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【シャニマス】幽谷霧子 -廻廻娩淘- 狂気を纏った優しさの物語

こんにちは。カイリキー王と言います。
「翼くん」同様、霧子に人生を狂わされた者の一人です。
そもそも霧子ってどんな人物?という人は以下のコミュも読んでもらえると嬉しいです。


さて皆さんは今回のシチュエーションドラマのコミュは読まれたでしょうか。
私を含めイチャイチャラブコメを求めていた全国の「翼くん」は、怒涛の展開に驚かされたことでしょう。

【廻・廻・娩・淘】はシチュエーションドラマとして体裁を保ちつつ、霧子テイストに物語を展開しているという、
まさに投票一位の霧子らしさ溢れた「ドラマ」となっています。

今回はこちらのコミュについて私なりの解釈を解説していくので良かったら皆さんのコミュを読み解く参考にしてください

☆重大なネタバレを多く含みます。ご注意ください。


はじめに

最初にお伝えしたいのは、霧子のコミュではよく「比喩」で話が展開されます。
しかも、ほとんどは「暗喩」で表現されるので一度読んだだけでは理解できないことも多いです。
なので、読めば読むほど理解が深まり深みに嵌っていくという特徴があります。

まずカード名に注目してみましょう。
【廻・廻・娩・淘】
…めぐる。二つ重ねて、恐らく廻り廻るという意味です。
産む。「娩痛」「分娩」などで使われます。
よりわける。「淘汰」などで使われます。

恐らく、娩(べん)淘(とう)『弁当』と掛けているのでしょう。
ダブルミーニングってやつですね。
今回のコミュではこの『弁当』が話のメインとなっていきます。

【廻・廻・娩・淘】をわかりやすく言い換えるならば、
「廻り廻る弁当」でしょうか。
どういう意味でしょうかね。(と考察するのも霧子の楽しみ方です)

【廻・廻・娩・淘】のコミュは一話目と二話目の二つに分かれており、
二つの話は繋がっていますがテイストが大きく違っています。
それではそれぞれのコミュを見ていきましょう。


一話

主人公は「翼」という高校生の男の子。
自由奔放な幼馴染「霧子」、クールな先輩「ルカ」、優しい妹の「冬優子」の三人に弁当を食べてほしいと迫られ、弁当から逃げるという内容となっています。

霧子・ルカ・冬優子に迫られる翼

ちなみに霧子と冬優子の弁当は手作りです。なんて贅沢な…。
一見よくあるドタバタギャルゲーのような展開ですが、よく見ていくと若干の異常さも見えてきます。
文章と音声が一致しないセリフや、弁当から逃げるために屋上から飛び降りようとする主人公など。
この日常が徐々に崩れていく感じは、
「さよならをおしえて」「ドキドキ文芸部」のようなひと昔前のノベルゲーのようなテイストですね。

とはいえ、シチュエーションドラマで求められていた役割自体はこの一話目であらかた楽しむことができる作りとなっています。
一話目ではなぜここまで弁当から逃げているのかは語られません

また、ここで「自由奔放」の意味を確認しておくと面白いです。
屈託がなく元気な、といった意味で想像する人も多そうですがそういった意味合いは一切ないです
正しい意味は以下の通りです。

世間のきまりやしきたりにとらわれないで、自分の心のままに行動すること。 常軌に従わないで思いのままにふるまう様子。

二話目

ここからがこのカードコミュの本題となります。
翼が霧子たちの弁当から逃げる理由が語られます。

なんで逃げるの?


普通の人間にならなきゃ

逃げる理由を霧子に聞かれ、
「俺の体おかしいんだ。みんなからもらえるものしかどんどん受け付けなくなってて…。普通の人間にならなきゃ…このままじゃ俺はダメになる」
と答える翼。
それを受けて霧子は
「大丈夫だよ。みんな翼くんのことが大好きだから」と返します。

どうやら翼の体は霧子たちの弁当が原因で他の食べ物では満足できなくなっているようですね
「受け付けなくなってて」とあることから一般的な好き嫌いの意味ではなくもっと深刻そうに見えます。
その明らかな異常事態に対して霧子の「(そのままで)大丈夫だよ」という返事は若干の狂気をも孕んでいるように見えます。
そして会話は以下のように続いていきます。

食べたいなら食べちゃいけないなんてない

勢いで流れていきそうですが、
「でも、俺は何もお返しできないしてもらってばかりで…」と翼くんが返していることに注目してください。
ここでさっきとは全く別の「お返しができない」ことも理由だということがわかります。
ここで違和感を持つのが、霧子たちの弁当以外の食べ物を受け付けなくなっていくという大問題は許容してそうな点です。
普通に考えたらやばい状態なのに。

ここで勘の良い人は気づくかもしれませんが、「弁当」は何かの比喩となっています。
皆さんはこの「弁当」を何の比喩だと読み解きますか?

