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#001「好き」の処理を知らない

愛や恋を歌った歌が、この世には溢れるほどある。
小説や映画も無数にある。

人にとって、「愛」や「恋」というのは、とても大切なエピソードなのだということは、頭が知っていた。

人を好きになるということは、まあまあ特別な感情。

人と人が関わり合う時、少なからず「好意」は交換するものだけど、自分の中で他の人に向けるものとは違う「ちょっと強めの好意」を抱く機会って、そう多くはない。

だからこそ、ちょっと強めの好意を抱く相手は恋人になったり、パートナーと呼ぶ相手になったりする。

その道筋は、わかる。知ってる。
好きな人がいて、好きな人に好きな気持ちを伝えて、それが実ると相手も自分のことを好きになってくれたりする。お互いの気持ちを伝え合うことが、当たり前になっていく。そういう関係性に進んでいく。

「好き」という特別な感情が芽生えた瞬間から、その道をゆっくりと、あるいは急速に進んでいくことになるのが恋というものなのかな。

恐るべきは、想いが実らない道である可能性

思いを伝えたところで実らずに摘むしかないこともある。

でも、その結果がわかるのは「相手に伝える」という行動に至ったときだけで、結局のところ「好き」という感情が芽生えてしまったら、進む道は1本道なのだろうか。

できれば、それ以外の道を見出したいと思っているのだけど。。。

若さとは勢いであったという実感

恋愛のシーンで躊躇するという経験があまりない。

初めて出会ったその瞬間に「アリ」か「ナシ」の二択になって、「アリ」ならば距離を詰めていく。その過程で、相手も距離を詰めてきてくれないならば、その時点で「ナシ」になって、「好き」という気持ちがそれ以上成長することはない。

一方で、「アリ」で相手も距離を詰めてきた場合は、一気に実らせる。

出会ってから1ヶ月しないうちに何かしらの答えを出すようなスピード恋愛が当たり前の人生だった。

ところが、年をとったせいなのか、価値観が変わったのか、もう、全然そういう気持ちにならない。

出会った瞬間に「アリ」でも「ナシ」でもないという選択肢が出てくるようになったことで、もう恋はできないのかもしれないと思った。

だって、出会った瞬間に好きかどうかが決まる恋愛しかしてこなかったから。

ところが、どこにもなかったはずの火種が急に燃えて、ずっと手に持っていた木の棒から恋の炎が吹き出したもんだから、困惑している。

急に表に出てきた「好意」のやり場に困っている。

だって、今更、距離を詰めるも何もない。
だって、もうすでに友達だもん。

友達から始まる恋愛はないと思ってたけど
どうやら、それもアリだ

ところが、友達から始まる恋愛の処理はどこで学ぶことができるんだろう。

好きの先にあるもの

好きという気持ちの先にあるものは、もっと知りたいという欲求であり、もっと触れたいという欲求であり、それらを満たして幸せを感じることなんだと思う。

だから、「好き」になるってことは、「幸せになる」って場所に繋がってるんじゃないかな。


でも、なんか違う。
そういう感じじゃなくて、もっと言葉にならない何かが胸に詰まってる。

自分の中で「どうやら好きなんだよな」ということを認識するたびに、グッと胸が緊張して、同時に緩むような感じがして。

なぜか、ボンヤリしてしまう。
そのあと、どうしたらいいのか何も浮かんでこない。

昔だったら、欲しいものを獲得するために突き進んで、手応えがなければやめる。それでよかったのに。

もっと知りたいなぁと思って、情報に触れにいくと、モヤモヤしたものが胸に広がって不快だし、イライラしてしまうから、見たくなくてできるだけ視界に入れないようにしてしまう。

知りたいと思うけど、知ってしまうと、自分以外に向けられている興味関心を羨ましく思って、どうすることもできない無力感でしんどさが増す。

人を好きになるのは、幸せになるためじゃなかったのか。
苦しくなるくらいなら、今すぐやめたい。

でも、人を好きになれないかもしれないと思ったときの絶望も同じくらいしんどかったことを思うと、「好き」で苦しいのはまだマシなのかも。

少なくとも、その人を思い出して「好きだなぁ」と思うときの、ホワと緩む暖かさを味わうことができるから。

もう恋なんてしない、と言いたい気持ちはわかる

恋をした人にしかわからない感情だ。

人を好きになると、胸の中に、幸せな気持ちと一緒に虚しさとか苦しさも同居する。

この感覚を「甘酸っぱい」と言えるのは若いときだけで、年を重ねてしまえば、甘酸っぱさの先にある「渋み」を知っているから、甘酸っぱさだけを楽しんでいられないんだね。

そう思うと、年を重ねたら重ねたからこそ味わえる、「甘酸っぱさと味わい深い渋み」が恋愛にはあるのかも。

美味しい、楽しいと思えるほど、心に余裕はないのだけれど。
好きな人がいるときにしか味わえないものだから、大切に味わいたいし、いつかの自分のために、そして同じように甘酸っぱくて渋い恋愛に胸が締め付けられている人のために、事細かに残しておきたい。

とりあえず、恋してると仕事がままならない!!!

誰か、処理の仕方を教えてください。

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