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新卒で退職したらそこそこな地獄を見た話~後編~

前回のあらすじ

・フリーライター失敗
・なぜかブラックが集まる合同説明会へ
・どう見てもブラックな会社だけど内定もらったのでGO!


本記事は一応上の記事の続きですがあらすじさえ読めば別に読む必要は無いです。


2月:ブラック企業入社、そして入社拒否

そんなこんなで入社初日。前の会社より遠いうえに渋滞する道を走らせ、始業30分前に到着した僕の見た光景は既に多数の社員があくせく働いている姿だった。

配属されるはずの営業課は既に営業に出ているか出る準備中、横を見ると鳴りやまない電話の中事務職の女性達が必死に対応していた。

そんな折、採用担当のTさん(仮名)がやってきて入社ガイダンスを応接スペースで始めた。

要約すると

・営業希望とのことだったが今事務作業に人手が足りないので最初は事務
・またネットに強いとのことなのでネット関連の整備をしてほしい(HP開設とか)
・契約書の類はまだ東京の子会社から届いていないのでまだ渡せない。来週になったら提出してほしい。
・事務職といえど仕事なのでネクタイ、スーツはしっかりすること(自分は精神的な病が原因で首元に締め付けるような衣服があると調子を崩す。営業先とかならちゃんとするが社内ではネクタイを外していいか?という質問に対して)



ここで正気に戻った。




10000歩譲って募集していた職種と違う場所に配属されるのは許そう。転職界隈では知らないが新卒界隈ではよくあることだ。

契約書類が無いって何?

ここ本社だよね?なんで子会社から取り寄せる必要があるの?しかも出社の日月曜だったし電話から数日は経ってるし何してんの?就業規則すら無いのは異常では?


出社早々に全てが逆風で打ちのめされそうになったが実務が始まると更に条件は悪くなっていく。

ひっきりなしになり続ける電話、専門用語だらけのマニュアル、謎のサイトを使った業務、2時間に一回様子を見に来て皮肉を言って帰る採用担当…

業務内で一切使わないのになぜか昼休み中にタイピング練習を命じられた。多少のWEBライター経験があるからという理由で大層無駄に期待されたが普通よりちょい上という結果でめちゃくちゃ落胆された。ライター経験は詐欺扱いされた。そしてこのタイピング練習は毎日するらしい。使わないのに?

何度言ってもネクタイの件は認めてもらえなかった。教育係の人には生活指導か?ってくらい詰められるし事細かに事情を説明し、一応理解した風の態度をとったTさんからも怒られた。

そんなこんなで終業時間。散々練習させられたタイピング練習を活かせない手書きの1日の振り返り用紙を教育係の人に渡し、別室で振り返りの面談を行った。

そこでは、いろいろなことを聞いた。営業は始業1時間前には来てて出発し、帰ってくるのは21時以降ということ(18時終業)。事務職のパートの女性陣も基本的に19時まではいること。そして教育係のYさんは普段22時まで残業をしているが、今は母親の介護のため20時に早上がりしているとのこと。

ブラック認定!ブラック認定でございます!


残業がデフォって次元じゃないし、企業説明会の時と話が全然違うし、転職失敗を悟った。ちなみに残業代は出ません。

必死にこれだけは思わないようにしようと頑張っていたが、3日目にして気づいてしまった。前の会社の方がまだマシだった。

前の会社がいかに合わないかは以前書いた通りだが、少なくとも残業はMAX21時だし、残業代は発生したし、服装もスーツではあったが緩かった。

ここは前の会社で嫌と思っていたことを引き継いだ挙句、+@で悪行が積み重なる地獄だった。いちいち嫌味を言う上司、意味の分からないところでキレる教育係…


3日働いたところで完全に絶望しきった僕だったが、あることに気づく。契約書、書いてないじゃん。


冒頭で述べた通り、杜撰な管理のせいで契約書や就業規則といった類の書類を先延ばしにされているため、正確には契約が発生していないのだ。当然年金も健康保険も切り替えていないので、社会的にはまだ「無職」なのである。

しかしやっとの思いで転職したというのにまた転職活動を始めるのか…?金もないし…と現状における悩みは消えない。眠れない夜が続き、体調を崩した。会社を休み、ずっと考える。この時の僕は完全に病んでいた。

もう一人ではどうしようもできなかったので、親に相談することにした。そもそも退職したことを言ってなかったのできついお叱りを受けると思っていたが、理解したうえで、手助けしてくれた。

まず今いる会社について言ったら「県内でも有名なブラックだからさっさと辞めな」と言われた。悪名高かったらしい。そして生活費については仕事が見つかるまで支援してくれることになった。あったけえ…


こうして僕は3日で2つめの会社を辞めた。電話越しで「辞めます」とだけ伝えたら以外とすんなり受け入れられた。慣れているのかもしれない。契約自体していないため退職手続きは発生しなかった。履歴書にも載らない、僕にだけ残った傷である。

この2月で学んだ教訓は、「転職は絶対に妥協してはいけないし、親や友人に相談しろ」ということだ。


3月:再度の転職活動、そして伝説へ…

親からの支援があるとはいえ、もう3月。4月に入ると第2新卒を受け入れてくれる企業はガクッと減ってしまう。ここで僕は、リクルートエージェント、ハローワークをフル活用した。

