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第1話 怪談『親子』(バス・お題「雨」)

https://www.youtube.com/watch?v=f_n32iKhL2Y

これは親戚の叔父が体験した話しになります。

叔父の町には毎年夏の3週目に大きな祭りがあります。

その町全体で丸1日かけて、神輿を担いで笛や太鼓を叩き歩き、夜の20時くらいに大きな滝が近くにある神社に到着し、神社の中で五穀豊穣を願うと言う祭りです。 

神社の周りには20から30もの神輿がその時間には集まってきます。

神社の周りに集まった神輿を見るだけでも壮大な感じですね。


そして、もう1つ壮大なのが、その近くにある滝です。

これは滝つぼまで20メートルあり、幅100にまで広がる非常に大きな滝です。 

滝の上は穏やかで田舎の良さですね、水も非常に綺麗なため、淵から10mくらいまでは入れないように、紐がありますが、紐の手前では川が浅く水遊びが出来るという場所です。


その年、叔父は自治会の役員だった為、祭り当日、神社付近にて指示をだしたり、事故がないかなどの確認などを行ってました。夕方くらいに落ち着き、滝近くにて休憩をしていました。

普段は夕方くらいですと、まだ水遊びをしている子もいるのですが、祭り当日は子供も一緒に神輿と一緒に歩く為、人がいない状態でした。


ふと滝の中でバシャバシャとなってるように見えたんですね。

よく見ると、入っては行けない紐の向こう側に誰かが入っていると、そんなに深くない所なんですが、足でもつったりしてたら、溺れる事があります。

もし滝つぼに落ちれば20mの高さから落ちることになります。大きな事故になる危険が非常に高いです。


誰かが溺れている!これはダメだと思った叔父は走って川の中に入りその溺れてる場所までいきました。

やはり子供が溺れていたんですね、「大丈夫か!」といいながらその子を抱きかかえ、戻ろうと振り返ると浴衣をきた、女の人が立っていたそうです。

いきなり人が現れ危うくその子を抱えたまま転びそうになったらしいです。
その女の人はいつからいたのか気づかなかったんですが両手を前に差し出してこちらを見ていたらしいです。 

差し出されてた手から子供の母親かなと

慌てはしたものの冷静になりもしかしたらこの子の母親かなと思い声を掛けたら小さく頷いた為、川から出た後母親に引渡しました。

本当に大きな事故にならなくて良かったと安堵したんですね。 

そして、大事に至らなかった為祭りが忙しく忘れてたんですね。

夜に祭りが無事終わり社務所にて打ち上げで飲んでいた時、外の風に、当たろうと歩いてる時でした、ふとその神社に飾ってある掛け軸に目がいったんですね、

そこには親子が滝近くにいる絵があり、見た時誰かに似てるなと、 

あっ!これは昼間助けた親子に似てると

あの時は冷静でなかったのですが、なぜ真後ろに母親がいたのか、そして差し出されてた手は 

差し出されてたのか?


押そうとしてたんでは滝に落とすつもりで、と思った時に怖くなってすぐ皆がいる所に戻ったそうです。


この祭り五穀豊穣を祝うのはそうなのですが、

この地域は大きな滝のおかげで水には困らなかったのですが、大雨が降るとたびたび川は、洪水になり、町ごと大きな被害にあうと、困り果てて堰を作る時に人柱を決める時にその親子が選ばれたと、二人の霊を慰める為に毎年祭りを行うことにしたと。

その掛け軸に描かれていたのはその親子でした。


似てるだけで、決してその親子が溺れている時に遭遇した人とはいいきれないらしいですが、

そして叔父がその時にあった親子は町の誰に聞いても知らないということでした。

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