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新卒社員が8ヵ月で無職になるまで


12/23と聞いて何を思い浮かべるだろうか。
イブの前日、天皇誕生日(旧)、極寒日など千差万別だと思う。
僕の場合は「退職記念日」である。そして明日が退職記念日1周年だ。


新卒で入った会社を1年未満で辞めた。正確に言うなら8ヵ月で辞めた。ザ・早期退職である。

辞める時、いや辞めると決心した時には自分と同じように新卒で早期退職した人のブログや記事を死ぬほど漁った。だから辞めた時は同じように自分もネット上に書き綴ろうと思っていた。正直辛い過去ばかりだが振り返っていこうと思う。将来こんなことあったなと笑って振り返れるように、または同じように辞めたいと思っている新卒の人へ。まとまりもなく愚痴を吐き出すようにつらつらと書き並べた駄文オブイヤーを贈る。

実際に転職活動をするにあたり、何をすればいいのか?エージェントとサイトの違いは?みたいなそれこそ当時の僕がずっと見続けていたサイトのようなことは別の機会に書かせてもらう。ここでは新卒が1年もたずに辞めるまでどのようなことがあり何をしたのかという点を重視させてもらう。テーマは日記であり振り返りたいだけだ。



前提として、ブラック企業に勤めていたという訳ではない。一応昔はゴリゴリのブラック企業ではあったらしいが、僕が勤務していた昨年に働き方改革を導入しホワイト企業になっていた。残業はマックス21時、残業代はキチンと出る。有給取得率は100%だし完全週休二日制で祝日も必ず休みだ。知り合いに業種問わないからとにかくホワイトに勤めたいという人がいたら喜んで紹介するレベルである。
つまり、何が悪かったのかというと自分が悪い。入社した時点で全面的に自分が間違っていた。

職種はそこそこ特殊なので詳しくは書けないが、水道管敷設の図面作成をする仕事だった。元々公務員志望ということもあり、インフラという文字に惹かれ、深く考えずに決めた。というのも就活当時、公務員試験を筆記ではなく面接で落ちたため、一般の就活を始めた時期が8月末からという最悪な状況にいた。めちゃくちゃ急いでた。人生でもトップクラスに判断力が低下してた時期だった。もっと企業に応募しまくって選べる状況を作ればよかった。就活生よ慌てて就活するな。


そんな過程で入社した会社は、説明した通りゴリッゴリの理系である。募集欄に文理問わずと書いてあったがそんなことはなく徹底的に理系だった。そして僕は生粋の文系。消費税の計算すらロクにできないレベルで税抜き表記の商品を心から憎んでいる。

順調なのは入社から1週間のみだった。正確に言えば新入社員歓迎会の飲み会のみだった。まず雑用を任されるが細かい手作業が多く、致命的に不器用な僕はしょっちゅう報告書をダメにした。業務のメインであるCADの作図は慣れるまでかなり時間がかかった。酒がそこそこ強かったから先輩や上司に瓶を注いでは飲みを繰り返してる時だけが輝いてた。


その後はもう散々だった。図面なので100000㎜をmや㎞に換算、また0.01㎞を㎜に変換などの作業は毎回出てくるが、計算が遅い上に間違いを乱発しその度に先輩から「お前大学で何やってたの?」「恥ずかしい」などのありがたい暴言をいただいた。CADとは別の作図ソフトの説明も物分かりが悪いせいで同じような暴言を浴び続けた。また酷いことを言われるのではないかと委縮し作業効率は下がり、結果ミスしてまた罵倒という負のスパイラルが生まれた。これは先輩の人間性が圧倒的に悪いのだが自分の理解力の低さも原因にある。

CAD担当の女性の先輩からも自分の仕事のできなさっぷりに見放された。最初は懇切丁寧に教えてくれたが、ある時期から質問する度あからさまに機嫌が悪くなり、質問しにくい雰囲気になった。結局入社当初のフレンドリーな雰囲気が、半年経つ頃には完全な他人扱いとなった。ちなみにその先輩は社内で仲がいい人が多くしょっちゅう雑談に花を咲かすタイプだ。

結果、仕事ができず周りにも頼れない異物な新入社員が出来上がった。扱う内容、ソフトすべて今までの人生で全く触れてこなかったため、馴れというものは来なかった。毎日がストレスで、不眠症、頭痛吐き気などのストレスからくる症状はだいたいコンプリートした。

