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アメリカ:ワシントンDCのカトリック大学で『ポスト・クリスチャン・スピリチュアリティ』に関するシンポジウム開催

USA: symposium on "post-Christian spirituality" held at Catholic University in Washington, DC

10月18日、ワシントンのアメリカ・カトリック大学ヒューマン・エコロジー研究所(The Institute for Human Ecology at The Catholic University of America)で、『世俗的な考えによる霊的体験の危険性(the pitfalls of an increasingly secular mindset regarding spirituality)』をテーマに、アメリカにおける宗教の異様な未来(The Weird Future of American Religion)についてのシンポジウムが開催された。「アメリカの人々は、正式な宗教、組織的な宗教との結びつきがますます希薄になっている」と参加者は述べた。

ワシントン大司教区のエクソシストであるスティーブン・ロセッティ神父(Stephen Rossetti)は、12年にわたるエクソシストとしての活動を概説し、当初は「もっと『静かな務め』になるだろうと思っていたが、5年前からこのテーマへの関心が大きく高まっていることに気づいた」と言う。その一例として、彼は「数カ月前に『信仰が揺らいでいる、悪魔の存在を証明してほしい』と頼んだ若者がいた」ことを挙げた。司祭は、ズームを通して、『非常に印象的』だが『一般向けではない』証拠写真を思い切って見せたと説明した。それで若者は納得した。
 この事例や他の同様の事例について、講演者は「現代人は両親や祖父母から教わったことを受け入れず、『私はそれを経験した』と言える何かを探したがる。しかし、多くの場合、それはあたかも『不幸へと続く階段』ようなマイナス面があることを、彼らは知らない」と指摘した。

『Strange Rituals: New Religions in a World Without God(奇妙な儀式:神のいない世界における新宗教)』の著者であるタラ・イザベラ・バートン(Tara Isabella Burton)は、最新の統計によれば、アメリカ人の30パーセントは宗教とは無縁であると指摘した。しかし、その中でも72パーセントが 『より崇高な力』を信じ、20パーセントが聖書に描かれている神の存在を認めているという。作家曰く、「アメリカで我々が扱っているのは、広く宣言されている『忍び寄る世俗主義』というよりも、ある種の新しい折衷的なスピリチュアリティである。(Aという場所で儀式を選び、Bという場所で意義を感じ、Cという場所でコミュニティ感覚を得る」。
 
これは新しい形の『宗教のリミックス(remixing religion)』だとバートンは言う。彼女はその例として、ヨガの瞑想に行ったり、身体を浄化するテクニックを使ったり、クリスマス・イブに教会に行ったりすることを挙げた。(中略)『宇宙に存在する漠然としたエネルギー』とつながることへの執着とともに、オカルトやウェルネス文化(wellness‐身体の健康、精神の健康、環境の健康、社会的健康を基盤にして、輝く人生をデザインしていく、自己実現)』への関心が高まっている」。著者は、「宗教施設以外でのオカルトやスピリチュアルな体験のこの人気は、しかし、形而上学的(感覚や経験を超えた世界)・道徳的な意味合いについての考察を伴わない、具体的なもの、現実のもの、魅惑的なものに対する、信じられないほど純粋な渇望を示している」と述べた。

ロセッティ神父も同様の見解を示し、魔術やオカルトに警告を発している。「私たちは皆、精神的な飢えを感じ、キリスト教を捨てると、他の何かを、魔術やオカルトに探し始めます。それは階段を下りていくようなもので、私が最近話した魔女たちが言うように、そこにあるものすべてが、より暗く、醜く、孤独感をもたらすようになる」。

ワシントンのエクソシストが、目撃したいくつかの事件について語った。「最近のコロナパンデミックの最中に、ある女性が魔法を使ってコロナウィルスから身を守ろうとした。彼女の周りで物が飛び始めた。ホラー映画のようにドアが開いたり閉じたりした。教会に行こうと思ったとき、彼女は頭痛と怒り、吐き気に襲われた。彼女は告解を受ける必要があることに自分で気づき、告解した。現在、教会に通い、癒しと解放のためのオンラインセッションに定期的に参加している」と司祭は書いている。

また、最近設立されたカトリック・エクソシズム・オーガニゼーション(CatholicExorcism.org)のウエブサイトで大天使聖ミカエル霊性刷新センター(St. Michael Center for Spiritual Renewal)は、癒しと悪霊からの解放を必要とする多くの人々を助けていると付け加えた。そこでは、司祭、修道女、信者のために様々なワークショップや研修会が開かれている。

「私たちクリスチャンは神の意志を見つけて行おうとする。対照的に、オカルトや魔術では、人々は自分の未来を作ろうとし、これに呪いをかけ、あれに呪文をかけて、『自分の人生を支配する』と言うが、これは悪魔のアプローチだ。残念ながら、これは悪魔が象徴する態度なのだ。(中略)エクソシストの務めは、人生とは何か、すなわち物質的なもののベールの向こうには善と悪の戦いがあるということを、人々に警告することである。(中略)もし誰かが私たちのプログラムを完了し、解放を経験したなら、彼らは教会の一番前の席に座っている。そのような人々は、教会の教えが真実であることを知っている。神は存在し、悪魔も存在する。悪魔から解放される唯一の方法は、イエス様だ」とワシントン大司教区のエクソシストは語った。

Fr. jj (KAI Tokyo) / Washington

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