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【シャニマス】幽谷霧子とは何か。-縷縷屡来-(トワコレ霧子)を通して考察

こんにちは。カイリキー王と言います。
ストレイ実装からシャニマスにはまり続けています。
今回、トワコレによって霧子に興味を持ってくださった人も多いと思いますが、霧子は非常に理解するのに苦労する人物だとも思います。
ただ霧子のことが理解ると、とんでもない文学を体験できると共に、霧子に魅了されることでしょう。
一人でも多く霧子の世界を見ようとしてくれる人が増えることを期待して考察させていただきます。
以下の2つに分けて考察の方をしていきます。
・霧子とは
・Pssr【縷縷屡来】通称トワコレ霧子の考察

☆重大なネタバレを多く含みます。ご注意ください。

・霧子とは

トワコレを考察するにあたって霧子のことを知る必要があります。なぜなら霧子のコミュは一つ一つのコミュが独立しているわけでなく、色んなコミュが絡み合って理解できるようになっているためです。
私の主観ですが、霧子を考察する上で下の5つが重要な点だと思います。
①孤独
②霧子の世界と現実の世界
③想像
④着想
⑤Pとの関係


①孤独

まず霧子は父母が病院勤めで、家に親がいる時間が極端に短いです。家では一人でいることが多く、明言はされていませんが植物や太陽や月と会話をするのは、初めは孤独を紛らわすためだったのでしょう(今は個性になっています)。

GRADでは学校の先生から医学部に進学するために模試を受けてみないかと言われ悩むのですが、Pに相談できずユキノシタや太陽に相談してます。

WINGの「みえない献身」で人への心遣いをPに褒められると、あんまりそんなふうに言ってもらったことなくて、とすごく喜びます。
褒められたら嬉しい、普通の女の子なんですね。
ただこれまで褒められてこなかったのも伺えます。

ただいま おかえり はイベントコミュの十五夜でもキーフレーズでしたね

同じくWINGの「マイステージ」では普段関わってきた病院の方々がライブに来てくれ、自分の気持ちが伝わっていたと感じられて、「アイドルって誰かの心につながったりするものなんですね」と感動しています。
これは後にLPのメインテーマにもなります。

そのままの自分を理解してもらいたいと思い始めます

また霧子はWINGの「あの日」にてアイドルを目指した理由を「自分を変えたくて始めた」と口にします。
「包帯のことやめるように言わなかったり、怖がらずに接してくださったり、最初はそれが嬉しくて…」というセリフからもわかる通り周りの人にそのままの霧子は受け入れられてきませんでした。

そのままの自分ではいけないと、自己肯定感が非常に低くなっていたわけですね。

霧子がどういう気持ちで口にしてるか想像できますか

WINGはPが霧子を見ることを通して「普段の霧子の心遣いとか心配」の全てを肯定し、霧子が自身の良いところも悪いところも全部肯定していく話でした。
つまり霧子は家でも一人の時間が長く、外ではそのままの霧子を理解してもらえない、「孤独」を抱えていたのです。
このように、今の霧子ができる出発点には「孤独」が大きく関係してます。

最近の霧子のコミュでは普段は解決したかのように姿を隠していますが、ところどころに「孤独」が姿を現します

Pにも相談できずお日さまに相談する霧子

②霧子の世界と現実の世界

今の「霧子らしさ」を知る上で最も重要な点は「霧子の見ている世界」が「現実の世界」と共存しているということです。

霧子LPはAIの「霧ちゃん」に霧子らしさを教えるという話です。その中で霧子は霧ちゃんに「りんご」とは何かを教えます。
配信にてリスナーのみんなにりんごを霧ちゃんに教えてほしいと頼むと、「くだもの」「甘い」「ちょっと酸っぱい」「おいしい」「赤い」「ジュースになる」。それぞれのリスナーから見た「りんご」を霧ちゃんは知ります。
霧子は「みんなが教えてくれたこと…全部…りんご…」と霧ちゃんに伝えます。

「りんご」も「霧子」も見る人によって姿が違う。その全部が本物。

この話は霧子にとって非常に重要で、サポートカード【君空我空】では、同じ空を見ていても、霧子の空と結華の空は違うと明言されます。
これは哲学でクオリアと呼ばれるものに似てます。
りんごを「甘い」と「ちょっと酸っぱい」のどちらも正しいように、全てのものが見ている人によって見え方が異なっているわけですね。

それが顕著に確認できるのが霧子の信頼度コメントです。
霧子は信頼度が上がるごとに、コデマリという植物に色んな話をしていきます。コデマリとは小さいころから一緒らしいです。
ただ信頼度9にて「ふふ…お花さんたちは話しません…そんな気がするだけです」と口にします。