「自分はこの仕事が徹底的に向いていない。転職をしよう」と決心したのは4月末。5月病になるより早く新人が陥る思考に達した。

決心してからは行動あるのみだった。グーグルの検索サジェストが「新卒 早期退職」「新卒 1年未満 退職」で埋まった。その過程で第二新卒という単語を知った。


第二新卒とは、明確な定義は無いが「新卒の会社を3年未満で退職した人」が該当するらしい。当然1年未満も含まれる。
第二新卒は転職市場で中途経験枠ではなく新卒枠として扱われる。むしろ新卒より社会人のマナーを熟知しているなど社会人としての経験がプラスされる。前職の経験は問われないので全くの異業種にも挑戦しやすい。つまり学生の就活とほぼ同じイメージなのだ。


しかし1年未満は第二新卒といっても不利である。社会人のマナーといえど社会人歴数ヶ月ではメリットにならない。武器と言えば若さのみだがなら新卒を採ればいい。
良さげな会社を見つけてエントリーしては落ちての繰り返し。その度に会社で死にたくなっていた。
7月に怪しい雰囲気だが確実に通れそうな希望職種の会社を見つけた。ここしかないと思いエントリーを出したが普通に落ちた。これはショックだった。この時しばらく今の会社のいいところを探そう。やっぱ早期退職は無理だと思い、企業検索以外の転職活動をストップした。よく最初はだめだと思っても半年働けば働き甲斐が見つかる~なんて言うしね。なんて言い聞かせた。

半年経って、やっぱりいいことなんてなかった。8月に先輩が大病を患い急遽自分が先輩の仕事を引き受けることになった。そのころはCADは結構できるようになったがもう片方のソフトは全くできないという状況で、不幸にもそのもう片方のソフトの仕事が回ってきた。その1週間は毎日限界まで残業してた。正直死ぬと思ってたが、普段は一緒に仕事をしない対岸の先輩たちが優しく教えてくれたおかげでなんとかなった。最初からその先輩たちが担当だったら、もしかしたらこの仕事を好きになれたかもしれない。

大病発覚から10日後に先輩は職場復帰した。一安心かと思ったが引き続きその仕事は僕の担当になり状況は好転しなかった。その先輩からは感謝の言葉どころか仕事のダメ出しと暴言を吐かれた。辞めようとハッキリ誓った。

第二新卒の転職はまず自分が何をしたいか?が重要である。そこはすぐ決まった。元々転職を決めた際にやりたい業種も一緒に決まっていた。ただその業種は住んでいる地方に少なく、未経験者は厳しい業界だった。だからステップアップを見据え、様々な経験ができつつ自分が興味をもてる仕事をする、という軸を据えた。

しかし一人では限界がある。そこで転職エージェントを頼ることにした。「第二新卒 転職」で調べて出た記事はだいたい転職エージェントを利用しろって書いてある。なぜか夏の時点では利用しなかったが、11月から始めることにした。

エージェントはかなりの数存在するが、自分はリクルートエージェントを選んだ。決め手は面談の必要がなく電話とメールでやり取りが完結するという点である。地方在住で東京に行きにくい身としてかなり助かった。

エージェントの力は凄まじかった。自分一人では見つけられない企業をガンガン送ってきては軽い気持ちで出したエントリーをガンガン通してくる。あっという間に面接までこじつけるのだ。マジで転職したい人はエージェント使ったほうがいい。

しかしここで問題は発生する。面接までいける企業が多すぎて、有給が間に合わないのだ。
12月に4社面接を受けることになった。このうち3社は有給を使わなければならず、1日まるごとの有給は2社必要だった。

新人なうえに10月に病気で有給を使っており、さらには繁忙期に差し掛かっていて、有給申請がとても出しにくかった。

だがそんなことも言っていられない。ここで僕は一つの計画を立てた。まず退職願から退職の流れは一般的に1ヶ月と言われている。ならば12月の末に退職の希望を出し、1月末に辞める。こうすることで12月に転職活動のための有給に説得力が生まれるし、仮に内定が取れたら1月は準備期間にできる。ダメだった場合でも自分の希望職種はフリーランスで活動できるため、経験を積みつつ転職活動ができると踏んだのだ。実際12月~3月は転職市場が最も活発になる時期であり、かなり理想的な計画であった。


