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これだけはマストバイ!ホルンに必要なお手入れ用品たち(後編)

皆さんこんにちは!
前回、ホルンという楽器を扱ううえでこれだけは持っておいてほしい(買ってほしい)お手入れ用品のうち、オイルとグリスについてご紹介しました。


個人的には今回紹介するものももちろん必要なものと思っていますが、前回書いた部分が本命といっても過言ではないので、まだ未読の方はぜひ前編もご覧ください!

それでは早速、後編を見ていきましょう!
後編は主に布まわり・ブラシ関連のアイテムです。



◆スワブ

抜差管の中やマウスパイプの中の水分、汚れを取るのに使います。ヒモの先端におもりが付いてるので管を回して重力で入れた方と反対の方へおもりを出して引っ張ります。

特にマウスパイプはあまりにも手入れせず時が経ってから通してみた時、ゾッとする汚れを取ってくることがあります…

ご飯を食べた後にしっかり歯磨きをしてから吹いていればそこまで汚れが溜まらず頻繁に通す必要はないですが、気になる人は毎回ケースにしまう前に通しましょう。
僕ももちろん食後に吹くときは歯を磨いて吹いているのですが、それでも1ヶ月〜2ヶ月くらいに1度マウスパイプにスワブを通すとまあまあな汚れが引っかかってきて毎回ショックを受けています…(笑)
なので、最低限の頻度としては上記のペースでやってもらえたらなと思います。

息抜け・音抜けが良くないなと感じ時にもマウスパイプ・抜差管にスワブを通してみることで改善されることがあります。

抜差管に通す場合、第3抜差管(1番大きい管)は管の曲がり方が急でスワブが詰まってしまう危険があるので使わないようにしてください。

当たり前ですが、通した後のスワブは洗濯してくださいね!

基本的にはヤマハのクリーニングスワブを使うことになると思います。
定価1562円で発売されています。

クリーニングスワブホルン用
(ヤマハ公式サイトより)




◆クロス

ホルンをはじめ、管楽器には多くのモデルで「ラッカー仕上げ」や「メッキ仕上げ」が施されています。いずれも管の素材である真鍮の保護につながっていますが、ここに手汗やホコリなどが付着してそのままにしておくと表面の仕上げが痛み、最悪の場合仕上げが剥がれて真鍮があらわになってしまう可能性があります(これは極端な例かと思いますが、手汗が多い人だとメッキの変色やラッカーはがれに悩まされる話も聞きます)。

また、逆に上記のような仕上げを施さず、地の真鍮をバフで磨き上げた「ノーラッカー」仕上げの楽器の場合、何かしら仕上げが施されている楽器以上に水分が大敵なので、汚れと一緒にふき取るために使います。ノーラッカーの楽器は経年で酸化被膜というものが付いて革製品みたいに表面が変化していき、その見た目やノーラッカーならではの音色に一定数の愛好家がいます。その酸化被膜もムラなく付けるためには表面の水分がしっかり取り除かれていないといけないので、やはりクロスでの拭き上げが大事になってきます。

まあ細々と書いていますが、単純な話、いくら自分から出たものだとしても手垢があちこちに付いた楽器を触りたくないでしょう?だからクロスでしっかり拭いていきましょってコトです。

クロスにもいくつか種類があり、用途が絞られているものもあるので念のため確認が必要です。
例えばヤマハのクロスには、

  • ポリシングクロス(通常、DX)

  • ラッカークロス

  • シルバークロス

  • メタルクロス

の4つがラインナップされています。
ポリシングクロスは基本すべての仕上げの楽器に使えます。ラッカークロスとシルバークロスは読んで字のごとく、それぞれラッカー仕上げ・銀メッキ仕上げ専用のクロスです。メタルクロスはノーラッカー仕上げの楽器用です。
ポリシングクロス以外の3つには専用の磨き液が浸みこませてあり、それぞれの仕上げに適した汚れ取り、艶出しをしてくれます。ただし、シルバークロスを銀メッキ以外、メタルクロスをノーラッカー以外の楽器に使うのは、仕上げ材や楽器を痛める原因になるのでやめましょう。

ちなみにクロスは1枚だけでなく、2,3枚あるといいです。
1枚はしっかり磨く用で、他は色んな汚れを拭き取るために雑に使える用として安めの物を用意しておくのがベター。


ごくまれに演奏会で統一感を出すために、舞台に持ち込むときの色が指定されている場合があるので、黒か青のクロスを持っておくと安心です。


僕は普段はミクロディアのクロスを使っています。他では意外とカラーバリエーションで少ない黒色があるのと、柔らかい感触が好きです。
ヤマハだと、通常のポリシングクロスより柔らかい質感で楽器に優しいポリシングクロスDXがおススメ。定価はMサイズで935円です。




◆ブラシ類

マウスピースや楽器の抜差管を洗うのに使います。
複数のメーカーから出ていますが、ヤマハが品質的にも安定していていいかなと思います。

それぞれ、

マウスピースブラシS(定価759円)
フレキシブルクリーナーS(定価1980円)

で発売されています。
フレキシブルクリーナーについては個人持ちが望ましくはありますが、最低限部活のパート備品で持てるのではあれば大丈夫です!