霧子はお花にも心があったらいいなと思ってます

霧子の捉え方では「花はしゃべらない」「花もしゃべるかもしれない」「花がしゃべるといいなあ」その全てが共存しているのです。
ここがかなり特殊なところで、霧子は多くの物や人をこのように多角的に見続けています
霧子はお花がしゃべらないという現実の世界を知りつつ、お花がしゃべっているかもしれない「霧子の世界」を選んで生きているわけです。
そして霧子は他の人にも「それぞれの世界」があることを理解しており、色んなコミュで他の人の世界を知れるごとに「ふふっ」と笑います。

例えば、大人がトイストーリーを見たあとに人形は動きださないと知りながらも人形に話しかけたり優しくしたりすることもあるでしょう。霧子の世界の捉え方はその延長なわけですね。「そうだったらいいな」なのです。

恐らくこの「主観の世界」こそが周囲の人に理解されなくて孤独になるきっかけになっていました。
Pが霧子の全てを肯定し、霧子が自分の全てを見せていきたいと決めてからこの姿が確認できるようになっていきます。

③想像

WING「優しい失敗」にて霧子はオーディションにダンスは隣の人の邪魔にならないように、自己アピールはまわりの人をびっくりさせないように小声で臨んでしまいます。
実はこれは霧子が人間以外のものにも「さん」付けすることにもつながってくる点となります。

霧子は非常に賢く想像力があるので、色んな人の気持ちを想像できてしまうわけです。相手のことや色んな可能性を想像してしまうからこそ過剰に心配したり気を遣ったりしてしまうわけですね。

霧子は最初それをダメなところだと思っていたようですが、
Pに「ちょっと変わっているけど、霧子のそういう優しさを、大切にしていこう」と褒められ自己肯定していきます。

周囲の人間に認められてこなかったのが伺えます

なにより重要なのは、霧子はこの想像を人間以外のものにもしている点です。
例えば【君空我空】では空を飛んでいく風船を見送りながら、「きっと他にも誰か見送っているね」と言います。
そして「お誕生日会などの楽しい風船さんかな」と言います。
つまり、霧子は空を飛んでる風船を見るだけで、その風船を飛ばした人がいること、その人がどんな気持ちだったのか、さらには風船の気持ち等の物語を想像しているわけです。
(霧子は物語性があると「さん」付けする)

もちろん現実の世界の正解がどうだったかはわかりません。正解は重要でなく、霧子の世界では優しい風船さんが飛んでいたということなのです。

雪の気持ちになって想像したり、ユキノシタの気持ちになって想像したり。そういったことを通して「霧子の見たい世界」を作り上げていっています。

霧子はLPの中で、機械である霧ちゃんには心はあるか、と言う質問に対し「ない」と言います。そして、「霧ちゃんの心はあってほしいと思うわたしの中にある」のだと続けます。

AIでも植物でも季節でも心はあってほしいと願う人の中にある。これがわかれば霧子がわかる。

けして霧子は夢見がちの変わった少女ではないのです。
現実を知った上でそれでも夢を望むロマンチストであり努力家なのです。
LPにてボイストレーナーは「自分の見たいものの姿を投影する」と人間について語ります。霧子だけでなく、全ての人がそうであるのに皆は気づいていないのだと。

④着想

霧子のコミュを読む上で重要なのは、ほとんどが何かの暗喩だということです。「まるで・ようだ」を使う比喩が直喩。使わない比喩が暗喩です。
なので霧子のコミュを読む際には言葉の意味をそのまま追っても何の話をしているかわからないことが多いです。

例えばPssr【琴禽空華】「fuku ju so」では土から出るフクジュソウと、勉学とアイドルの両立に苦戦している霧子を連想させながら話が展開されます。Psr【白白白祈】では白くて当たり前だと思われている霧子が暗喩され、Pssr【夕音鳴鳴】では記憶ごと建物を動かす妖怪と、事務所が居場所に変わった霧子が連想される形で話が展開されます。

Sssr【数数娘娘】ではお風呂で1から10を数えていたとき、11や100や1000があると初めて知ったときのわくわくと、アンティーカのみんなと色んな経験をして「霧子の世界」が広がっていく様子が結び付けて描かれています。

GRAD:童話のネズミと自分を重ねて悩む霧子

これらは霧子の「着想」という能力が非常に高いために起こります。「着想」とは一見つながりを見出だせない何かと何かにつながりを見出す力のことです。
霧子はあまりに遠くの事象のことを連想して話すので、まわりの人には理解ができないことが多いわけですね。

