苦しみの輪廻から抜け出すたった一つの方法 ~ ブッダの実践心理学 第6巻 ~
ブッダの実践心理学は、スリランカ人のお坊さんであるスマナサーラ長老が、ブッダの教えを忠実に伝える初期仏教のテキスト「アビダンマ」を判りやすく解説した本。
タイトルは堅いが、誰もが身に覚えのあるたくさんの例え話で、とても判りやすく説明されている。
この第6巻は、因果についての解説。
1.因果とは
因果法則、よく使う言葉。原因があるから結果がある。それが因果法則。
今自分がここにいるのは、過去があったから。
過去が「因」で今は「果」。そして同時に、今は将来の「因」。
2.苦しみの原因
ブッダは心に苦しみが生じるメカニズム、「因果」を解説している。
「苦しみ」が「果」。その「因」は、「無明」と「渇愛」。
「無明」とは、すべてが無常であると知らないこと。
「渇愛」とは、生きていきたい!とか、○○したーい、という欲望。
3.因果は輪廻
輪廻と言えば、私が死んだらどこかの誰かに生まれ変わること、輪廻転生、を思い浮かべる人は多いと思うが、ブッダの教えはちょっと違う。
輪廻とは、原因が結果を作り、その結果が原因となってさらに結果ができること。
今自分がここにいるのは、過去にその原因があったから。そして、今自分がここにいることは、将来何かを引き起こしてしまう。
4.輪廻を止める・結果を出さない
「因」をなくすことによって「輪廻」を止めることができる。そして、結果を出さないようにすることができる。
苦しみを止めるためには、その原因である「無明」と「渇愛」を消す。
それも今この瞬間の「無明」と「渇愛」を消す。
過去は変えられないので放っておく。過去にはとらわれない。
それが苦しみの輪廻から抜け出すただ一つの方法。
5.苦しみの輪廻脱出の例
一生懸命考えた提案を上司にバッサリと否定されたケース。
(A)苦しみの輪廻
落ち込む。がんばったのだ、自分はえらい!自分はもっと尊重されるべき。上司の顔を見ると気分が悪い。上司を無視。状況は悪化。
(B)輪廻からの脱出
この世界は無常。自分など、無常の流れの中の小さな存在。がんばったからといって認められないことは、怒ることでも落ち込むことでもない。
がんばったが、自分の提案には不十分なところがあったのだろう。それはそれとして、よりよい提案を作る。
上司には明るく再提案する。状況は好転。脱出成功!
6.まとめ
今、自分の無明と渇愛に気づき、前向きに対処すること。
そうすれば苦しみの輪廻から脱出することができる。
ブッダのシンプルな教え。
今回も、ありがとうございました!