まずリクルートエージェントには今まで出してきた希望職種は白紙にし、その希望職種へステップアップするためのつなぎの企業を軸とした。そして、一番近かった企業がリクルートグループの会社だった。くしくも12月にエントリーし、面接までこじつけたのに面接前日に面接が消滅した会社だった。

リクルート系列は、基本的に終身雇用する前提で採用しない。むしろ3~5年経ったらステップアップできるように転職を支援したりする。そのため全体的に若く、エネルギッシュな会社が多い。

職種は営業だが、リクルートは営業以外にも仕事が多く、実際忙しいがスキルアップは確実にするというのが謳い文句だ。

最初から残業あります!と公言しているのでむしろ好印象だし、休日に関しては完全週休二日、126日が守られるとのことだ。エージェントがいいところ悪いところ全部ぶっちゃけたから間違いはないだろう。


そしてハロワの方だが、まず金銭面で助けられた。住居確保給付金という制度だ。

ざっくり説明すると、「無職の人は就職活動すれば家賃を肩代わりするよ」というものだ。失業手当と違い、厚生年金の支払いなどは関係なく誰でも受けられる。

当然ハロワで就活をしなければならないのだが、親の助けもあり良さそうな会社が多数見つかった。かたっぱしから窓口で検索してもらい、どんな会社なのか、募集要項はなんなのかを聞いた。

そしていくつかの選択肢のなかで、公共施設のスタッフ募集があった。年間休日数は少なく昇給もなしなので長く勤めることは難しそうではあったが、残業完全0、早番遅番のシフト制、そして大学で学んだことが活かせそうな業務内容に惹かれた。

こうしてリクルート系列と公共施設の2択となった。最初に面接があったのはリクルート。1次面接を経て最終面接という段取りだ。エージェント曰く「最終まで行けたらほとんどうかるが1次がかなり難関」とのことだった。

面接は順調に進み、好印象だった。帰り際オフィスをチラッと見れたがとても綺麗だしフリーアドレスのようなので社員が各々自由に仕事を進めているようだった。個人的にもかなり評価は高かった。

公共施設の方はかなり急に話が進んだ。ハロワ経由で履歴書を送ったら届いた日に電話が鳴り、明日面接がしたいと言われた。スピード感に驚きつつ面接当日訪れ、いろいろなことを話した。特に大学のことやWEBライターのことは掘り下げられた。

感触はまあまあだった。ただ残業は完全に0、休みは週に2日、私服勤務、副業OKどころか推奨という中々謎な話も聞けた。どうやら労働環境はとんでもなくホワイトらしい。


数日後、リクルートエージェントから1次面接を通過したことを聞き、また同時期公共施設からも内定を頂いた。


正直迷っていた。キャリアアップや将来のこと、賃金を考えるとリクルート一択だが公認している残業や普段の業務の忙しさ、難しさがネックだった。公共施設はどうあがいても給料が上がらず賞与もないため賃金面が弱かったがそれをありあまるほど業務内容、および職場環境が魅力的だった。


結局僕は公共施設で働くことを決めた。いや、決めたっていうかリクルートの最終面接落ちたんだけど。対策はしたよ?なんか普通に感触悪かったし淡々と落ちたわ。おそらく迷いが出たのだろう。あまり覚悟がきまっていないフワフワした面接をしてしまったと思う。原因はわかってはいるがほぼ受かると言われた面接に落ちたのは少しショックだった。



4月:そして現在

さて、紆余曲折ありながらも入社できたわけだが、また凝りもせずブラックなのか?結論から言うとホワイトの極みだった。

残業0は伊達じゃなく、帰る人は就業5分前には帰り支度を始めているし、遅番の時は施設を閉めるので問答無用に10分前には帰宅ムードだ。また、よくある「始業30分目に出社し掃除」のような悪しき文化は存在せず、始業時間に掃除が始まる。

というかみんな出社する時間が始業時間ギリギリである。これは施設の開錠時間が始業から15分後ということなのでまあそこまでに間に合えばいいよという理論に基づくものだ。結果だいたい5分前に集まる。初出勤時に15分前に到着したら門すら開いていなくて焦ったものだ。

他にも有給以外に病気休暇という枠組みの休みがあるため体調を崩しても有給が消化されなかったり、昼時間は各自適当にとってOKなのでまあまあ長めに取れたり、挙げていけばキリがない。

一つ確実なことは、この仕事を始めてからストレスが激減したということだ。以前は不眠症になったり仕事後の余暇時間を有効活用しなければならないという圧迫感に襲われていたが今は全くない。

結局、仕事というものはいかにストレスを削減し、快適に仕事ができるかという点が一番大切なのだろう。

そして、このそこそこな地獄から得た教訓は

・フリーランスは都合のいいことばっか書いてある記事多いけど実際きついよ
・変な時期にやる合同説明会とか行かない方がいいよ
・マジで合わないブラックはすぐ逃げろ
・親は頼れ
・転職はエージェントを使え(ハロワはブラックかなり多いから注意が必要)
・結局働きやすさを軸にするのが一番

こんなところだろう。多いな。



失敗を繰り返してきた1年だった。10ヶ月で退職しWEBライターが上手くいかないから焦って変な会社に入りすぐ逃げて…


だがこの大きな失敗の繰り返しの結果今があると思うと、それもまた必要なことだったのかもしれない。


まあ二度とこんな経験はゴメンだが。


以上で早期退職シリーズは終わりです。意外と何とかなるけどきついぞ!がんばれ新卒!がんばれ無職!


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