途中式を全部すっとばして急に答えが出ているようなものだと思ってください。

⑤Pとの関係

そして、霧子を知る上で欠かせないのがPとの関係です。
PはWINGでは霧子を救った恩人として描かれますが、感謝祭の個人コミュで次のようなセリフがあります。

「プロデューサーさんは…いつも…そんなふうに言ってくれます」

これは霧子がみんなにとって良い一日になるようにとお祈りをしているときに、「うん、みんなも頑張ってるよ。俺も一緒にお祈りだ」と言ったときのセリフです。

地味ですが非常に重要なシーンです

Pは登場人物の中で唯一霧子の見ている世界を見ようとし続けます

アンティーカ含めた他の登場人物が「霧子は素敵」「霧子は変わってる」で終わるなか、Pだけは霧子の見ているものを見たいと言い続けます。

霧子の見ている世界が現実に存在しているかのように肯定し続け、
霧子と一緒に祈ったり植物に話しかけたりし続けます。
霧子がそうだったらいいな、と思ってるものを、Pも同じ目線で望み続けそれを口にします。

霧子はそういったPの優しさに気づくたびに微笑みます
逆に霧子もPの見ている世界が見れると凄く喜びます

Pssr【霧音燦燦】「ねずみさんの一家」では、大きな店を見て「ネズミにでもなったような気持ちになる」とPが表現したのに対し、ネズミのままごとを始めます。
Pssr【鱗鱗謹賀】ではお年玉として車のオモチャをもらったPが童心に帰りごっこ遊びをしているPの世界の中に霧子も入っていきます。

童心に戻ったPとのごっこ遊びの世界を楽しむ霧子

このように霧子とPの二人はそれぞれの見ている世界が繋がって同じ世界で生きることを願い続けています。

エヴァで言うところのATフィールドが存在しない関係を望んでいるわけですね。

ここまでが前提知識で、以下が本題です。



・Pssr【縷縷屡来】通称トワコレ霧子の考察

①る、る、る、く


想いでの詰ったブランケット。コミュの主役。

コミュの中でキーアイテムとして霧子のブランケットが出てきます。
ブランケットにはカモシカ、シマウマ、ゾウ…他にも色んな動物の絵が描かれています。
霧子は幼少期から愛用しており、お母さんによってこのブランケットの絵は「るるるくの町」と名付けられます。
霧子が目を閉じると動物たちが動き始める町です。
霧子は「わたしがいた町」と表現します。
昔の霧子は本当に動くのかもと信じていたようです。

霧子は「一度だけ見たことがあって…。見たことがある気がして…」と言います。
「(動くのが)見れるかな今日は」というPに対して「もし見れなくても…」と黙る霧子と※「見れなくても、動いてるから…か」と続けるP。

※これはPssr【霧音燦燦】「ほしをひとまわり」でも出てきた霧子の考え方です。そこでは、都会の光で見えないうさぎ座と、忙しくて自分の近くにいれなかった両親とを重ねて、「見えなくてもいてくれますから」と親からの愛情を受け取っていたことを口にしていました。

Pの「かわりに見てようか」に対し、お母さんと同じことを言う、と霧子。霧子がPをどれだけ信頼しているかがわかりますね。
そして「見えたのかなお母さんには。まだ見えないよ、俺には」で一つ目のコミュが終わります。

Pには霧子の世界はまだ見えない

つまり、「霧子の見ている世界」を見たいと望みますが、まだ見れないわけです。
同時にこれだけ望んでも霧子の世界を見れないことに切なさを感じているようにも見えます。

②くる

小鳥の墓が出てきます。これは恐らくPssr【琴禽空華】「haka」で出てきたもので、そのときは霧子は墓を「大事に思い出すためにお墓を作るから」という話をしていました。
墓を見て思い出せるようにと。

当時はその小鳥の墓にはお花と石が置いてあったのですが、今は草だらけでどこがそうだったかもわからなくなっていました
Pはそれを見て、自分や霧子もいつか眠り草木でいっぱいになり覚えてる人もいなくなるのだろうかと口にします。

霧子は墓がわからなくなったら風になり歌になり、新たに誰かに覚えててもらう時間と誰かを覚えてる時間を始める、そうだったらいいな、と口にします。

この話はアイドルを卒業したときの霧子や、人生そのものについても言及してますが、同時にこのカードコミュのメインテーマとなっています。

ネタバレをすると、お気に入りのブランケットの最期とそれをどう受け止めるかという話に繋がっていきます。
一緒に過ごす時間は終わるけれど、かわりに大切に覚えてる時間を始めていきたいということですね。

霧子と祈ろうとするP

③おぼえてる

小さい頃の霧子が高熱を出し母父がひどく心配している思い出の話です。
母は心配で狼狽しており霧子に対して凄く愛情を持って接しているのが見てとれます。

ちゃんと優しいお母さんで嬉しい

今、霧子はダンス練習中に足を軽く痛めて病院に来ていたのでした。Pがひどく心配して慌ててきてくれたのに対し、思い出の中の両親を重ねて霧子は笑います。
思い出の中では父が、現在はPブランケットを持ってきてくれました。