フレキシブルクリーナーはブラシのヘッドが大きいのと小さいのが付いているので、管の太さに応じて使い分けます。
マウスピースは水で洗っているだけだと意外と取れない汚れが中に溜まってきて吹奏感に影響するので、定期的に掃除しましょう。フレキシブルクリーナーで管内を洗浄するのは、2〜3ヶ月に1回だとか、学生さんの場合は長期休みの期間中に洗うとかが良いと思います。
ちなみに洗剤についてはヤマハからブラスソープという専用のものが発売されていますが、これに関してはおうちの食器用洗剤(中性)で代用可能です。




◆番外編:あると便利なモノ


クリーニングロッド、ガーゼハンカチ


グリスを塗り替える時にあると便利なアイテム。
ロッドにガーゼを巻きつけて、抜差外管の中に入れて汚れを取ります。

クリーニングロッドはいわゆるリコーダーの棒でも代用出来るモノで、持ってる方はそれを使っていても問題ないのですが、例えばベルがベルカットじゃなくワンピースベルの場合、第1〜第3抜差外管(ホルンの前側に付いてる管)を掃除する時少し難しくなるのと、気づかないうちにロッドの後ろ側をベルに当ててしまい凹ませてしまう危険があります。

そこでおすすめしたいのが、写真に載っているヤマハのクリーニングロッド(バルブ用)です。定価715円と比較的安価で購入できますし、長さも短いのでワンピースベルでもぶつける心配が減ります。クロムメッキされた金属製なので、プラスチック製のように安易に折れたりすることもありません。

ガーゼはヤマハをはじめ各楽器メーカーが出しているものでもいいんですが、似たようなものが100均にも売っていますのでそれを買った方が安上がりです。ただ、普通のガーゼではなく、周囲が縫われているハンカチタイプのガーゼの方がいいでしょう。僕はいつもセリアでこのタイプのガーゼを購入しています。



トーンホールクリーナー

ヤマハから発売されている、木管楽器のトーンホール周りを掃除するために使うアイテム。レバーのバネ周りの汚れ取りに結構使えるんです!

レバーのバネ周りは日々差すオイルやホコリで割と汚れやすいです。そこでこれを使って取ります。

端の針金部分はまあまあ鋭利なので、楽器表面と自分を傷つけないように注意しながら使ってください!

ただ、6本入り473円とコスパはそんな良くないので、綿棒で代用できます👌🏻

ヤマハ公式サイトより





◆結局のところ、マストアイテムをそろえるとなるといくらかかる?

ここまでマストバイのお手入れ用品を紹介してきましたが、「じゃあそれらを全部買ったら結局いくらになるん?」とお思いの方がいらっしゃると思います。
というわけで、ヤマハで全て揃えることを想定して、定価にはなりますが試算してみようと思います。


ローターオイル・・・1210円
ロータースピンドルオイル・・・1045円
レバーオイル・・・1045円
スライドグリス(スティックタイプ)・・・660円
オイルグリスクリーナー・・・1430円
ポリシングクロスDX(M)・・・935円
クリーニングスワブ・・・1562円
マウスピースブラシ・・・759円

合計:8646円


結構しますよね…特にオイル類は昨今の物価高もあり、僕が学生の頃に購入していた時よりかなり高くなっている印象です…(昔はロータースピンドルオイルとレバーオイルは1000円を切っていました)

しかし!ヤマハにはなんとお手入れに必要な基本的なものをまとめた「お手入れセット」なるものが発売されています!!

お手入れセットホルン用の内容物
(ヤマハ公式サイトより)  

このお手入れセットには、ロータリー用のオイル3点とポリシングクロス、クリーニングスワブにマウスピースブラシとオイル用ノズル、ウォーターシート1枚がバンドルされていて、持ち運び用の巾着袋も付いています。
これだけ入っていて5060円とお得な価格!

ただ、残念ながらスライドグリスとオイルグリスクリーナーはセットに含まれていないので、これらはお手入れセットを買ったとしても追加で買う必要があります。(特にスライドグリスはヤマハの公式サイトを見てもらえば分かりますが、他の金管楽器のお手入れセットには含まれていることから本当に必要なものであることは明白です。ただ、予算の都合上難しいのかな…)


お手入れセット+足りないものを購入する、の場合だと

お手入れセット・・・5060円
スライドグリス(スティックタイプ)・・・660円
オイルグリスクリーナー・・・1430円

合計:7150円

1000円以上安くなりました!
また、オイルグリスクリーナーをパートで1本購入することにして個人購入としなかった場合、5720円にまで抑えることもできます!


最初の出費こそそれなりにしますが、(使い方にもよりますが)基本長持ちするものが多いし、オイルやグリスは化学合成で作られているので劣化もしにくく、コスパは悪くないと思います。
オイルに関してはむしろなかなか減らなくて何年も使っている、なんて場合もあります(僕がそうです)




◆最後に──お手入れの大切さ

ホルンだけでなく全ての楽器に言えることですが、上手くなるには練習だけでなく楽器を上手に丁寧に扱えることも重要です。つまり、普段いかにメンテナンスをしているかがそのまま演奏の上達に直結してきます。

ちゃんとメンテナンスされていない楽器を吹くことはそれだけでかなりのストレスとなり、本来ならクリアできる悩みもなかなかクリアできなかったり、悪い癖がついてしまったりします。

かと言って長い間手入れをしないで、ある日ようやく重い腰を上げてしっかり手入れをすると、今度は汚れが溜まっていた状態に慣れていたのが急に綺麗になったことで違和感を感じ、それに慣らしていくのに時間を取られてしまいます。あるいは「掃除したから調子悪くなってスランプになった…」と感じる人も出てくるかもしれません。

でもそれって定期的な手入れを怠っていなければ起こり得なかったことなので、そんな風に楽器のせいにしては×です。楽器を労ってあげられてないことを反省すべきです。

定期的な手入れをすることで上達に悩む原因を極力まで減らし、他のポイントに目を向けることができます。あるいは更なる手助けになるかもしれません。

経年による金属疲労など、マメに手入れしていたとしてもどうしても避けられないトラブルももちろん起こり得ます。そういった時は素直にリペアの方に出して調整してもらいましょう。



ではどうぞ、素敵な楽器ライフを楽しんでください!👋🏻

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