霧子・ルカ・冬優子の三人は特に見返りを求めるでもなく、
食べたいものを食べてほしいと促し、翼は食べることを決心します。

ここまでを整理しましょう。翼が弁当から逃げていた理由は二つ
①霧子たちの弁当以外を体が受け付けなくなっていっているため。
②もらうばかりでお返しできないため。

ここで霧子・ルカ・冬優子の三人それぞれの弁当の内容が語られます。

霧子の弁当
ルカの弁当
冬優子の弁当

これらの弁当の翼の感想は、まさにそれぞれの人物のコミュを表しています。
噛めば噛むほど不思議な味がする霧子のコミュ。
塩辛いけど癖になるルカのコミュ。
甘かったり辛かったり、濃い味付けの多い冬優子のコミュ。

どれも、ウマい。

つまり、ここまでの話を一文で意訳するならば、
「シャニマスのコミュでしか満足できない体になるかもだけど、楽しんでね」
というメッセージとなります。

ここで終わっても、かなりの自信と傲慢さを感じるような内容でそれはそれでほほえましいですが、
しかし、これはシャニマス。
当然そういう意味ではないでしょう
このコミュには続きがあります。

ここからは作中で詳しく語られていないのでより難解になっていきます。
恐らくここまでの内容は多くの人で解釈も一致すると思いますが、
ここから先はかなり解釈が分かれるでしょう。
あくまで私の解釈を紹介していきます。

コミュは次のように続きます。

前もこうやって…

霧子たちの弁当を食べたことで、翼のお腹が風船みたいに膨れ始めます。
あまりに急な展開に皆さんも驚いたことでしょう。私もです。

そして画面は暗転し、明けると…。


いつもの霧子

いつものシャニマスの世界に移ります。
いつもの景色、いつもの霧子。
そして、霧子が事務所の屋上で猫の「翼」に何気なく話しかけて物語は終わります。


考察

これはどんな意味なのか…。
作中で語られていない以上考察していくしかありません。

まず学生の「翼」のお腹が風船のように膨らんだのにはどんな意味があったのかを考えてみましょう。
あくまで予想ですが、話のテーマから考えていくと、
恐らくこれは「娩」を表していると考えられます。
つまり、お腹の膨らみは何かを「産む」メタファーということです。

再掲

ここで注目したいのが
「そうだった。前にもこうやって風船みたいに…。だから俺は。」
というセリフです。
「前にも」とあるので、この何か食べて産むという流れは今回だけではなく、過去から繰り返されていることが示唆されています。

では「翼」が産み出しているものとは何か
結論をお伝えするとそれは「新しい物語」ではないでしょうか。
つまり、霧子たちの弁当を食べた結果、新しい物語が産まれたということになります。

しかし、そうだとすると、
霧子たちの弁当=霧子・ルカ・冬優子のコミュ
産まれたもの=シャニマス

となりそのまま受け取ると矛盾します。

そこでこう考えるとどうでしょうか。
霧子たちの弁当はあくまで「物語」の例えであり、
きっとシャニくんのライター達も色んな物語を読んできたのでしょう。
それらを栄養とし、今、新しい物語(シャニマス)を産んでいる…。

もしかしたら今度はシャニマスを読んだ新たな「翼くん」がいつか新しい物語を産むのかもしれません。

そうやって弁当(物語)は廻り廻っていく…。

学園物語だけでなく、物語の最後までを含めてが、
壮大なメッセージが込められたロマン溢れる「ドラマ」なのではないでしょうか。


おまけ

サブタイトル

【廻・廻・娩・淘】サブタイトルを見てみましょう。
〇の位置にある漢字に注目してみます。
一話目は●●〇●で「娩」
二話目は〇〇〇●で「廻・廻・娩」
どういう意味かは明言されていないので各々で解釈してみてください。
「娩」「産む」という意味を持ちます。

個人的には一話目、二話目ともに4文字目が●なのも面白い点です。
もしもこのギミックで両方●にするなら、「淘」を使わずにどちらかで○になる別の漢字にしたほうがいいのでは?と思いますしね。

これももはや妄想の域ですが、意味があると考えるとロマンチックかもしれません。
「淘」は「よりわける」。という意味。
●を否定の意味で捉えると「よりわけない」ということでしょうか。
これは幼馴染の霧子が言っていたことと一致し、
偶然にも、黒と白を、甘い思い出と苦い思い出を、良と悪をよりわけないという、シャニマスがたびたび訴えてるメッセージでもあります。

よりわけない

どんなアブノーマルな趣向を持っていても大丈夫だよ。
と霧子が優しく言ってくれてるような気もします。

「わかってるよ、君のこと隣で見てきたんだもん。何年もずっと。」
アルバムのシチュエーションドラマ②より


ちなみに同時期に実装されたトワコレ八宮めぐる【ふたり色 クレオール】ではまさに「翼くん」に該当する残酷で暗い話によって救われた「演出家」が出てきます。

八宮めぐる【ふたり色 クレオール】

ただし【ふたり色 クレオール】では「その先」をメインテーマとしていて、ふたつの色が混ざることで新しい物語ができることも表現しています。
非常に良い話なので是非こちらも合わせてお読みください。

終わりに

以上が長くなりましたが、私の考察となります。
あくまで私から見た解釈なので、これが正解だと押し付けるつもりは一切ありません。
皆さんが見て感じた物語が全て
なのですから。

ただ、もしもコミュの魅力を気づく一助になれたならば、更にはこの考察がきっかけで霧子に少しでも興味を持ってくれたら大変うれしく思います。

霧子の魅力を詳しく解説した記事もあるので興味を持ってくれたら、是非読んでほしく思います。

長文をお読みいただきありがとうございました。

「スキ」もらえたら嬉しいです!
霧子を多くの人に知ってもらえるかもしれないので!
是非よろしくお願いいたします!

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