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作家KAIオリジナル直感小説|story5「 刹那 」


これまでのあらすじ
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作家KAIオリジナル直感小説
をまとめた無料マガジン


本編
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RAYは
ふたりの席のまえで
ゆっくりと足をとめ
凛にそっとメニューを渡す



凛は
書かれた文字に
複雑な表情を浮かべる



一文ごとに
目を立ちどませながら
丁寧に
文字をみつめた



すべてに
目を通したあと




最後に書かれた文字だけを
人差し指を添えながら目で追った




メニュー表を
ひざの上にそっと置く




sou「なぁ、凛。  
       この花火ってさ
       どこの【海】から
       打ち上げてんだろうな〜。」




そう言って
花火を眺めていた souの横顔を
じっとみつめた



震えた手を握りしめながら
目をギュッと閉じた



戸並 十三は
席から 凛の表情をみていた





ふと
さっきは秒針が狂って
速度をあげていた
時計をみる






戸並 十三が
時計をみた瞬間

速度を
あげていた秒針が
今度は
ピタリと動かなくなる




戸並 十三「ん?この時計、寿命ですかね…。」



すると
ゆっくりRAYが近づいてきた



RAY「戸並様、あちらのテーブルの
        男性の時間だけを5分だけ
        止めさせていただきました。
        メニュー表をもたれたあの女性に
        なにかお声をかけて
        いただけませんか?」






戸並 十三(…時間をとめた?
             サラッというなぁ。
             その能力のほうが僕は欲しいですが。)    






ふたりの様子をみると
確かに男性の動きは
変わらない気もする




戸並 十三「あ、でもそうか。
             僕まだ
             あと2回能力を使えるんでしたね。
   
              なら、どちらを失っても
              彼女だけをもとに戻せばいいんだ。
              そうですよね?」





そういって
RAYを見返すと

RAYは
何もいわずに
うなずくかのように
下をむく




戸並 十三は
静かに
席から立ちあがると



ふたりの席まで
足を運ぶ




凛のまえで
立ちどまると

気配に気づいて
凛が戸並 十三をみる






戸並 十三「彼は いま5分だけ
               時間がとまっているそうです。

               メニュー表…。

               どちらを選んでも
               僕があなたを元に戻せます。
               まぁ、いきなり現れた男の話を
               信じることは難しいでしょうが。」




【 刹那 】の間に
凛は不思議と
安心をおぼえた







凛「…ありがとうございます。
     戻らなくても
     彼の命が救われるのなら
     選ぼうとおもっていました。


     あなたがもとに戻してくれるのなら
     信じて選ぶことにします…。」






戸並 十三(適応能力たかいな…。)





RAYが席に近づいてきて
ふたりに伝える





RAY「そろそろお時間です。」




凛「わたしには…
     AもBも怖くて選べません。
      お任せさせて…ください。」




RAY「でしたらBを。」




戸並 十三(…決めるの早っ!
             そして
             この方は ただBが好きなのでは?)





次の瞬間
グルッと目がまわったかとおもうと
戸並 十三は
もといた席に 座っていた




戸並 十三「不思議だ…。」




凛音「能力を使ったのは、わたし。」
        (まぁ、RAYが傍にいないと使えないけど)



いきなり目のまえから
声が聴こえて
ビクッとなり

目のまえに座っている
凛音に気づく




戸並 十三(…瞬間移動!?
              いろいろ情報量 多すぎますね。)





凛音「ちなみに
        あの女性の今おきた記憶を
        消しといたから。

        そして…
        あなたの記憶もね。」



そういうと
左指で
パチンと指をならし

戸並 十三の
今の記憶をけす




凛音は
RAYの傍にもどると
RAYの【 背中 】に寄りかかって
ため息をつく




凛音「は〜能力使いすぎて疲れた。
        【 コーヒー 】もらえる?」




ふたりは大学の【 同期 】で
出逢ったころから
息がピッタリだった




RAY「お疲れ様だよ。
        ならホットがいいよね。
        待ってて つくるから。
        ゆっくり座ってて。」




RAYは
ゆっくりとコーヒーを
カップに注ぐ



ふわりと
湯気が立ちのぼる




凛音「1週間後。あの子は音を失う。
        またここに来させるわ。」





最後の花火が
激しく音をたてて
打ちあがり
パラパラと消えていく






sou「来年さ、また見ような花火!」




凛「うん♪楽しみ」




つづく


ちりばめられたヒント2
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今回【⠀】で書かれた部分は
ある出演者さまのアーカイブに残された
" キーワード5つ "
あなたは見抜ける!?


いよいよ今夜
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ある出演者が動きだす…








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