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世界史の探求学習の手順

ここでは文献史学について書いていきます。
先生によると
「文献史学は、手紙、日記、議事録、演説内容などが記された文書/文献に基づいて歴史の研究をすること」
だそうです。
木簡、竹簡は含むけど、お墓などの石碑は含まないのかな。
口承のオーラルヒストリー、土を掘り返すイメージの考古学とも違いますね。こういう分野の学者、統計学や分子生物学、古生物学とも協力しながら歴史を研究しているとは聞きます。

探求学習は、基本的に自分の疑問、好奇心が出発点になります。
なぜなんだろう、目的は理由は? これってなんだろう、いつなんだろう、どうやって?誰が?どこで?
もっと知りたい

こういうことですね。
社会の役に立ちたいという思いはなくていいんです。そういう実学的な狭い目的意識があると視野が狭くなるし、深い研究も生まれにくくなります。

教員、講師から
「ローマかササン朝がなぜ滅んだかについて研究してみよう」
と言われても、「えー」という感じです。
けど、
「東西ローマ帝国の境というのは、その後も1600年近く、西欧と東欧の境、冷戦時代の東西の境のように地中海世界の境界とほぼ重なっている。21世紀のリビア内戦もそうなっている。これがなぜなのかまだ明らかになっていません」
と言われると、
「私が明らかにしちゃおうかな」と思ったりもします。
自分が出発点です。
結果として、地理的、文化グループの違いが継承されてきたということが分かったとすると、それが現在将来の社会に役立つこともあるかもしれません。
社会の出来事について、わからないことを列挙してみましょう。
家の近くに古墳かもしれない丘があるので気になっている。
なぜロシアはウクライナに侵攻したんだろう。
尖閣諸島の領有権に関してアメリカ合衆国は日本の領土と明言しないけど、米軍/GHQ占領下では、どの国の領有権と考えられていたんだろう。
日本と違ってドイツは周辺国から歴史面で批判されることが少ないっていうけど、何が違うのかな。
植民地化、慰安婦は史料の多そうな欧米にも存在する問題だけど、どうやって向き合っているのかな。
ひらがなだけではなくて、カタカナを発明したのはなぜなんだろう。
三権分立って言うけど、独立しているとは思えない。これでいいいのかな。
選挙で投票が義務化されている国はうまくいっているのかな。
一票の格差に対して、他の国はどうしているんだろう。
高校生でも高卒生でも大学生でも大学院生でも仕事をしている人でもしていない人でも、興味を持つことがあったら、調べてみればいいですよ。誰にも邪魔なんてさせないでくださいね。

その中で、歴史的に研究したらわかりそうなことはあるでしょうか。
もしあったら、なぜなんだろう、目的は理由は? これってなんだろう、いつなんだろう、どうやって?誰が?どこで?
を考えてみましょう。

そのあとは、文献史学なので、まず書籍を探します
教科書の後ろの方に載っている参考文献一覧でもいいし、この皆伝の記事で「探求学習や、さらに世界史を深掘りしたい人のための本の一覧」
https://note.com/kaiden_juken/n/n66493e7e95a1
を観るのもいいと思います。自分の疑問に思うことが時空間的に狭いものなら、少し広い範囲から調べて、基礎的な知識を持っておくといいと思います。
例えば、ヴァンデ―の農民反乱なら、フランス史、それからフランス革命全般について調べておくということです。手持ちのリストにこういう本がない場合は、Amazon.comで「本  フランス史」などと検索します。
たくさん出てくるかな。

ここから絞る方法は、
①10年以内に発行された本を選ぶ
新しい本は最新研究が活かされているということです。
②歴史家の書いた本を選ぶ
時折ジャーナリスト、文学研究者などの書いた本もあるので、歴史家/歴史研究者の書いた本を選びましょう。著者紹介に書いてあると思います。
他にも何冊か書いている著者なら、その分野の専門家を選びます。
例えば「アメリカ革命史」「フランス革命史」「幕末明治革命史」を書いている人や、「フランス革命の歴史」「マリーアントワネットの生涯」「ブルボン家とハプスブルク家」を書いている人よりも、「フランス革命」「ヴァレンヌ事件」「国民公会」を書いている人の方がフランス革命の専門家と言えると思います。
出版社やシリーズで言うと、中公新書、岩波書店、藤原書店、みすず書房、ミネルヴァ書房などは一流の歴史家が書いていることが多いです。

先行研究
先に研究してくれている人の成果を踏まえましょう。
全てを精読しなくてもいいので、関連する書籍の関連部分には目を通しておきましょう。もちろんAmazonで調べた場合でも、実際には図書館で本を借りればいいと思います。
ウィキペディアを書いているのは歴史家ではない人がほとんどなので、参考文献を除くと参考にしない方がいいと思います。
日本語に翻訳されていない文書、文章はGoogle翻訳などを使って読みましょう。
信用できる歴史家、著書が見つかったら、そこに記されている参考文献を調べていきます。さらにその参考文献から別の参考文献にいきます。
その本がどこの図書館にあるかは、「カーリル」で調べましょう。
日本全土の図書館の蔵書を検索できるサーヴィスです。
大学の図書館が近くにある、読みたい、借りたい場合は、例えば
OPAC 京都大学」と検索して、検索した先で京都大学の蔵書を調べられると思います。借りられるかどうかは大学次第です。
論文を調べることもできます。市販されている学術雑誌や、研究所や大学の紀要(史学科などが出している学術雑誌)「史学雑誌」などに、調べているテーマの論文があるかどうかもわかります。
CiNiiは論文を調べられるサイトです。
このサイトの上の方に「論文をさがす」とあると思います。ここに「フランス革命」「ヴァンデ―」と入れて検索すると、該当する論文が出てくると思います。論文名をクリックすると、著者名、どの雑誌に掲載されているかもわかります。このサイトに「CiNii Articles - 電子版の論文をよむ」のアイコンが表示されていれば、サイト上で読むことができます。

「たぶんこうだろうな」という仮説を持っていても、その仮説に都合のいい資料だけを集めないようにしましょう。反論している研究も調べましょう。仮説が間違っているとわかったら、自分が成長できたということです。
仮説通りなんて、自分の推理力が優れていたことの証明になるだけで、面白くないという人もいるでしょう。

先行研究を調べているうちに元の疑問は解明されていたことがわかったら、調べている過程で出てきた新しい疑問に取り掛かりましょう。
学校の課題の場合は、
「こういう疑問を持って、こういう風に調べたら、こういうことが先行研究でわかっていた、いまだに学会でわかっていないことはこういうことです」
と発表をすればいいと思います。

先行研究を調べ終えたら、なるべく一次史料(当時の当地の人が書いた資料)を使いましょう。できない場合は、翻訳されたものや、写本を使いましょう。写本は書き写し間違いもありますけどね。
最終的に、誰もが納得できる根拠を示して、新しい自説を持てるようになればいいと思います。
途中で人に見てもらって、批判してもらいましょう。非難ではありませんよ。不足点を注意してもらうことです。

学校で学習しているなら口頭かレポートで発表するし、趣味でしている人ならメモか、論文にして寄稿したりなど、成果を目に見える形に残すと、やり切った感じがあると思います。

探求学習を愉しみましょう。

サポートして下さると長く続けられると思います。これからも学んでいく費用に使うので、サポートを御願いしますね。