霧子は「とっても心配してくれる誰かが、みんな(るるるくの町の動物たち)を連れてきてくれたおかげです」と笑顔になります。

両親とPが重なる霧子

少しだけ変化しているのが、思い出ではるるるくの町のみんなが霧子を元気づける直接のきっかけになっていたのに対し、現在はPの思いやりがその役目をはたしているように見えることです。

④いる

このコミュでは今までの霧子コミュで最大の事件が起こります。
このコミュの価値がどれだけ理解できるかが、このトワコレ霧子の価値に直結するといっても過言ではありません。

撮影で海に来ていた霧子
カモメに挨拶をし、魚に反応し、潮や風を霧子は感じています

その様子を見ていた
「魚が群れで泳いで、砂浜をカニが歩いて、椰子の実に風が吹いて、潮の香りに、甘い花の香りが混じって、カモメに、名前の知らない鳥の声が重なって。なんだろうな、見たことがある気がするよ、こういう場所」
と口にして、るるるくの町が映ります

そしてそれが聞こえていないはずの霧子も
「ふふ、なんだか見たことある場所」と口にします。

霧子の見てる世界
Pの見てる世界


つまり、ついにPは霧子と同じ世界を見ることに成功したのです。

色んな動物や植物や匂いや音を霧子は常に感じながら生きています。

それは普段道を歩いているときも、事務所で一人ソファに座っているときも。
Pにもついにその世界が見えたわけです。
それはPがずっと見たがっていた世界なのです。

同時に霧子の様子がおかしくなります。
水に飛び込んだまま上がってきません。
るるるくの町のみんなが来て、霧子を海の中に引きずり込んでいたようにも見えます

Pが海に飛び込んで助けると、「大丈夫、海と空に出会っただけ。小鳥さんの続きの時間と、たくさんの生きてるものに出会っただけです」と霧子は口にします。Pにも理解ができません。

霧子の世界が見えたかと思ったのも束の間、まだ知らない世界が垣間見えるのでした。

怖いけど尋常じゃなく美しい

⑤ゆく

Pが事務所で仮眠を取ろうとすると霧子がブランケットを貸してくれます。よく見るとブランケットはひどく痛んでボロボロでした。
霧子いわく急にあっちもこっちも傷んできたとのこと。
お別れの時間だからPに※祈ってほしいと口にします。

※ちなみに霧子のコミュでは「祈る」は重要なワードで、何かを送り出すときには霧子は「祈り」ます。みんなが良い一日を送れるように、小鳥が新しい時間を送るために、るるるくの町のみんながゆくから、無事を願って「祈る」のです。霧子は感謝祭の個人コミュで「お祈りなんかしなくてもみんなちゃんと元気に帰ってきてくれるんです」と口にしています。「でも、わたしにはできることが多くないから」と続けます。自然や人間社会の大きさを知っているからこその言葉なわけですね。

そして、ブランケットをつかって眠り、るるるくの町が見えた気がしたというPの言葉でカードコミュは締めくくられます。

寝てるPを見て霧子には何が見えて何を想ったのでしょうか

まとめ

「いる」のムービーシーンの演出で怖く見えてしまいますが、カード全体としては非常に優しさに溢れたコミュです。

まとめると、幼少期に霧子を救ってくれていた「るるるくの町のみんな」が、成長し必要なくなってきていたところに、
Pという霧子の理解者が現れたことで、本格的にお別れになった。

一緒に過ごす時間は終わるけど、大切に覚えてる時間を始めていきたい、という話です。

このカードの四コマでは新しいブランケットをまみみと使う霧子が見れます。
ブランケットは無地だけど、ブランケットを見るとるるるくの町のみんなが思い出される非常にエモい四コマとなってます。

きっと霧子も思い出してるのに、いつもの笑顔なのがまた良いですよね。

Pが霧子のブランケットを使って寝ていたとき、霧子は初めて人が使っているときのるるるくの町を見たはずです。

霧子には何が見えて、そのとき何を想ったのでしょう。

Pssr【鱗鱗謹賀】霧子に興味を持ったら読んでみてください

以上長くなりましたが、私の考察となります。
あくまで私が見た霧子やPなのでこれが真実とは限りません。皆さんが見て感じた姿も全部が霧子なのですから。

ただもしも彼女を知る一助になれたならば、更にはこの考察がきっかけで霧子のことを少しでも好きになってくれたら大変うれしく思います。

長文をお読みいただきありがとうございました。

「スキ」もらえたら嬉しいです!
霧子を多くの人に知ってもらえるかもしれないので!
是非よろしくお願いいたします!


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