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チキンカレー@Hokkaido

太ももが伸びる。とん、と肩を押されて、正座していた私は、足を正座の形にしたまま、後ろに倒れた。筋肉のびすぎ。かなりきついストレッチみたい。

大きな手が髪を撫でてくる。いつものにおい。そのまま頰に触れられる。冷たくてしっとりしてる。そう、ちょっと爬虫類みたいな感じ。ゆるいくせ毛の前髪が近づいてくる。

ただ近くにいて、とりとめもない話をして。それだけだ。それなのに、すごくドキドキしている。わるいことをしているみたい。ここの空気は秘密で重くなっていて、自然と声をひそめてしまう。
そろそろ脚が限界だ。折りこまれて潰れていた脚をのばせば、解放された血管を勢いよく血液が流れていくのがわかる。痺れとともに。しばらくして、そのチクチクとドクドクが、心臓にまでまわってきた。

ここは秘密に守られている。そばにいてくれる人がいる。でもここに来るには作戦と協力者が必要だ。

今日は、カレーパーティーがひらかれる。仲間の一人が、料理上手でどんな美味しいものを作ったか、私たちに話してくれるから。骨つきのチキンを入れたらほろほろになって美味しいよ。食べたいなぁ、今度みんなで食べようよ。そう言えば優しいその子は、休みの日にみんなの分を作ってくれると申し出てくれたのだ。

約束の時間まで3時間もある。この時間のために、私はここにいる。
そうして何食わぬ顔で、車に乗り、仲間たちを迎えにいくのだ。たったいま来ましたよ、という顔で。ずうっと前から、2人だったのに。

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