だが現実は思うようには進まない。
来る12/23、部長に退職願を提出しやりたいことがあるから退職したいという旨を伝えた。ネットでは退職の理由は細かく説明する必要がないと書いてあったので素直に従った。結果ボロクソに貶された。どんだけ嫌われてるんだよ。しかもこれ、引き留めとかではなくただただ僕の人生を貶されただけ。必ず失敗するとかセンスがないとかも言われた。冒頭でホワイト企業とか書きましたがあれ嘘かもしれないです。働いている人間はカスです。でも優しい人もいるよ。


とにかく2時間かけて人間性を全否定された僕だが、心の中では来月退職になればそれでいいとしか思ってなかった。僕へのリンチが終わった後、部長は主任、担当の先輩×2、社長と話し、その後また呼ばれた。いよいよ話がまとまったのだろう。引き留められる訳はないし、1ヶ月前の申告だから社会人としても正しい。この時は自信があった。ただそれでも万が一辞めるなとか言われたらどうしよう…今年度は働けとか言われたら…などと不安もあった。部屋に入り、神妙な顔をして着席した僕に部長は言った。



「1ヶ月後に辞めたいというのは君の意思だから会社としては認められない。12月いっぱいで辞めてくれ」



そっち!????


調べてるとき「変な理由をつけられ辞める時期が伸びた」とか「新卒だから辞めさせてくれなかった」みたいな人はそこそこいたが辞める時期が早まるパターンは初めて見た。なんでも「辞めるとわかっている人間が社内にいると雰囲気が悪くなる」とのことらしい。普段空気扱いのくせになんだそれは。退職願を提出してから2週間後なら退職は可能という法律は知っていた。これは3月までいてくれと万が一ゴネられたら使おうとしていた切り札だがまさか2週間どころか3日後に退職になるとは思わなかった。

これは想像だが、もともと大した仕事もできないやつが辞めることになるのだから、会社としては早く消えてくれたほうがコストカットになるのだろう。実際当時自分が抱えていた案件は始まったばかりで引継ぎすら必要なかったし、1ヶ月ただ座ってるやつを養う必要はまるでない。

でも流石に急展開すぎるだろ。心の準備何もできてねーよ。どんな心境で年越せばいいんだよ。ていうかこれ体のいいクビだろ。俺の同期俺含めて3人しかいねーのに翌年の新卒9人採用したのは俺をクビにするためだろ。だったら1月に言えばよかったわクソが。

そんなことを考えながら、部長の話に適当な相槌を打ち、定時を迎えた。こうして12/23に僕は退職が決定した。



その後は残りの仕事を片付け、私物を持ち帰り、上司や先輩や同期に退職の旨を伝え、勤務最終日を終えた。本来なら12/26に社内の大掃除がありそこで会社としては勤務納めになるのだが、さすがに気まずいので適当な理由で有給を取った。ちなみに面接は前日に内定者が決まり面接ごと無くなった。

こうして1月から無職になり、WEBで仕事をこなしつつ転職活動をしていた。もともと2月中旬に給料が入ることを計算に入れて貯金していたのでこの予定変更はかなり厳しかった。結果、なかなかハードで鬱になりかけたり不眠症になったりとんでもないブラック企業に勤めかけたりするのだが、それはまた別の機会で書こうと思う。

冒頭で自分が悪いと言ったが、書いてるうちに周りの人間のせいでは?と思うようになってきたがやはり自分が悪い。そもそも自分の適性考えたら選んではいけない会社なのは一目瞭然だからだ。いい人もたくさん…いや多少はいる。少なくとも4人ほど信頼できる人はいた。ただ先輩二人に関しては許していない。

ただ一つ言えることは、新卒で入った会社が自分にとっての地雷なんてことはありふれていて、その後は意外と何とかなるということだ。今僕は毎日楽しく働いている。去年は仕事の度に感情が死んで結局終わるころまで吐き気に悩まされたり、日曜の夜はどんなに疲れていても眠れなかった。

今はストレスフリーで働けている。正直とても運がよかったから今この仕事をやれているだけだとは思う。簡単に転職は勧められない。
しかしどうしても毎日がストレスでこのままだといつか壊れるという人は転職もありだと覚えていてほしい。厳しい道だが、メリットは大きい。
去年死ぬほど転職活動について調べたので、第二新卒の転職に関しては生き字引できるレベルだと思っている。相談いつでも受けます。


今年は穏やかな気持ちで年を越せそうだ。明日、12/23は退職記念日。あとついでにスクストの忘年会があるらしい。僕は明日休みなのでゆっくり寝てると思う。


寒くなってきたので失礼します。

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