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相談 #5

3週間がたって、残り3週間。英語の恐怖心もなくなってきて、観光気分も抜けて、ゆっくり自分と向き合ったことで感じた「当初の目標の達成度80%」これはすごい。でも。慣れてきたことで、私はまた周りに合わせてしまう日が続き、そうした停滞感を一人で抱え込んでもんやりしていた。

そんな私は今週、当初の目標だった「相談をする」「スタンスをもって伝える」という二つの難所を一気に超えた。これは本当にうれしい。そんな報告。

ポーズのポーズ

「ちょっと、迷ってるから、少し考えてもいい?」

今なら思う。難所を超えたきっかけはこの一言に詰まっていた。

私は何がしたいんだろう?この先どうなりたいんだろう?ということを考えていた時に、誘われたイギリスへの週末旅。
たしかに日本から行くことを考えるとダブリンから他国に行くのはとても安価で便利である。たくさんの人におすすめされた。
でも私は、留学に来る前から、どこか他の国に行くことは念頭にいれていなかった。旅行ではなく、ダブリンという場所での自分を見つめる時間、そこでの出会いを求めていたからだ。

だからすごく迷った。はじめは二つ返事でいいね、と返したものの、本当にいいのか?と考えなおしたのだ。

相手にしてみれば行く気満々に見えるであろう態度だったのに、いざ飛行機やホテルの予約をしようかというタイミングで断るといのはなんとなく気まずくなるのが目に見えた。だから、自分のスタンスが決まるまで避けようかとしたのだけれど、それもそれでよくないと思い、誘ってくれた子には素直に今の気持ちを苦し紛れに打ち明けたのが冒頭の言葉。
その子なら私の気持ちを分かってくれるだろうという安心感もあった。

彼女は「わたしのことは気にせず、ゆっくり考えてくれたらいいからね」と私の迷いを受け止めて決断を待ってくれた。

救いの手が降臨

そして私は、ええい!助けてくれ〜とSOSを出した。留学前にちょこっとだけ留学の心持ちハウツーを教えてくれた先輩。何かを求めて、というよりは一人で考えても答えが出なかったので「とりあえず話を聞いてくれ」という気持ちだった。

先輩はメッセージを見た後、すぐに電話をしてくれた。

その違和感を感じた自分の感覚が自分のスタンスなんだから、それに従えばいいんじゃないかな?

この一言で私の目が覚めた。ああ、私の感覚と、やろうとしていることは間違ってないんだ、と思えた。

「『どうなりたいか』っていうと壮大だけど、単純にやりたいことをかきだしてみるだけでも違ってくるよ。せっかくダブリンにいるから会える人、話を聞ける人、見れること、まだまだあるんじゃない?」

先輩はそういって、自分の留学のときの話をいくつかしてくれた。
でも、そのいくつかの例を聞いただけで、私の頭の中は一斉に動き出した。

そうだ、私、取材してみたい。インタビューをしてみたい。
クラスの人、ダブリンに住む人、語学学校の先生、お店の人。
そうだ、まだ行きたいところあるじゃない。
ダブリン以外の町、遠くていけてないところ。
そうだ、アイルランドの生活のこと、全然知らなかった。教育のこと、政治のこと、ビジネスのこと、調べたらわかりそうなことも、全然知らない。
私、全然まだこの国のこと、知らない、見てない、話してない!!!!

目標の再構築

かくして、あっという間に目標ができた。いとも簡単に、30分の電話が、私の3日間の悩みをぶっ飛ばしてくれたのだ。

残りの三週間は、この町と、ここで出会った人たちの生活を知ること、話を聞くことに時間を使おう。
せっかくコミュニケーションに(困難はありつつ)自信がついたのだから、それを活かす。話を聞く。そして、文字に起こす。
どこまでできるかわからないけれど、学校の外にも飛び出してみよう。

私、残り20日をアイルランドでいっぱいにしよう。
今ここだからできること、今の私だからできること。
そう思うとわくわくしてきた。
ああこれが「自分のスタンス」だったな、と改めて気づくことができた。

自分のスタンスを伝えられた

そうして腹が決まった私は、イギリス旅行のお断りを伝えることとなった。
楽しみにしてくれていた彼女になんと言おうか迷っていたが、タイミングよく、先に彼女からラインがきた。その文面は、私が行くにしても行かないにしてもいいように他の人も誘ってみたら、行きたいと返事がきたから、気にしすぎないで、という優しさと気遣いで溢れていた。おかげで、私は衝突するまでもなく、自分の気持ちを伝えることができた。

流されないで、相手に任せるんじゃなくて、自分のスタンスを確認して、行動に移す。初めて、ここまでしっかりできた。相手も納得して、平和に解決し、私自身がすごく前向きになれたことがなによりもうれしかった。

相談とはなんなのかがわかった

どうしてこんなにうまくいったんだろう、と振り返って、「ああこれが相談か!」と納得した。私は先輩に「相談」したのだ。
そして、誘ってくれた彼女にも「ちょっと待って」という [ ポーズ(一時停止)のポーズ(姿勢)] をとったことで、「迷っている」というスタンスを伝えたことになっていた。
それは同時に「報告」ではなくあくまでも「相談」だったのだ。
今までの私は自分の意見(スタンス)を伝える=報告と思っていたから、相談なしに相手はいきなり結論をぶつけられたと感じて衝突が発生してしまった。そうじゃない。迷いがあるということを打ち明けること、表明することも、相談になるのだ。
どう思う?どうすればいい?と聞くことだけが相談なんじゃない。これはとても驚くべき発見だった。

一時停止・打ち明ける・SOS ⇒ 相談の初手にも色々ある!

さらなる高みへ

かくして私は、#MyDublinChallenge で定めた目標をきれいに達成した充実感を胸に、さらなるグレードアップできる立ち位置に立った。
これはもう、頑張るしかない。

思い立ったが吉日、ノートに書きだして、ネットで検索すれば、情報がたくさん見つかった。クラスメイト一人に早速インタビューをやってみたら、普段の雑談よりずっと話ができた。テーマが決まっている方が、話しやすい。

こうやって、残りの2週間、楽しもう。1週間かけて、トンネルを脱した私はとても晴れやかな気持ちになりました。相談って、すごいね。



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