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体が動かない人がぼくより100倍生きていた話

死んだように生きているときがある。

何もせず、ダラダラと、エンタメ系のYouTube動画を見て夜が終わる。

どうして明日も同じように過ごせると思ってしまうのだろう。

死という言葉の意味を何度も味わってきたはずなのに。




「今日できたことが明日できなくなっているかもしれない」

そう語るのは、ALS患者の武藤将胤(むとうまさたね)さん。

彼は体の自由がどんどん効かなくなっていく中、“今”を精一杯生きている。



ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、身体がだんだんと動かせなくなっていく病気だ。

脳から神経への指令が伝わりづらくなり、全身の筋肉が徐々に衰えていく。

やがては体を動かせなくなり、意識はハッキリとしたまま、寝たきり状態になる。

治療法はいまだ確立されていない。



武藤さんは現在、車椅子生活。

手足が不自由なことはおろか、声も出せない状態の中、

アパレル会社を運営したり、DJとしてステージに立ったり、映像や音楽を制作したりと、

精力的に活動されている。





そんな人がいるのか

と、武藤さんのお話を初めて聞いたときは耳を疑った。

障害を持った方はえてして、健常者のように活発な生活はできないと思っていた。

真実だとしたら、健常者のぼくはすっかり顔負けだ。

そう思って観に行った「NO LIMIT, YOUR LIFE ノー リミット,ユア ライフ」という映画には、

先に聞いた武藤さんの生き様がしっかりと記録されていた。






「NO LIMIT, YOUR LIFE ノー リミット,ユア ライフ」は、ALS患者の武藤将胤さんと、武藤さんを支える妻、木綿子(ゆうこ)さんのドキュメンタリー映画だ。

本映画では、ALS患者さんの苦悩や、患者さんを支える人の苦悩、患者さんを支える科学技術を覗くことができる。

ぼくが本映画から感じたのは、武藤さんの想いの強さだった。

映画の中の武藤さんは、日々体の自由が奪われていく中、ALS患者さんのために尽力していた。





武藤さんは、ご自身がALSと診断されてから「WITH ALS」という一般社団法人を立ち上げた。

WITH ALSは、

ALSの課題解決を起点に、全ての人が自分らしく挑戦できるボーダレスな社会を創造することをミッションとして活動する団体だ。

武藤さんはこのWITH ALSのプロジェクトを、理念に掲げた想いのもと、ものすごい熱量と速度で進めていく。

着脱しやすくオシャレに着れる洋服の開発、高額電動車椅子のシェアリングサービスの実施、ALSを啓発する音楽や映像の制作、脳波を読み取って意思を伝達できる装置の開発、

しかしながら、活動が進むごとに、武藤さんの身体もどんどん動かなくなっていく。

武藤さんの震える手が、おぼつかない足が、振り絞るように出す声が、穴の空いた喉が、

武藤さんの活動によって救われた、他のALS患者さんの笑顔と涙が、

ぼくに、一分一秒がいかに大切であるかを語ってくれた。








ぼくはなぜ、今日と同じ明日が来ることを疑わない。

ぼくだって明日、ALSの症状が現れる可能性は大いにある。

それに、死に向かって生きていることは、他の誰とも違わない。

ぼくと同じ1分、同じ1秒を積み重ねた武藤さんは、たくさんの人の心を動かしている。


身体を自由に動かせるぼくはどうだろうか。

同じ一分、同じ一秒、

もっと大切にできるのではないだろうか。





体の自由が効くぼくが、懸命に生きなくてどうするのだ。









映画を見終わって数日が経つ。

身体が動くことに感謝する毎日だ。



目的地に向かって歩けること。

料理を味わって食べれること。

絵を描けること。歌を歌えること。

大切な人と、言葉を交わし過ごせること。


改めて、しみじみと、肉体のありがたみを実感している。





ぼくはもっともっと、物語を描いていきたい。

もっともっと、自分の想いを表現していきたい。

一分一秒老いていく体で、できることは全てやる。


「NO LIMIT, YOUR LIFE ノー リミット,ユア ライフ」

作中に映る武藤さんの生き様が、ぼくの魂に反応している。



死んだように生きている場合じゃない。

動かせる身体を持て余している場合じゃない。

こうしてる間にも死は近づいている。

いつやってくるかはわからない。


一分一秒を大切に、

ありがたみを感じながら生きていく。




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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

今週は、先週観た映画「NO LIMIT, YOUR LIFE ノー リミット,ユア ライフ」を宣伝したく書きました。

この映画を観て、障害持ちの方も健常者も、一切違わないと感じました。

本当に、氣持ち次第だなと。

健常者の方にも強く刺さる映画だと思います。

むしろ、我々健常者の方が背中を押される映画かと。


7月27日(木)まで、銀座にある丸の内TOEIで上映してます。
ご都合よかったらぜひ、足を運んでみてください。




#ALS
#ノーリミットユアライフ
#一生懸命
#今を大切に

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