは、黒井千次「庭の男」
2021年の共通テストは、
第一日程が加能作次郎「羽織と時計」
第二日程が津村記久子「サキの忘れ物」(「文学2018」収録)
2020年のセンター試験は、原民喜「翳」(「原子爆弾その前後」2020年8月刊行に収録)
2019年のセンター試験は、上林暁「花の精」

2019年から2024年の短編集に収録されている作品が出題されやすいということです。的中しても物語の流れがわかっているというだけなので、得点には影響しないと思います。ただ、小説を読みなれていない人は、共通テストや私大で出題される小説に慣れるために、どんなものをよめばいいかという目安にはなりますね。
女性作家の場合は、若手から中堅のいろいろな作家の短編を集めたアンソロジーから選ばれて、男性作家の場合は、壮年で、その人だけの傑作短編集から選ばれることが多いようです。
2025年の1月の共通テストで出題される可能性は低いかもしれませんが、
慣れたい人は以下を読んでおくといいでしょう。
「文学2019」の多和田葉子、村田沙耶香、本谷有希子、古谷田奈月、谷崎由依さんあたりかな。
「文学2020」の小林エリカ、西 加奈子さん、
「文学2021」の最果タヒ、井上荒野、朝吹真理子、松田青子、長島有里枝、高山羽根子さんあたりかな。
「文学2022」の高瀬隼子、(山尾悠子)、藤野可織、(江國香織)、温又柔、金原ひとみさん、
「文学2023」の桜木紫乃、井戸川射子、西加奈子、三国美千子さんあたりでしょうか。

男性の場合は戦前の生まれの人が多いので、出題されそうな人を生まれた順に書いておきますね。
1913 織田作之助 
1915小島信夫 
梅崎春生 出題されました
野間宏 戦後派
1918 堀田善衛 
1920 安岡章太郎 第三の新人 
1921庄野潤三 第三の新人「プールサイド小景1955」(芥川賞)
1923 遠藤周作 第三の新人 三島由紀夫 戦後派
1924安部公房 
吉行淳之介「驟雨」「砂の上の植物群」 第三の新人
*第三の新人は外から来る思想を信用しないで、感性と言語を武器に、狭いけれども確かな、自己の世界を開拓していったグループです。

1929色川武夫 1930開高健 
1930年代初めから半ばにかけて生まれた世代は、古井由吉、後藤明生、黒井千次(出題されました)など、自我と個人の状況にのみ真実を探らんとする、いわゆる「内向の世代」です。
1931常盤新平 
1934井上ひさし 
1935寺山修司
1939辻征夫 
戦後ですが1946中上 健次

このあたりを読んでおけば、共通テストの小説を読みにくいと感じないと思います。

参考になった人は下にある♡(スキ)を押してくださいね。


サポートして下さると長く続けられると思います。これからも学んでいく費用に使うので、サポートを御願いしますね。