死物語を読んだ。上を読んだ。

そろそろ物語シリーズの新刊出てるかしら、と調べたら出てたから電子で読んだ。

小説の中もコロナ禍だった。あらあらこれは賛否両論、と、私はどちらかというと否の方から思った。現実逃避の先に現実を見せつけられた気分になるから。私の読書は、私の関係ないところで実在しない誰かが頑張ったり夢破れたり卑猥なことをしたりもんどりうったりするのを眺めるための、きわめて無責任な時間なのだ。それなのにあぁ西尾ったら。アクリル板だの手洗いうがいだの見飽きた言葉をわんさか並べてしまって。なんだか僕は啓蒙書を読まされている気分だよ。ドラえもんの単行本が読みたかったのに母親に「ドラえもんの算数なんちゃら~」を買い与えられた子供の気分だよしかも自腹だよ救われないよ満たされないよ鳩尾(みぞおち)に大きな三角定規を押し当てられたような痛みがあるよ。とはいえ自腹なので読み進め、読み終えた。全体的に真面目ないい話だったと思う。コロナやらなんやら困難は多いけど、きっと越えてゆける。僕たちはこの世界で明るく強く、生きてゆくんだ。そんな意気込みが感じられる終わりかただった。私はその世界の住人ではないけれど。その世界から素っ頓狂なキャラクターを軒並み消し去って、コロナだけはしっかり残した方の世界で私は生きてゆくのだけど明日も。えーズルい。と思った。 「ニンギョウがニンギョウ」と「少女不十分」だけでいいから印税の振込口座の名義を私の名前にしてくれないかなーと思った。

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